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犬島

(いぬじま)

犬島は、瀬戸内海に位置する犬島諸島の最大の島で、岡山県岡山市東区に属する有人離島です。古くから銅の製錬業や採石業で栄えた犬島には、当時の遺構が残されており、2008年には犬島精錬所美術館が開館、2010年の瀬戸内国際芸術祭以降、現代アートの島としても広く知られるようになりました。

地理と自然

犬島は、岡山市の東南端に位置する宝伝・久々井地区の沖合約2.2kmに位置しており、本土からは定期船で約8分の距離にあります。地質は主に花崗岩で構成されており、標高差が30m前後のなだらかな地形が特徴です。この地形は、長年にわたる石材の採掘により大きく改変され、多くの断崖や洞窟、池沼が形成されています。

島内の気候は、年間平均気温16.6℃、年間降水量1100mm程度の温暖で少雨な瀬戸内海気候です。離島であるため、内陸部よりも冬は温暖で、夏も過ごしやすい微気候が特徴とされています。植生にはコナラ群落が多く、アカマツやススキなども自生しています。また、島内にはジョウビタキをはじめとする希少な鳥類や昆虫が生息しています。

犬島の歴史

犬島は、古くから銅の製錬や石材の採掘で栄えた島です。1620年、岡山藩主池田忠雄が大阪城の改修に際し、犬島の石材を使用したことが知られています。さらに、江戸時代には犬島から採石された石材が鶴岡八幡宮の鳥居や岡山の後楽園にも使用されました。

近代に入り、1868年に開港された大阪港の築港工事に伴い、犬島や周辺の島々での採石が本格化しました。この時期、多くの職工人夫が島に渡り、犬島は「築港千軒」とも呼ばれるほどに繁栄しました。しかし、採石の需要が減少し、犬島の経済は徐々に衰退していきました。

犬島製錬所とその影響

1907年、岡山の実業家坂本金弥によって、犬島に銅の製錬所が設立されました。しかし、銅の価格が暴落したことや製錬技術の問題から、1918年には製錬所は操業を停止し、その後住友総本店に売却されました。この製錬所は、島内に深刻な煙害を引き起こし、植生や島民の生活に多大な影響を及ぼしました。

現代の犬島とアートプロジェクト

1995年、現代美術家の柳幸典が犬島を訪れ、精錬所跡地をアートと自然エネルギーで再生する「犬島アートプロジェクト」を構想しました。このプロジェクトは、ベネッセコーポレーションの支援を受け、2008年に犬島精錬所美術館が開館しました。この美術館は、電力を使用せずに自然エネルギーだけで運営される環境に優しい建築として注目を集めています。

2010年には、犬島が瀬戸内国際芸術祭の会場の一つとなり、多くの観光客が訪れるようになりました。島内では「犬島アートプロジェクト」のほか、現代アートの展示やイベントが定期的に開催され、犬島は現代アートの島としての地位を確立しました。

観光とアクセス

犬島は、その自然環境や歴史的な遺産、そして現代アートの展示など、多彩な魅力を持つ観光地として人気を集めています。島内にはシーカヤックや天体観測が楽しめる「犬島自然の家」やキャンプ場が整備されており、自然と触れ合うアクティビティも充実しています。また、島の周辺海域は釣りの適地としても知られ、年間を通じて多くの釣り客が訪れます。

犬島へのアクセスは、岡山県宝伝地区から定期船で約8分と非常に便利です。訪れる観光客は、美しい自然や歴史的な遺産、そしてアートとの出会いを楽しむことができます。

Information

名称
犬島
(いぬじま)
Inujima Island
エリア
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