井田松江古墳群は、静岡県沼津市井田に位置する横穴式古墳群で、静岡県指定の史跡として認定されています。駿河湾を望む標高60~75メートルの尾根上にあり、6世紀末に築造されたとされています。
この古墳群が初めて文献に記録されたのは1800年(寛政12年)、『豆州志稿』巻十二「荒墳」の項目でのことです。現存する17基はすべて円墳と考えられており、その発掘調査や保存整備がこれまでに4回行われています。
1954年(昭和29年)、三島南高校の教諭であった長田実氏の指導のもと、7号墳が調査されました。しかし、同年冬に高校で発生した火災により多くの出土品が焼失してしまいました。一部の遺物は戸田村立博物館に収蔵されています。
戸田村教育委員会の計画により行われた調査では、県道建設計画による遺跡破壊が懸念されたため、9号墳と18号墳の調査が実施されました。この調査で石棺が発見されましたが、報告書は作成されませんでした。
静岡県教育委員会文化課の指導のもと、重要遺跡の保護を目的に調査が行われました。この調査では、石室の実測図や地形測量図が作成され、7号墳・18号墳などの詳細が記録されました。
本古墳群が県の史跡に指定されたことを契機に、井田松江古墳群調査整備委員会が組織されました。この調査では、青山学院大学教授の田村晃一氏を委員長とし、7号墳や18号墳の再調査および石室公開に向けた整備が行われました。
直径約12メートル、石室全長約8.8メートル。乱石積みの構造を持ち、玄室は長さ約5.7メートル、幅1.4~1.8メートルです。
直径約11メートルの楕円形墳丘で、無袖横穴式石室を持ちます。石室全長は約8.2メートルで、大小2基の石棺が確認されています。
18号墳から出土したこの大刀の把頭は、亀甲繋文や鳳凰文様が施されており、6世紀第4四半期のものと考えられています。同様の文様を持つ把頭の類例が多数存在することから、当時の規格品であったと推測されています。
X線撮影の結果、過去の出土品の中から象嵌鐔が4点確認されました。文様はハート形文や渦文が特徴で、これらも6世紀第4四半期から6世紀末のものとされています。
静岡県沼津市井田松江山974
井田松江古墳群は現在、展望台「煌めきの丘」から容易にアクセスできます。見学の際には保存状態に配慮し、遺跡や周囲の自然を大切にしてください。