中郷温水池は、静岡県三島市富田町に位置するため池で、2010年3月25日に 農林水産省の「ため池百選」に選定されました。中郷温水池は、地域の歴史や農業用水の供給、さらには景観の美しさからも注目される場所です。
水源は三島駅前にある国の天然記念物・名勝である楽寿園内の小浜池です。この池から流れる水を活用するため、室町時代の豪族・寺尾源兵衛が 源兵衛川を掘削し、11カ村の灌漑を目的としました。中郷温水池自体は1953年に建設され、下流の13集落、216ヘクタールの農地へ温めた湧水を供給しています。
1990年度以降、農林水産省の水環境整備事業の一環として、多自然型工法を導入。コンクリート護岸を自然豊かな形へ改変し、散策路や緑地帯が整備されました。これにより、市民が親しめる憩いの場としても再生が進められています。
源兵衛川は全長1.5キロメートルの農業用水路を起源とし、狩野川水系に属する一級河川です。楽寿園内の小浜池を水源とし、中郷温水池に注ぎます。名前の由来は、用水路を開削した寺尾源兵衛にちなんでいます。
奈良時代に掘削された源兵衛川は、地域の農業用水路として活用されてきました。湧水の水温を上げるため、中郷温水池が温水溜池として作られました。当時は生活用水としても使用され、川岸の家庭では食物を川で冷やすなどの利用がされていました。
1960年代以降、都市化の進展に伴い、地下水の減少や生活排水の流入による水質悪化が進行しました。しかし、市民や行政、NPO団体が協力して環境改善の活動を開始。平成2年には「水の都三島」を復活させるためのプロジェクトがスタートし、多くの市民の手で再生が進められました。
現在も「町中がせせらぎ事業」が継続され、源兵衛川とその周辺地域は都市景観大賞や手づくり郷土賞など数々の賞を受賞しています。また、2008年には「平成の名水百選」に選ばれ、2012年には伊豆半島ジオパークのジオサイトとして認定されました。
源兵衛川には12の橋が架かり、それぞれ趣の異なる景観を楽しめます。散策路沿いには自然植生が再生され、多種多様な動植物が生息しています。特に、ため池南岸から眺める水面に映る「逆さ富士」は絶景として知られています。
源兵衛川には、三島梅花藻(ミシマバイカモ)やセリ、セキショウといった植物が自生しています。また、メダカやホトケドジョウ、ミナミヌマエビなど100種類以上の動植物が生息する貴重な環境です。
国道136号線を利用して訪れることができます。
JR三島駅または伊豆箱根鉄道駿豆線三島田町駅から徒歩で訪問可能です。駅からの道のりも整備されており、散策を楽しみながら訪れることができます。