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静岡県長泉町に位置する長泉町井上靖文学館は、井上靖の生涯と作品を記念して設立された文学館です。愛鷹山の山麓に位置し、『あすなろ物語』にも登場するこの場所には、井上靖の精神と文学の世界が息づいています。施設はクレマチスの丘エリア内にあり、隣接するベルナール・ビュフェ美術館とともに、芸術と文化の複合施設を形成しています。
1973年に設立された長泉町井上靖文学館は、旧制沼津中(現在の静岡県立沼津東高等学校)の井上靖の後輩であり、スルガ銀行三代目頭取の岡野喜一郎を中心に設立されました。建物は著名な建築家菊竹清訓が設計を手掛け、井上靖の自伝的小説『しろばんば』に登場する土蔵をイメージした鉄筋コンクリート二階建ての構造となっています。
当初はスルガ銀行とそのグループ企業の支援を受けて一般財団法人として運営されていましたが、寄付による維持管理が困難になり、財団は解散しました。2021年度からは長泉町が事業を引き継ぎ、運営を行っています。これに伴い、2021年7月にリニューアルオープンし、新たにミュージアムライブラリーを2階に設置。企画展やワークショップ、講演会、出張講座など、さまざまな文化活動を展開しています。
井上靖(1907年5月6日 - 1991年1月29日)は、昭和を代表する日本の小説家・詩人です。1950年、『闘牛』で芥川賞を受賞し、日本文学に物語性を復活させた功績があります。以後、『氷壁』や『風林火山』などの現代小説や時代小説、『敦煌』や『楼蘭』といった歴史小説、自伝的小説『しろばんば』や『あすなろ物語』など、多彩なジャンルの作品を生み出しました。
井上靖の作品は、知識人の孤独や無常観を詩情豊かに描くことで知られています。特に歴史小説では、西域を舞台にしたものや日本の戦国時代を題材にした作品が高く評価されています。自伝的な作品では、静岡県伊豆湯ヶ島での幼少期を描いた『しろばんば』、旧制中学時代を舞台にした『夏草冬濤』、浪人生活を描いた『北の海』が知られています。
井上靖は数々の文学賞を受賞しており、その代表的なものには、芥川賞、芸術選奨文部大臣賞、文化勲章などがあります。また、日中文化交流や日本ペンクラブの会長を務めるなど、文化活動にも積極的に関与し、日本文学の発展に寄与しました。
長泉町井上靖文学館の所在地は以下の通りです。
住所:〒411-0931 静岡県長泉町東野515-149
開館時間:午前10時~午後5時(入館は午後4時30分まで)
休館日:毎週水曜日(祝日の場合は営業、翌平日休)、年末年始(12月28日から1月4日)
新東名高速道路 長泉沼津I.C.または東名高速道路 沼津I.C.から伊豆縦貫道を経由し、国道246号を右折して到着します。新東名高速道路 長泉沼津I.C.からの距離は約7.5kmです。
JR東海道線「三島駅」で下車し、富士急行の「駿河平線」路線バスに乗車。「ビュフェ美術館入口」バス停で下車後、徒歩5分で到着します。
文学館があるクレマチスの丘エリアは、ベルナール・ビュフェ美術館やイタリアンレストラン、美しい庭園など、多様な施設が集まる文化の拠点です。訪問者は井上靖文学館を楽しんだ後、周辺施設で美術鑑賞や食事を楽しむこともできます。
また、井上靖の作品に登場する愛鷹山の自然を散策することもおすすめです。文学の世界に浸りながら、豊かな自然を感じることができるでしょう。
井上靖文学館を訪れることで、彼の文学と生涯に触れると同時に、静岡の自然や文化を存分に堪能できること間違いありません。