富士スピードウェイ(Fuji Speedway)は、静岡県駿東郡小山町に位置する国際規格のレーシングサーキットです。日本国内での自動車レースの発展に大きく貢献してきた施設であり、数々の名レースが開催される舞台として知られています。略称「FSW」とも呼ばれ、モータースポーツファンだけでなく、観光地としても人気を集めています。本記事では、入場料やアクセス、周辺施設などを詳しく紹介します。
富士スピードウェイは、国際自動車連盟(FIA)から「グレード1」の認定を受けており、フォーミュラ1(F1)を含む世界最高峰のレースを開催できるサーキットです。1965年に完成し、翌年から営業を開始しました。開業以来、鈴鹿サーキットと並び、日本のモータースポーツ界を牽引してきました。
東京から車で約1時間半とアクセスしやすく、首都圏や中京圏からも訪れやすい場所にあります。周辺には、レーシングチームやメンテナンス会社のファクトリーも多く、モータースポーツファンにとっても魅力的なエリアです。ただし、山間部に位置するため、天候の変化が激しく、霧や雨によりレース運営が難航することもあります。
富士スピードウェイの運営会社は開業当初、三菱地所の子会社でしたが、2000年にトヨタ自動車の傘下に入り、2023年にはトヨタの完全子会社となりました。こうした企業体制の変化が、施設の充実と運営の安定に寄与しています。
富士スピードウェイでは、世界耐久選手権(WEC)やGTワールドチャレンジ・アジアなどの国際レースが開催されます。日本国内の主要選手権であるスーパーフォーミュラ、SUPER GT、スーパー耐久なども毎年開催され、多くのファンを魅了しています。
特筆すべきは、1976年に日本で初めてF1が開催されたことです。また、1970年代から1980年代にかけて人気を博した「富士グランチャンピオンレース(富士GC)」もこのサーキットで行われました。さらに、アマチュアレースとして富士チャンピオンレースも1966年から続いており、多くの若手ドライバーがここから巣立っています。
自動車レース以外にも、マラソンや自転車競技の会場としても活用されています。特に2021年の東京オリンピック・パラリンピックでは自転車競技の会場として注目を集めました。
富士スピードウェイのコースは、かつての「30度バンク」を含む高速レイアウトで知られています。現在のコースは2005年にヘルマン・ティルケによって再設計され、全長1.475kmのメインストレートが最大の特徴です。このストレートは日本最長であり、世界的にも珍しい長さを誇ります。
再設計により、テクニカルな要素が加わったものの、高速サーキットとしての特性は維持されています。これにより、ドライバーたちのスキルが試される難易度の高いコースとなっています。
「スピードウェイ」という名称は、もともとオーバルトラックとして設計されたことに由来します。この計画が変更された後も名称はそのまま使用され続けています。
かつては「FISCO(フィスコ)」という略称で親しまれていましたが、2001年からは「FSW」が公式略称となりました。ただし、「FISCOライセンス」など、一部では現在も旧略称が使われています。
富士スピードウェイの建設計画は、アメリカで人気のNASCAR形式のレースを日本に導入しようとしたドン・ニコルズの構想から始まりました。当初はオーバルトラックとして計画されましたが、地形の問題からヨーロッパ型のロードコースに変更されました。
サーキット建設にあたっては、地元住民の協力を得るため、多くの地権者と交渉が行われました。地域振興を目的としたプロジェクトとして地元の理解を得たことで、スムーズな用地確保が実現しました。
富士スピードウェイには、2023年現在、以下の5つのコースが設けられています。
これらは、それぞれ異なる種目や目的に応じて利用されており、多様なモータースポーツ体験が可能です。
本コースは、全長1,475メートルに及ぶ世界有数のロングストレートを誇り、コース幅も15〜25メートルと広大です。この設計により、高速走行が可能となり、特にスピード感を味わえるのが特徴です。
過去には直線と高速コーナーが主体の超高速コースでしたが、近年では安全性向上のために低速テクニカルセクションが追加されています。そのため、走行車両にはダウンフォースを考慮したセッティングが求められるようになりました。
1966年の開業当時、富士スピードウェイのホームストレートは全長1.6キロメートルにも及びました。当時のコースは、全開のまま30度バンクへ突入するダイナミックな設計で、1周約6キロメートルと非常に長いものでした。
30度バンクは、開業時の富士スピードウェイを象徴するコーナーでした。このバンクは、最大30度のカント(傾斜)を持ち、ホームストレートからほぼ減速せずに突入する設計が特徴です。
設計者のチャールズ・マネーペニーによる初期案を基に、大成建設が再設計を行い完成したこのバンクは、その斬新さゆえに「魔の30度バンク」と呼ばれることもありました。
30度バンクは、その迫力と同時に安全性に課題を抱えていました。以下は、30度バンクで発生した代表的な重大事故です。
これらの事故を受け、1974年7月以降、30度バンクは使用停止となりました。
30度バンクにおける事故の主な原因は以下の通りです。
