静岡県賀茂郡河津町の天城峠から流れ下る河津川に沿って、約1.5kmの間に広がる7つの滝の総称が「河津七滝(かわづななだる)」です。これらの滝は上流から順に、釜滝、エビ滝、蛇滝、初景滝、カニ滝、出合滝、大滝と名付けられ、それぞれが独自の魅力を持っています。河津町の観光の中心地であり、伊豆半島ジオパークのジオサイトにも指定されています。
河津七滝は約2万5000年前に伊豆東部火山群の一つである「登り尾(のぼりお)南火山」からの溶岩流が谷に流れ込んで形成されたものです。特に6つの滝には、溶岩が凝固してできる柱状節理が見られ、地質学的にも興味深い場所です。
河津町の観光のメインスポットとして知られる河津七滝は、川沿いに整備された遊歩道を歩きながら、滝めぐりのハイキングを楽しむことができます。滝の迫力や水しぶきの清々しさを感じながら、自然の美しさを堪能できます。
河津七滝は、伊豆半島ジオパークのジオサイトとしても指定されており、地質学的にも価値の高い場所です。訪れる人々は、地質学の観点からもこの地域の成り立ちや自然の力を学ぶことができます。
初景滝には、文豪・川端康成の代表作『伊豆の踊子』のブロンズ像が設置されています。また、初景滝は滝祭りのメイン会場としても賑わい、多くの観光客が訪れます。
河津七滝沿いには、河津七滝温泉の温泉街が広がっています。滝の名前を冠した宿泊施設もあり、滝めぐりの後には温泉でゆっくりとくつろぐことができます。
河津七滝の中で最も大きな滝である大滝(おおだる)は、高さ30メートル、幅7メートルの圧倒的な迫力を持っています。伊豆半島最大級の滝として知られ、水が玄武岩の絶壁から落ちる壮大な景観は訪れる人々を圧倒します。
出合滝(であいだる)は、2つの流れが出会いひとつの流れになる様子が美しい滝です。高さ2メートル、幅2メートルの小さな滝ながら、その優雅な流れは自然の美しさを感じさせます。
カニ滝(かにだる)は、緑に囲まれた静かな場所にあり、長さ15メートルの白い流れと緑のコントラストが特徴です。高さ2メートル、幅1メートルと小さな滝ですが、そのひっそりと佇む風情が魅力です。
初景滝(しょけいだる)は、高さ10メートル、幅7メートルの滝で、文豪・川端康成のの小説『伊豆の踊子』のブロンズ像が設置されています。滝祭りのメイン会場としても知られ、神秘と美しさが融合した特別な滝です。観光客に人気の写真スポットです。
蛇滝(へびだる)は、高さ3メートル、幅2メートルの滝で、滝の岩肌に見える玄武岩の模様が蛇のうろこに似ていることから名付けられました。その独特の模様が美しい滝です。
エビ滝(えびだる)は、高さ5メートル、幅3メートルの滝で、その形が海老の尾ひれに似ていることから名付けられました。つり橋の上から眺めることができ、滝の形状の美しさが訪れる人々を魅了します。
釜滝(かまだる)は、高さ22メートル、幅2メートルの大きな滝で、かつて地獄谷と呼ばれていました。玄武岩の上から力強く流れ落ちる姿は圧巻で、自然の力強さを感じることができます。滝のしぶきを間近に感じられる展望デッキもあり迫力満点です。
河津七滝には、ヤマタノオロチ伝説に似た大蛇伝説が残されています。昔、天狗の万三郎の妻が天城山の八丁池で七つの頭を持つ大蛇を目撃しました。万三郎はこの大蛇を退治するために、強い酒を入れた樽を七つ置きました。酔いしれた大蛇が眠っている間に万三郎が退治し、その体は川となり、首の切り口が滝となって河津七滝が生まれたと伝えられています。
通常、「滝」という漢字は「たき」と読みますが、河津七滝では「だる」と読みます。これは、河津地方で「水が垂れる」という意味で「垂水(たるみ)」と呼ばれていたことに由来しています。このため、河津七滝および七つの滝の名称は「だる」と読む習慣が残っています。
河津七滝周辺には温泉街もあり、滝と温泉の両方を楽しむことができます。また、川端康成の小説『伊豆の踊子』の舞台となった場所としても有名で、観光客にとっては見どころの多いスポットです。1月下旬から3月上旬にかけて開催される「河津桜まつり」も人気で、多くの花見客が訪れます。四季折々の美しい自然が楽しめる場所であり、春は桜、夏は緑、秋は紅葉、冬は早咲きの河津桜と、年間を通じて観光に適した場所です。
河津七滝には約850mの遊歩道が整備されており、片道約1時間で滝巡りが楽しめます。また、全長46mの吊り橋からの眺めや、釜滝近くの展望デッキからは滝のしぶきを間近に感じられるスポットが設けられています。
大滝遊歩道開放時間:
6月〜9月: 8:00〜18:00
10月〜5月: 8:00〜17:00
2011年9月の台風15号の影響で、大滝周辺では倒木や崖崩れが発生し、一時的に遊歩道が通行できなくなりました。2012年春に仮復旧されましたが、観光客が有料で鑑賞する状況が続きました。これは、遊歩道の地権者である旅館と、町との協議が難航したためです。最終的には町が2016年に土地を取得し、2017年に無料で全ての滝が見学可能な環境が整備されました。
河津七滝は、自然の神秘を感じることができる魅力的な観光地です。滝の迫力や美しさを楽しむだけでなく、温泉でのくつろぎなど、四季折々の風景と共に訪れる人々を魅了しています。
ぜひ、河津七滝の奇跡に触れに訪れてみてください。自然の美しさと力強さ、そして静かな時間を堪能することができるでしょう。
散策自由
年中無休
伊豆急行河津駅より東海バス修善寺行きで約30分、河津七滝バス停留所、または約35分、水垂バス停留所で下車
東名高速自動車道沼津ICより約55km