御祭神・金山彦命と南宮大社の歴史
鉱山や金属に関わる人々から信仰されてきた神社
南宮大社の主祭神である金山彦命は、金属や鉱山に関わる神として知られています。社伝では、神武天皇の東征の際に金鵄を助けて霊験を示し、その後、不破郡府中に祀られたと伝えられています。さらに、崇神天皇の時代に美濃仲山の麓に遷座したとされています。
南宮大社は、貞観15年(873年)に正二位に叙せられました。また、『延喜式神名帳』では、美濃国の神社の中で唯一の国幣大社として記され、名神祭に預かる神社に列せられています。
天慶3年(940年)の平将門の乱や、康平年間(1058~1065年)の安倍貞任追討に際しても、神験があったと伝えられています。こうした歴史を背景に、源氏や北条氏、土岐氏などの有力な武家からも崇敬を受けてきました。
美濃国一宮として地域の信仰を支えるとともに、全国の鉱山業・金属業に関わる人々にとっても重要な参拝地となっています。
徳川家光による社殿の再建
関ケ原の戦いで焼失した社殿を、江戸時代に再建
南宮大社の社殿は、慶長5年(1600年)の関ケ原の戦いで焼失しました。その後、美濃の人々の願いと、春日局や竹中伊豆守などの崇敬を背景に、寛永19年(1642年)、江戸幕府3代将軍・徳川家光の命によって再建されました。
再建にあたっては、旧来の社殿の構成が受け継がれました。以後も歴代将軍から朱印状が与えられ、社領405石が安堵されたと伝えられています。また、51年ごとの式年遷宮も古式を守りながら続けられてきました。
現在の社殿群からは、江戸時代の神社建築の様式や、当時の人々が寄せた信仰の深さを感じることができます。
「南宮造」と呼ばれる社殿建築
和様と唐様を組み合わせた独特の建築様式
南宮大社の社殿は、和様と唐様を折衷した独特の様式で建てられており、「南宮造」と呼ばれています。朱塗りの建物や細部に施された装飾が特徴で、境内に広がる社殿群は、歴史的にも建築的にも価値の高い文化遺産です。
本殿、幣殿、拝殿、回廊、勅使殿、高舞殿、楼門などをはじめ、摂社の本殿や石鳥居、石輪橋など、18棟が国の重要文化財に指定されています。
また、寛永年間の造営に関する文書も623冊所蔵されています。社殿の再建に関する記録が残されており、当時の神社建築や造営の歴史を知るうえでも貴重な資料となっています。
朱塗りの鳥居が並ぶ南宮稲荷神社
朱色の鳥居が連なる、趣深い参道
境内の南門から西へ進むと、南宮稲荷神社があります。参道には朱塗りの鳥居が連なり、静かな雰囲気の中を歩きながら参拝できます。
鳥居が連なる景色は、京都の伏見稲荷大社を思わせる趣があります。南宮大社の社殿群とはまた異なる風情を楽しめる、境内の見どころの一つです。
貴重な刀剣「刀 銘三条」
名工・三条宗近にゆかりのある貴重な刀剣
南宮大社には、平安時代の刀工・三条宗近の作と伝わる「刀 銘三条」が所蔵されています。希少な刀剣として知られ、国の重要文化財に指定されています。
宝物殿は、例年、文化の日にあたる11月3日に一般公開されています。公開状況は変更される場合があるため、見学を希望する際は事前に確認することをおすすめします。
御神木「白玉椿」
古くから大切にされてきた、白い花を咲かせる椿
南宮大社の御神木として知られる白玉椿は、白く美しい花を咲かせる椿です。古くから常緑の木として珍重され、宮中の儀式とも関わりのある植物として伝えられています。
宮中で行われる豊明節会の際には、巫女が椿の枝を携えて京都御所に赴き、庭で舞を奉納したと伝えられています。白玉椿は、南宮大社に伝わる歴史や祭祀文化を感じさせる存在です。
国指定の文化財
重要文化財(建造物)
南宮大社には、江戸時代の社殿建築を中心とした貴重な文化財が残されています。国の重要文化財に指定されている建造物は、次のとおりです。
- 南宮神社の本殿、幣殿、拝殿
- 回廊2棟、勅使殿、高舞殿、楼門、神輿舎、神官廊
- 摂社・樹下神社本殿、高山神社本殿、隼人神社本殿、南大神神社本殿、七王子神社本殿
- 輪橋(石輪橋)、下向橋、石鳥居
- 造営文書623冊
重要文化財(工芸品)
南宮大社には、刀剣や祭祀に関わる工芸品も伝えられています。
- 太刀 銘康光:備前国長船の名匠による室町時代の作品
- 太刀 銘三條:平安時代の刀工・三条宗近の作品と伝わる名刀
- 鉾(無銘)2本:奈良時代の鉄製の鉾
重要無形民俗文化財
南宮大社に伝わる「南宮の神事芸能」は、国の重要無形民俗文化財に指定されています。地域に受け継がれてきた祭祀や伝統芸能を知るうえで、貴重な文化遺産です。
歴史と信仰が息づく美濃国一宮
南宮大社は、長い歴史を持つ美濃国一宮であり、金属や鉱山に関わる人々から厚く信仰されてきた神社です。徳川家光の時代に再建された社殿群や、朱塗りの鳥居が連なる参道、貴重な刀剣や伝統芸能など、見どころが豊富にあります。
美しい建築と豊かな歴史に触れながら境内を巡れば、古くから受け継がれてきた信仰と文化を感じられます。岐阜県西部を訪れる際には、ぜひ立ち寄りたい歴史ある神社です。
文化財
重要文化財(国指定)
南宮神社(18棟)
本殿、幣殿、拝殿、回廊(2棟)、勅使殿、高舞殿、楼門、神輿舎、神官廊
摂社:樹下神社本殿、高山神社本殿、隼人神社本殿、南大神神社本殿、七王子神社本殿
輪橋(石輪橋)、下向橋、石鳥居
造営文書(623冊)
工芸品
太刀 銘康光:備前国長船の名匠、室町時代の作品
太刀 銘三條:平安時代の名刀、三条宗近の作品
鉾(無銘)2本:奈良時代の鉄製の鉾
重要無形民俗文化財(国指定)
南宮の神事芸能