津島遺跡は、岡山県岡山市北区いずみ町に位置し、岡山県総合グラウンドおよびその周辺に広がる大規模な複合遺跡です。この遺跡は、縄文時代晩期から弥生時代、古墳時代にかけての人々の暮らしを物語る重要な場所で、1971年(昭和46年)1月5日に国の史跡に指定されました。
津島遺跡は、全国で初めて弥生時代前期の集落と水田が隣接して発見されたことで学術的に非常に注目されました。微高地に集落が設けられ、その周囲の湿地帯に3~5アールの狭い範囲で水田が作られていたことが確認されました。イネの花粉や水田雑草の種子が発見されたことから、水田土壌自体が保存されていることが証明され、この発見は弥生時代の農耕生活の実態を知る上で重要なものです。
近年の調査では、これまで発見されていた水田とは別に、畦畔で区画された弥生前期の水田も広範囲にわたって見つかりました。このことから、弥生時代前期には複数の異なる形式の水田が併存していた可能性が考えられています。また、弥生時代後期の河川跡からは、建物の部材を含む多くの木製品も出土しています。
1971年(昭和46年)1月15日、津島遺跡の一部が国の史跡に指定されました。その後、2005年(平成17年)に岡山県総合グラウンドの再整備に先立つ発掘調査が行われ、弥生時代後期の高床建物の建築部材などが新たに発見されました。2002年(平成14年)には、集落域と水田域が史跡に追加指定され、遺跡の整備工事は2009年(平成21年)3月に完了しました。現在では、竪穴建物や高床建物、湿地や水田が復元され、見学が可能です。
津島やよい広場は、2009年(平成21年)4月にオープンし、弥生時代初期の風景が発掘調査に基づいて再現されています。広場内では、竪穴住居や掘立柱建物、高床倉庫などが復元され、当時の生活を体感することができます。また、実際の遺跡は地下3メートルに広がっており、訪れる人々が自由に見学できる施設となっています。
津島遺跡で発掘された出土品は、岡山県総合グラウンド陸上競技場のメインスタンド内にある「遺跡&スポーツミュージアム」で展示されています。このミュージアムは、津島遺跡の歴史的な価値を伝えるとともに、岡山県出身のアスリートの偉業を紹介する場所として設立されました。
ミュージアムのデザインは、水戸岡鋭治氏が監修し、日本の伝統素材を活かしたモダンな「和」を感じる空間が広がっています。また、館内の展示物には、発掘調査で出土した建物や生活用具が展示されており、訪れる人々に当時の生活をより身近に感じてもらえるよう工夫されています。
館内では、弥生時代から鎌倉時代にかけての出土品が展示されている他、本物の土器や石器を実際に手に取って見ることができる体験も提供されています。また、津島遺跡の地層を再現した展示では、地層に埋もれた遺物の状態をそのままに再現しています。
さらに、平成27年4月には弥生時代の生活用具を中心に展示替えが行われ、農具や食事具などが展示されています。これにより、弥生時代の生活様式をより深く理解することができます。