30度バンクの使用停止以降、富士スピードウェイでは安全性を重視した設計変更が進められました。現在では、最新の安全設備が整備され、国内外の主要レースが開催されています。
富士スピードウェイは、モータースポーツだけでなく、各種イベントやドライビングスクールなど、多目的施設としても活用されています。そのため、幅広い層の人々が訪れる観光地としても人気を博しています。
富士スピードウェイには、本コースを中心に4つのサブコースが備わっています。これらのコースは、目的やイベント内容に応じて柔軟に利用されています。
30度バンク跡近くに位置し、全長は810mから920mで18通りのレイアウトが可能です。主に新型市販車のメディア向け試乗会で利用されています。
ターン1の北側にあり、高速コースとタイトコーナーが組み合わさった設計で、ドリフト走行練習用に特化しています。以前は「ドリフトコース」と呼ばれていました。
ジムカーナ専用のスペースで、パイロンを配置して自由にコースを設定できます。ターン1の北側に位置します。
ターン4(100R)の外側に位置し、全長500m(ショートコースは200m)のレーシングカート専用コースです。
本コースのストレート前に位置し、22,288席の観客席があります。バリアフリー対応エリアや授乳室、ドリンクホルダー付きの座席が整備されています。また、最上部には貸切可能な「プラチナルーム」が10部屋設けられています。
グランドスタンドの裏手にはイベント広場があり、レース開催時には飲食店や土産物店が立ち並び、地元名物料理が楽しめます。
ホームストレート終端に位置する屋根なしの観客席で、2,200席を備えています。
メインストレートを挟んでグランドスタンドの反対側に位置するピットエリアには、2つのピットビル(AとB)があり、それぞれ多目的ルームや観客用設備が充実しています。地下通路を通じて観客エリアとの行き来が可能です。
間口7m、奥行き22mの34庫を備えた3階建ての施設です。2階には多目的ルーム「クリスタルルーム」や表彰台が設置されています。
間口7m、奥行き11mの11庫を備えた1階建て施設で、屋上からレース観戦が可能です。
Aパドック裏にあるレストランで、136席を備えています。土産物店を併設し、ヘアピンコーナーを見下ろす位置にあります。
トヨタ自動車が運営する交通安全センターで、企業や一般ドライバー向けの交通安全教室が開催されています。
レクサス販売のための研修施設で、一般公開はされていません。
西ゲートに隣接する施設で、企画展示やイベントが行われています。
2024年にオープンしたホテルで、トヨタ不動産が所有し、ハイアットホテルアンドリゾーツが運営を行っています。サーキット観戦と滞在の両方を楽しめる施設です。
富士スピードウェイはレースやイベントがない日でも入場が可能です。一般の入場料金は以下の通りです。
入場料には場内駐車場代も含まれています。レースやイベント開催時は、各イベントの料金が適用されます。また、「チェカパス」と呼ばれる年間パスを利用すれば、自由観戦エリアでの観戦が可能です。
富士スピードウェイでは、FISCOライセンスを取得すれば、イベントがない日でも各コースを有料で走行できます。時間貸しや全日貸切など、さまざまな利用プランが用意されています。また、イベントスペースや駐車場の貸切も可能です。
富士スピードウェイ周辺には、以下の施設が隣接しています。
これらの施設は、FISCO時代の親会社である三菱地所が経営しています。また、「大御神レース村」と呼ばれるエリアには、多数のレーシングガレージやメンテナンス工場が集中しています。
富士スピードウェイは、交通の便が良いことでも知られています。自家用車、バス、タクシー、鉄道など、さまざまな手段でアクセス可能です。
自動車でのアクセスの場合、西ゲートまたは東ゲートから入場できます。場内には複数の駐車場があり、大規模レース時には臨時駐車場も設置されます。主要なアクセスルートは以下の通りです。
鉄道では、JR御殿場線の御殿場駅や駿河小山駅からバスを利用するのが一般的です。御殿場駅からは、路線バスやタクシーで約30〜40分程度でアクセスできます。
北ゲート付近にはヘリポートがあり、事前予約で一般のヘリコプターが利用可能です。なお、最終コーナー内側のヘリパッドはドクターヘリ専用となっています。
富士スピードウェイに隣接する「富士スピードウェイホテル」をはじめ、周辺にはさまざまな宿泊施設があります。御殿場市や小山町のビジネスホテル、リゾートホテル、民宿など、選択肢が豊富です。
観光の拠点としても便利で、山中湖や河口湖、箱根といった観光地へのアクセスも良好です。ただし、レースやイベント開催時には宿泊施設が早く埋まるため、早めの予約が推奨されます。
富士スピードウェイを訪れる際は、各種イベントに合わせて観戦するのがおすすめです。特にSUPER GTやスーパーフォーミュラは人気が高く、迫力あるレースを間近で楽しめます。
富士スピードウェイの周辺には御殿場プレミアムアウトレットや富士山を望む観光地が点在しています。レース観戦の合間に、観光も楽しむことができます。
富士スピードウェイは、日本のモータースポーツ文化を象徴する存在として、長い歴史と共に進化を遂げてきました。かつての30度バンクのスリルや、現在の多様なコースレイアウトは、多くのファンに刺激と感動を与え続けています。安全性と楽しさを両立する場として、これからも国内外から注目を集めるでしょう。