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深良用水

(ふから ようすい)

山を貫く奇跡の歴史水路

深良用水は、神奈川県箱根の芦ノ湖の湖水を静岡県裾野市へ引き込むために築かれた灌漑用水路です。江戸時代に完成し、現代まで続くその役割と歴史は、多くの人々にとって学びと観光の対象となっています。

深良用水の概要

深良用水は、箱根山を貫くトンネルを通して芦ノ湖から水を引き、静岡県裾野市、御殿場市、長泉町、清水町の広範囲にわたる地域に水を供給しています。その全長は1,280メートルであり、芦ノ湖から湖尻峠付近の地下を通り、狩野川水系黄瀬川の支流である深良川へ流れ込む仕組みとなっています。

通水350周年の節目

2020年には通水350周年を迎え、この節目を記念して裾野市と県芦湖水利組合が様々な記念事業を計画しました。さらに、2023年には土木学会選奨土木遺産に認定され、深良用水の価値が改めて見直されています。

名称について

深良用水は「箱根用水」や「箱根湖水」とも呼ばれていますが、2014年に世界かんがい施設遺産として登録された際には「深良用水」の名称が用いられました。

用水の規模と利用

かんがい面積とトンネルの仕様

深良用水は527.153ヘクタールの農地を灌漑しており、その内訳は裾野市が336.541ヘクタール、御殿場市が1.760ヘクタール、長泉町が172.658ヘクタール、清水町が16.194ヘクタールです。

トンネルの長さは1,280メートル、幅と高さはいずれも1.8メートルで設計されています。

多様な用途

深良用水は農業用水だけでなく、生活用水、防火用水、さらには水力発電にも利用されています。特に水力発電事業では、東京発電株式会社が深良川第一発電所を運営し、安定した電力供給を実現しています。

歴史的背景

工事の発端と挑戦

深良用水の工事は、江戸時代前期の1666年に始まり、1670年に完成しました。駿河国深良村の名主、大庭源之丞が発案し、江戸の商人友野与右衛門や地元の農民たちが協力して工事を進めました。

当時の土木技術や測量技術がいかに優れていたかを示す例として、トンネルの掘削には酸欠を防ぐための息抜き穴が設けられ、精密な計算のもとでトンネルの傾斜が設計されました。

トンネル掘削の苦労

芦ノ湖側と深良側の両端から掘り進めたトンネルは、1メートル程度の段差があるものの、計画通りに接続されました。この段差は水の流れを確保するための工夫であり、当時の設計者の知恵が光ります。

現代の運用と管理

現在、深良用水の維持管理は、静岡県芦湖水利組合が中心となって行っています。この組合は1957年に設立され、裾野市長が管理者、長泉町長が副管理者を務めています。また、地域ごとに選出された水配人が水の配分を担っています。

地域における役割

深良用水は地域農業の基盤として重要であるだけでなく、住民の生活や防災にも寄与しています。そのため、用水路や堰の保守作業が継続的に行われています。

観光資源としての深良用水

深良用水はその歴史的意義や土木技術の高さから、観光資源としても注目されています。トンネル内の点検作業が一般公開される可能性があることも、観光客にとって興味深い体験となるでしょう。

深良用水を訪れる際は、地域の農業や歴史的背景について学ぶ良い機会となります。また、周辺の観光地と合わせて訪れることで、より充実した時間を過ごせるでしょう。

まとめ

深良用水は、江戸時代に築かれた貴重な灌漑用水路であり、現代に至るまでその役割を果たし続けています。その歴史や技術は、観光や教育の面でも高い評価を受けています。地域の発展に寄与しつつ、未来へとその価値を伝える深良用水をぜひ一度訪れてみてはいかがでしょうか。

Information

名称
深良用水
(ふから ようすい)
Fukara Irrigation Canal
エリア
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カテゴリ
史跡・文化財・建造物・世界遺産

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