館内の展示と見どころ
1階「大地との対話」
1階の「大地との対話」では、旧糸貫町の古代から近世に至るまでの歴史や、人々の暮らしに関する資料を展示しています。なかでも、船来山古墳群から発掘された出土品は見どころの一つです。
須恵器や勾玉、雁木玉などの装飾品をはじめ、復元された154号墳の石室などを通して、古墳時代の文化や当時の生活の様子を知ることができます。また、「昔の生活・今ここに」や「農業は水との戦い」といった展示コーナーも設けられ、地域の歴史と人々の営みを幅広く紹介しています。
2階「KAKIスクエア」
2階の「KAKIスクエア」は、地域の特産品である柿をテーマにした展示室です。柿の歴史や品種、利用方法、加工品などについて、さまざまな資料を通して学べます。
また、アニメーションを使った物語やクイズも用意されており、子どもから大人まで楽しみながら柿について理解を深められます。なかでも、本巣市の特産品として知られる富有柿が地域に根付くまでの苦労や歴史は、興味深い見どころです。
船来山古墳群の歴史と価値
船来山古墳群(ふなきやまこふんぐん)は、岐阜県本巣市と岐阜市にまたがる船来山や郡府山周辺に築かれた、東海地方最大級の古墳群です。3世紀中頃から7世紀後半にかけて、400年以上にわたり古墳が造営されました。
船来山は濃尾平野の北縁部に位置し、東西約2キロメートル、南北約600メートルの独立丘陵に、多数の墳丘墓や古墳が築かれています。古墳の数は1,000基以上と推測され、確認・発掘された古墳も数多くあります。古墳群はAからSまでの支群に分けられています。
古墳時代前期には前方後円墳や前方後方墳が築かれ、後期になると円墳を中心に多くの古墳が造営されました。長い期間にわたって形成された古墳群は、当時の社会や地域の歴史を知るうえで重要な遺跡です。
古墳の分布と形状
船来山古墳群には、方形周溝墓や土壙墓に分類されるもののほか、前期・中期・後期のさまざまな古墳が含まれています。4世紀後半までは主尾根を中心に造営され、その後は支尾根や斜面にも築かれるようになりました。
古墳の形状も多様で、円墳、方墳、前方後円墳、前方後方墳などが確認されています。後期の古墳には、墳丘の形が明確に分からなくなっているものや、横穴式石室を備えたものも多く見られます。
古墳と柿の館で見学できる主な出土品
土器・装飾品・武具
船来山古墳群からは、土師器や須恵器などの土器をはじめ、勾玉、管玉、切子玉、算盤玉、蜻蛉玉、雁木玉などの装飾品が出土しています。さらに、石釧や耳環、鉄刀、鉄剣、鉄鉾、短甲、馬具、鉄鏃、銅鏃なども確認されています。
このほか、鎌、鉈、鑿、鋸といった生活用具や、銅鏡、円筒埴輪、朝顔形埴輪なども出土しています。これらの遺物は、当時の人々の生活や埋葬の習慣、地域間の交流を知るための貴重な手がかりです。
近畿地方や大陸との交流を示す遺物
船来山古墳群の出土品には、近畿地方や大陸とのつながりをうかがわせるものが数多く含まれています。一方、尾張系の須恵器は比較的少ないことも特徴です。
こうした出土品は、古墳時代の地域社会や広域的な交流を考えるうえで重要な資料となっています。船来山古墳群出土品は、岐阜県の重要文化財(考古資料)に指定されており、古墳と柿の館でその一部を見学できます。
船来山古墳群の主な古墳
5号墳
5号墳は、全長約60メートルを誇る前方後円墳です。船来山古墳群のなかでも最大規模の古墳で、当時の有力者の存在を考えるうえで重要な遺跡です。
24号墳
24号墳は円墳です。1967年(昭和42年)7月の豪雨による土砂崩れをきっかけに副葬品が確認され、上方作銘獣形鏡など5面の鏡や鉄剣が見つかりました。出土品は、当時の埋葬文化を知る貴重な資料となっています。
26号墳
26号墳は前方後円墳で、全長約43メートル、後円部の直径は約27メートルです。4世紀中頃から後半にかけて築造されたとされ、墳丘は三段に築かれています。
27号墳
27号墳は円墳で、鼉龍鏡(だりゅうきょう)と呼ばれる、古代の鏡を模して製作された仿製鏡(ぼうせいきょう)が出土しています。
62号墳
62号墳は全長40メートルを超える前方後円墳です。古墳時代前期に築造されたと考えられ、墳丘の表面は葺石で覆われていました。富有柿の里の近くに位置しています。
注目される古墳と貴重な出土品
98号墳
98号墳は全長約40メートルの前方後円墳で、Q支群に属する前期古墳です。日本で17例目となる方形板革綴短甲(ほうけいいたかわとじたんこう)が出土したことで知られています。
145号墳
145号墳はM支群に属する円墳です。石室内の床面には、棺を支える台の柱穴と考えられる遺構が確認されています。また、後期古墳のなかでは最も古い時期に位置付けられる須恵器の蓋坏(ふたつき)が出土しています。
154号墳
154号墳はH支群に属する円墳で、6世紀中頃に築造されました。石棺にはチャートが使用されています。石室内からは、追葬に伴ってまとめられたと考えられる土器が出土しました。古墳と柿の館では、この古墳の石室が復元展示されています。
243号墳
243号墳は円墳で、三角縁六神鏡など5面の銅鏡が出土しています。鏡の種類や数は、当時の有力者の地位や広域的な交流を考えるうえで重要な資料です。
石室が赤く彩色された赤彩古墳
船来山古墳群には、石室の内部がベンガラによって赤く彩色された古墳もあります。272号墳と、その隣接地にある19号墳、274号墳は「赤彩古墳」と呼ばれています。
特に272号墳では石室の復元作業が行われており、「赤彩古墳の館」で年に2回公開されています。古墳時代の埋葬文化や、石室を彩色した当時の人々の信仰や美意識を知るうえで、貴重な見学機会となっています。
国の史跡指定と地域の歴史遺産
船来山古墳群は、2018年(平成30年)に本巣市側の古墳111基を含む区域が国の史跡に指定されました。2019年(平成31年)2月26日にも国の史跡指定に関する記載があり、地域を代表する重要な文化遺産として保護されています。
周辺には、池田町の願成寺西塚之越古墳群や、養老町の象鼻山古墳群など、歴史的価値の高い遺跡もあります。これらの古墳群をあわせて巡ることで、岐阜県西部から濃尾平野周辺に広がる古代の歴史を、より深く理解できます。
古墳と柿の館を訪ねて
古墳と柿の館は、船来山古墳群から出土した貴重な考古資料と、本巣市の特産品である柿の歴史や文化を学べる博物館です。古墳時代の土器や装飾品、復元された石室を通して古代の暮らしに触れられる一方、柿の展示では地域の農業や食文化について知ることができます。
歴史に興味のある方はもちろん、地域の特産品や文化を知りたい方にもおすすめの施設です。展示を通して、本巣市に受け継がれてきた歴史と、豊かな地域の魅力を感じてみてはいかがでしょうか。