妙法寺は、静岡県富士市にある日蓮宗の寺院です。山号は香久山で、旧本山は身延山久遠寺(身延門流)に属します。 寺院の愛称である「毘沙門さん」は、境内にある鎮守堂の主神・毘沙門天に由来しますが、地元では寺全体を指して呼ばれることもあります。
毎年2月頃には、「日本三大だるま市」の一つに数えられる盛大な「毘沙門天大祭」が開催され、多くの参拝者が訪れます。
寺院の歴史
妙法寺の起源は千年以上前に遡ります。寺裏に広がる田子の浦海岸で山伏たちが水行を行い、富士山登山の禊ぎの道場としたことが始まりです。 戦国時代には武田氏の東海道進出の拠点となり、その後、徳川家康の側室・お万の方の長子である徳川頼宣公が駐留しました。この歴史から「出世本懐の地」とも呼ばれています。
主神・毘沙門天像
本堂に祀られる主神・毘沙門天像は、聖徳太子が自身の肩の上に現れた姿を彫刻した「太子両肩上湧現の尊像」と伝えられています。 一般的な毘沙門天像が悪鬼を踏みつける姿であるのに対し、妙法寺の毘沙門天像は、人間を守護する姿を表した珍しい開運の守護神像です。
境内の見どころ
毘沙門天大祭
毎年旧暦の正月7日から9日(新暦では2月頃)に行われる「毘沙門天大祭」は、妙法寺最大の行事です。「日本三大だるま市」の一つとして広く知られ、全国から集まった達磨(だるま)を求める参拝者で賑わいます。
主なイベント
- 本殿での御祈祷受付
- 達磨の開眼祈祷
- 古い達磨の供養を行う「おたきあげ」
- 植木市や物産展
洞窟七福神
境内には全長150メートルの地下道「洞窟七福神」があり、一度に七福神を参拝できる珍しい施設です。暗闇の中を進みながら、七福神の加護を願うことができます。
龍神香炉堂
龍神を祀る香炉堂では、参拝者が煙を浴びて心身の浄化を願います。堂内には龍を象った美しい彫刻が施されており、訪れる人々の心を惹きつけます。
「くつ石」と「お身拭い毘沙門天」
境内には、「くつ石」と呼ばれる石があります。この石は、願い事をする際に触れるとご利益があるとされています。 また、「お身拭い毘沙門天」では、毘沙門天像の体を拭くことで開運や健康を祈願することができます。
交通アクセス
公共交通機関
東海道本線「吉原駅」より徒歩10分。
自動車
東名高速道路「富士IC」から車で約15分。
関連情報
日本三大だるま市
妙法寺で行われる毘沙門天大祭は、群馬県高崎市の達磨寺や東京都調布市の深大寺と並び、日本三大だるま市に数えられています。