八塔寺ふるさと村は、岡山県備前市吉永町加賀美にある岡山県指定のふるさと村で、標高約400メートルの台地に位置します。ここには、日本の伝統的な農村風景が今も残り、茅葺き屋根の民家や段々畑が広がっています。訪れる人々は、古き良き日本の田舎の風景を楽しみながら、時を忘れてのんびりとしたひとときを過ごすことができます。
八塔寺山へのつづらおりの坂道を登っていくと、突然視界が開け、山頂部に茅葺きの農家が点在するのどかな風景が広がります。標高400メートルの高原にある「八塔寺の村」は、かつて仏教が栄えた歴史を持ち、現在では13戸ほどの民家が残っています。ふるさと村の象徴ともいえる茅葺き民家や寺院が立ち並び、穏やかで心温まる景色が広がっています。
村内には民宿やレクリエーション施設、レストランなどが整備され、訪れる人々に快適な滞在を提供しています。また、村を散策する約3キロメートルのコースや、88ヶ所を巡る約3時間の散策ルートもあり、自然と歴史を満喫することができます。登山ルートもあり、八塔寺山や隣接する飯盛山の山頂からは、中国山脈や瀬戸内の景色が楽しめます。
八塔寺ふるさと村は、奈良時代の728年、聖武天皇の勅願により弓削道鏡が開基した山岳仏教の道場として始まりました。かつては「西の高野山」とも呼ばれるほど仏教が栄え、最盛期には72の僧坊が存在したと言われています。現在でも、照鏡山八塔寺、恵日山高顕寺、日吉神社などがその名残を残し、村の歴史とともに訪れる人々に深い印象を与えます。
1974年、八塔寺ふるさと村は岡山県により指定され、その美しい田園風景は多くの映画やドラマのロケ地としても利用されてきました。特に1984年の映画『黒い雨』、1996年の『八つ墓村』、2005年のテレビドラマ『火垂るの墓』、2014年の映画『新しき民』などがここで撮影されました。村の風景や歴史的な建造物は、作品に情感を与え、多くの人々に親しまれています。
八塔寺ふるさと村には、江戸時代の茅葺き民家を復元し、備前市が整備した民俗資料館があります。当時の農機具や生活用品が展示されており、訪れる人々に昔の生活を伝える貴重な施設です。入館料は無料で、誰でも自由に見学することができます。
天台宗の寺院で、本尊は十一面観音（行基作と伝わる）です。境内には、池田光政が寄進したつり鏡や乳の出に霊験があると言われる首なし地蔵があり、八塔寺山の緑の中に静かに佇んでいます。
真言宗の宿坊寺院で、本尊は不動明王（定朝作と伝わる）です。毎年1月15日には、大護摩供養や火渡りの荒行が行われ、多くの参拝者が訪れます。
標高538メートルの山頂には行者堂があり、途中には展望台もあります。天気の良い日には小豆島を望むことができ、登山者に美しい景色を提供します。
吉永町指定の天然記念物である、樹齢約700年のコブノキが境内にあります。地域の守り神として親しまれている神社です。
八塔寺ふるさと村には、茅葺き屋根のレストラン「寿光庵」や宿泊施設「八塔寺山荘」など、訪れる人々が自然と歴史を楽しみながら滞在できる施設も充実しています。また、備前市指定文化財の五輪塔「石小詰の塚」や、鎌倉時代に建てられた石造の仏像などもあり、歴史的価値の高いスポットが点在しています。
八塔寺ふるさと村は、自然散策にも最適な場所です。中国自然歩道が村内を通り、行者山や堂山への登山ルートがあります。また、ふるさと村内には茅葺きの水車小屋や吊り橋、休憩所などが整備されており、訪れる人々に豊かな自然と静かな時間を提供します。八塔寺山のふもとから続く散策ルートは、四季折々の風景が楽しめる絶好の観光スポットです。
ふるさと農園では、8月から11月にかけて梨やぶどうの収穫体験ができます。家族連れや観光客が、地元で収穫された新鮮な果物を楽しむことができ、秋には芋や大根、白菜の収穫体験も行われています。また、貸農園も提供されており、家庭菜園にチャレンジすることも可能です。
茅葺屋根の農家を移築・改造した宿泊施設で、かつては外国人専用の市営宿泊施設として利用されていましたが、現在では日本人も宿泊可能です。日本の伝統的な暮らしや文化に触れながら、癒しの時間を過ごすことができます。国際交流の場としても活用されています。
八塔寺山荘は、茅葺き屋根の農家を移築・改造した宿泊施設で、親子のふれあいの場や研修施設としても利用されています。自然の中で心と体をリフレッシュするのに最適な場所です。
八塔寺ふるさと村へのアクセスや予約に関する詳細は、各施設の連絡先に問い合わせることで確認できます。自然と歴史が調和したこのふるさと村は、訪れる人々に安らぎと懐かしさを提供する場所です。