八塔寺は、岡山県備前市吉永町加賀美にある天台宗の寺院で、山号は照鏡山、本尊は十一面観音です。この寺院は、奈良時代に弓削道鏡が開山し、聖武天皇の勅願を受けたことにより創建されたと伝えられています。かつては山岳仏教の中心地として栄え、現在でもその名残を残しています。
八塔寺はJR山陽本線の吉永駅から八塔寺川沿いに上がったところに位置し、備前、播磨、美作の3か国にまたがる海抜539メートルの山頂にあります。山岳仏教の中心地として名を馳せた八塔寺は、古刹としての歴史的価値を持ち、昔ながらの風景が今でも残っています。
八塔寺の周辺には、茅葺き屋根の農家が点在する美しい風景が広がり、昔ながらの農村の姿が今も保たれています。訪れる人々は、八塔寺山からの眺望を楽しみながら、静かな散策を楽しむことができます。村内には民宿やレクリエーション施設、レストランなども整備されており、滞在を楽しむことができます。
八塔寺の歴史は728年(神亀5年)、聖武天皇の勅願により、僧弓削道鏡が開山したことに始まります。八塔寺はその後、山岳仏教の中心地として発展し、仏塔や僧坊が立ち並ぶ聖地となりました。
荒廃した八塔寺は、江戸時代に入ると岡山藩主池田綱政の手により再建が進められ、本堂や三重塔、鐘楼などが整備されました。また、1646年には池田光政が梵鐘を寄進し、その鐘楼は現在も現存しています。
1974年、八塔寺山全体が「八塔寺ふるさと村」として岡山県に登録され、保存・整備が進められました。この取り組みは、八塔寺の歴史と文化を現代に伝えるための重要なステップとなりました。
八塔寺には多くの文化財が残されています。五輪塔「石小詰の塚」や八塔寺制札、池田光政寄進の銅鐘などが備前市の指定文化財に指定されています。また、寺の周囲には、かつての三重塔跡や伽藍跡などが点在しており、訪れる人々にその歴史を伝え続けています。
現在、八塔寺は、静かな仏教寺院としてその姿を保ち続け、訪れる人々に昔ながらの歴史と風景を伝えています。また、八塔寺周辺の「八塔寺ふるさと村」は、映画やドラマのロケ地としても知られており、その風景は多くの作品に登場しています。
1974年に「八塔寺ふるさと村」として指定されたこの地域は、歴史的な風景を保護するための取り組みが行われています。茅葺き民家や田畑が広がる風景は、訪れる人々に安らぎと懐かしさを感じさせ、遠い昔の日本の風景を今に伝えています。
八塔寺はJR山陽本線吉永駅から北へ約20kmの場所にあり、車で訪れることができます。また、吉永駅から八塔寺川沿いの道を進んでいくと、八塔寺のある山頂へと至ります。自然豊かな場所にあり、散策や登山を楽しむことができるため、休日のリフレッシュにも最適なスポットです。