愛鷹山は、静岡県東部に位置する火山で、富士山の南に隣接しています。その最高峰である標高1,504.2mの越前岳をはじめとする山々からなるこの山塊は、日本二百名山にも選ばれています。狭義には、標高1,187.5mの愛鷹山峰を指しますが、愛鷹山塊や愛鷹連峰とも呼ばれることがあります。
愛鷹山は火山としての特徴と豊かな自然を兼ね備えた山です。標高800メートル以上のエリアには、特有の植物群が生息し、四季折々の景観を楽しむことができます。また、古くから信仰の対象としても知られ、多くの歴史的・文化的価値を持っています。
愛鷹山は第四紀に形成された成層火山です。約40万年前に箱根火山や小御岳火山とともに噴火活動を始め、10万年前に黒岳溶岩ドームや火砕流を噴出した後、活動を終えました。この山はフォッサマグナ地域に含まれ、フィリピン海プレートとユーラシアプレートの境界付近に位置しています。
かつて位牌岳の西側には火口があったとされますが、長い年月を経て明瞭な火口地形は失われています。山体の北側は、その後成長した富士山の裾野に取り込まれています。
愛鷹山の標高800メートル以上では、ピンク色のアシタカツツジをはじめとする植物が生息しています。これらの植物群は環境省による特定植物群落調査にも選定されています。また、ブナの原生林が広がり、季節ごとにヤマボウシやトリカブトなどの花々が咲き誇ります。
愛鷹山の南東側には「つるべ落としの滝」と呼ばれる美しい滝があり、南麓には茶畑が広がっています。また、交通の要衝である新旧の東名高速道路や東海道新幹線が通るエリアにも位置しているため、アクセスが便利です。
愛鷹山山頂には愛鷹明神を祀る桃沢神社が鎮座しています。この山は古くは「足高山」とも記され、富士山を中心に、山梨県の足和田山や箱根の足柄山とともに「富士三脚」と呼ばれていました。また、縁起の良い初夢として知られる「一富士、二鷹、三なすび」の「鷹」は愛鷹山を指すという説もあります。
愛鷹山の西麓に位置した東泉院(現在の富士市今泉、廃寺)は、愛鷹山信仰と深い関わりを持っていました。この院には「愛鷹山縁起」が伝わっており、「穀集山大縁起」「今山縁起」「五社記」などの記録が残されています。また、東泉院の院主は「富士愛鷹両山惣別当」を称していたことから、この山が信仰の対象であったことがうかがえます。
愛鷹山からの眺望は素晴らしく、駿河湾や富士山を望むことができます。特に以下の場所からの眺めは観光客に人気です:
また、江戸時代の浮世絵師・歌川広重による「東海道五十三次・原」にも、富士山の右手前に愛鷹山が描かれています。
愛鷹山へのアクセスは静岡県内の主要交通網を利用できます。東名高速道路や東海道新幹線が近隣を通過しており、裾野市や富士市から登山口へのアクセスが便利です。