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吉備津神社

(きびつ じんじゃ)

桃太郎伝説ゆかりの国宝神社

本殿・拝殿は、後光厳天皇の命を受けた室町幕府3代将軍足利義満によって造営された、豪壮かつ優美な比翼入母屋造りの国宝建築。全国で唯一の吉備津造りという建築様式を採用しており、本殿の大きさは出雲大社本殿、八坂神社本殿に匹敵します。

本殿から続く総延長398メートルの廻廊は、歴史を感じさせる美しい建造物。吉備津彦命は、桃太郎伝説の原型となったとされます。境内には、桃太郎伝説にちなんだ様々なスポットがあります。

概要

吉備津神社(きびつじんじゃ)は岡山県岡山市北区吉備津に位置する神社です。式内社(名神大社)、備中国一宮として知られており、旧社格は官幣中社で、2023年(令和5年)現在は神社本庁の別表神社に指定されています。

かつては「吉備津彦神社(きびつひこじんじゃ)」とも称されましたが、2023年(令和5年)現在の正式名称は「吉備津神社」です。

神社の場所

吉備津神社は岡山市西部、備前国と備中国の境に位置する吉備中山(標高175メートル)の北西麓に鎮座しています。吉備中山は古来より神体山とされており、その北東麓には備前国一宮・吉備津彦神社があります。両神社ともに、当地を治めたとされる大吉備津彦命を主祭神として祀り、その一族も配祀されています。

歴史

元々は吉備国の総鎮守でしたが、吉備国が三国に分割された際、備中国の一宮とされました。分霊が備前国および備後国の一宮(備前:吉備津彦神社、備後:吉備津神社)に祀られました。このことから、吉備津神社は「吉備総鎮守」「三備一宮」を称しています。

本殿は足利義満による造営で、全国唯一の比翼入母屋造(吉備津造)であり、拝殿とともに国宝に指定されています。また、社殿3棟が国の重要文化財に指定され、特殊神事の鳴釜神事が有名です。

祭神

吉備津神社の祭神は次の9柱です。

主祭神

相殿神

古くは「吉備津五所大明神」として、正宮と他の4社の5社で1つの神社を成していました。

創建

社伝によれば、大吉備津彦命は吉備中山の麓の茅葺宮に住み、281歳で亡くなって山頂に葬られました。その5代目の子孫「加夜臣奈留美命」が茅葺宮に社殿を造営し、命を祀ったのが創建とされます。また、吉備国を訪れた仁徳天皇が大吉備津彦命の業績を称えて5つの社殿と72の末社を創建したという説もあります。

概史

朝廷からの篤い崇敬を受け、国史では承和14年(847年)に従四位下の神階を受けた記載が最初で、翌年には従四位上に進みました。仁寿2年(852年)には神階が品位(ほんい)に変わり、四品(しほん)が授けられ、10世紀には一品(いっぽん)まで昇叙されました。

『延喜式』神名帳では備中国賀夜郡に「吉備津彦神社 名神大」と記載され、名神大社に列しています。中世には武家の崇敬を受け、たびたび社殿の修復や社領の寄進がありました。江戸時代中期には三重塔を破却し神仏分離を行いました。

明治維新後、明治4年(1871年)に近代社格制度において国幣中社に列し、公称を現在の「吉備津神社」に定めました。1914年(大正3年)には官幣中社に昇格しました。

神階

六国史時代における神階奉叙の記録は次の通りです。

境内

本殿および拝殿

現存する本殿・拝殿は、室町時代の明徳元年(1390年)に後光厳天皇の命を受けた室町幕府3代将軍の足利義満が造営を開始し、応永32年(1425年)に完成しました。本殿は比翼入母屋造(吉備津造)と呼ばれ、屋根が前後に二つ並ぶ形式です。拝殿は本殿の手前に位置し、切妻造・平入りの構造を持ちます。

本殿は出雲大社や八坂神社本殿に匹敵する大きさで、仏教建築の影響が見られます。地面より一段高く、漆喰塗の土壇(亀腹)の上に建てられています。内部は中央に内々陣とその手前の内陣があり、その周囲を一段低い中陣が囲みます。さらに外陣が一周する構造で、床高が内側に向かって高くなる特異な構造です。連子窓や大仏様を応用した唯一の例として、挿肘木、皿斗、虹梁の形状が特徴的です。

