伊奈波神社の歴史と創建
古代に始まる由緒
伊奈波神社の創建は、景行天皇14年にさかのぼると伝えられています。武内宿禰が稲葉山北西の椿原、現在の岐阜公園内にある丸山付近に、五十瓊敷入彦命(いにしきいりひこのみこと)を祀ったことが始まりとされています。
壬申の乱の際には、天武天皇が戦勝を祈願したとも伝えられています。古くから地域の歴史と深く結び付き、人々の信仰を集めてきた神社です。
現在地への遷座と発展
天文8年(1539年)、斎藤道三が稲葉山城を築くにあたり、伊奈波神社は現在の場所へ遷座したと伝えられています。その際、当地にあった物部十千根命を祀る物部神社も合祀されました。
その後も地域の人々から篤い崇敬を受け、明治6年(1873年)には県社に列格。昭和14年(1939年)には国幣小社に昇格しました。さらに、昭和27年(1952年)7月には、岐阜県神社庁から金幣社の指定を受けています。
古典史料に記された神社
『延喜式神名帳』には「伊奈波神社」の社名は見られませんが、小社として「物部神社」の名が記されています。これが伊奈波神社に合祀された物部神社であるとする説のほか、伊奈波神社自体が式内・物部神社であるとする説もあります。
また、『美濃国神名帳』には「正一位 伊奈波大神」「従五位下 物部明神」の記載があり、古くから神聖な場所として崇敬されてきたことがうかがえます。
日本遺産の構成文化財
2015年には、「信長公のおもてなし」が息づく戦国城下町・岐阜を構成する文化財のひとつとして、日本遺産に認定されました。岐阜の歴史や文化を知るうえでも重要な神社です。
伊奈波神社の祭神
主祭神・五十瓊敷入彦命
主祭神は、垂仁天皇の第一皇子とされる五十瓊敷入彦命(いにしきいりひこのみこと)です。この地の開拓神として信仰され、地域の発展と人々の暮らしを見守る神様として崇敬されています。
ともに祀られる神々
境内には、主祭神の妃である淳熨斗媛命(ぬのしひめのみこと)、母の日葉酢媛命(ひばすひめのみこと)、外祖父の彦多都彦命(ひこたつひこのみこと)、臣下の物部十千根命(もののべのとちねのみこと)も祀られています。これらの神々は、総称して伊奈波大神と呼ばれています。
境内の建造物と見どころ
荘厳な社殿と神橋
境内には、一の鳥居・二の鳥居をはじめ、遥拝所、神橋、楼門、神門、拝殿、幣殿、本殿などが配置されています。参道を進むにつれて、歴史ある神社ならではの厳かな空気を感じられます。
明治24年(1891年)の濃尾地震によって社殿が焼失しましたが、翌年には本殿が復興されました。その後、昭和4年(1929年)から昭和15年(1940年)にかけて、二本松孝蔵の設計により現在の社殿が建造されました。
本殿は入母屋造りで、五柱の神様が祀られています。建築の趣や境内の静かな雰囲気を味わいながら、ゆっくりと参拝できます。
境内社と茶室
境内には、黒龍神社、須佐之男神社(津島神社)、岐阜東照宮、和歌三神社、松尾神社などの境内社があります。また、茶室の水月亭や社務所、参集殿、西館などの施設も設けられています。
境外摂社として丸山神社もあり、周辺の歴史や信仰に触れながら散策を楽しめます。
伊奈波神社の祭礼と年中行事
節分祭
毎年2月3日には節分祭が行われます。節分特別祈祷のほか、夕方には節分手筒煙火奉納も行われ、季節の節目を迎える神事として親しまれています。開催時間や内容は年によって異なる場合があるため、参拝前に確認すると安心です。
岐阜まつり
4月には、金神社・橿森神社と共同で岐阜まつりが行われます。市内を練り歩いた山車や神輿が集まり、街は祭りの熱気に包まれます。
祭りの時期には周辺の桜も見頃を迎え、歴史ある神社と春の風景を一緒に楽しめます。参拝とあわせて、岐阜の伝統文化に触れてみてはいかがでしょうか。
四季の自然とともに楽しむ参拝
伊奈波神社は、歴史ある社殿だけでなく、季節ごとに変化する自然も魅力です。春には桜が境内や周辺を彩り、祭礼の時期には多くの人でにぎわいます。一方、普段の日には落ち着いた雰囲気のなかで、ゆっくりと参拝できます。
初詣の時期には、年越し前から多くの人々が参拝に訪れます。岐阜の歴史と信仰を感じられる場所として、地元の人々はもちろん、観光客にも親しまれています。
岐阜の歴史と信仰を伝える伊奈波神社
伊奈波神社は、1900年以上の歴史を持つと伝えられる、岐阜を代表する由緒ある神社です。古代から受け継がれる信仰、壮麗な社殿、節分祭や岐阜まつりなどの伝統行事を通じて、地域の歴史と文化を今に伝えています。
岐阜城や岐阜公園などの周辺観光とあわせて訪れれば、戦国時代から現代へと続く岐阜の歩みを、より深く感じられるでしょう。