拝殿は桁行三間、梁間一間妻入りで、正面は切妻造、背面は本殿に接続しています。正面と側面には裳階が設けられ、屋根は檜皮葺ですが、裳階は本瓦葺きです。これら本殿・拝殿は、合わせて1棟として国宝に指定されています。

その他の社殿
御釜殿

御釜殿は江戸時代、慶長11年(1606年)に再建された単層入母屋造の建物で、本瓦葺です。特殊神事「鳴釜神事」が毎日行われ、国の重要文化財に指定されています。

回廊

戦国時代の天正年間(1573年 - 1591年)に造営された回廊は、総延長398メートルで岡山県指定文化財です。

北随神門

北随神門は室町時代、天文11年(1542年)に再建された単層入母屋造檜皮葺の門で、国の重要文化財に指定されています。

南随神門

南随神門は南北朝時代、延文2年(1357年)に再建された吉備津神社最古の門で、単層入母屋造本瓦葺です。国の重要文化財に指定されています。

摂末社

本宮社

古くは5つの社殿と72の末社があり、「吉備津五所大明神」と総称されました。現在、新宮社と内宮社は本宮社に合祀されています。以下は主要な摂末社です。

  • 本宮社 - 祭神は孝霊天皇(大吉備津彦命の父)。
  • 新宮社 - 祭神は吉備武彦命(若日子建吉備津日子命の子)。
  • 内宮社 - 祭神は百田弓矢比売命(大吉備津彦命の妃)。
  • 三社宮 - 春日宮、大神宮、八幡宮の3社。
  • 岩山宮 - 祭神は建日方別命(吉備国の地主神)。
  • 滝祭神社
  • えびす社
  • 祖霊社
  • 一童社
  • 宇賀神社 - 神池の島に鎮座。

文化財

国宝
  • 本殿および拝殿(附 棟札[明和6年]、棟札[弘化2年]) 室町時代中期の応永32年(1425年)に造営され、1902年(明治35年)に特別保護建造物に指定、1952年(昭和27年)に国宝に指定。
重要文化財(国指定)
  • 南随神門 - 室町時代前期の延文2年(1357年)に造営。1911年(明治44年)に指定。
  • 北随神門 - 室町時代後期の天文12年(1543年)に造営。1913年(大正2年)に指定。
  • 御釜殿 - 江戸時代の慶長17年(1612年)に造営。1980年(昭和55年)に指定。
  • 木造獅子狛犬 1対 - 鎌倉時代後期から南北朝にかけての作。2002年(平成14年)に指定。
重要無形民俗文化財(国指定)
  • 備中神楽 - 毎月10日のえびす祭で演じられる。1979年(昭和54年)に指定。
岡山県指定文化財
  • 回廊 - 戦国時代の天正年間(1573年 - 1591年)に造営。1976年(昭和51年)に指定。
  • 大太刀 銘 備州長船秀幸 - 室町時代の長禄3年(1459年)の作。1982年(昭和57年)に指定。
  • 大太刀 法光 - 室町時代の文安3年(1446年)の作。1994年(平成6年)に指定。
  • 行道面 - 1959年(昭和34年)に指定。
  • 高麗版一切経 - 朝鮮の高麗時代の経典。1959年(昭和34年)に指定。
  • 紙本墨書連歌 - 応永8年(1401年)の法楽連歌の発句を集めたもの。1959年(昭和34年)に指定。
無形民俗文化財
  • 宮内踊 - 門前町の宮内地区で7月31日に行われる。1959年(昭和34年)に指定。

吉備津神社は歴史と伝統を持つ神社として、現在も多くの参拝者に親しまれています。

Information

名称
吉備津神社
(きびつ じんじゃ)
Kibitsu Shrine
リンク
公式サイト
住所
岡山県岡山市北区吉備津931
電話番号
086-287-4111
営業時間

開門5:00 閉門18:00

料金

境内拝観自由

駐車場
普通車400台、バス4台
アクセス

JR吉備津駅から徒歩約10分

エリア
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