江浦横穴群は、静岡県沼津市江ノ浦に位置する横穴墓群で、地域の歴史と文化を語る重要な遺跡です。正式には1977年(昭和52年)3月に静岡県指定史跡として登録されました。江浦は「江野浦」「江ノ浦」とも表記されることがあります。
江浦横穴群は、駿河湾沿岸地域の凝灰岩を掘削して作られた横穴群で、沼津市江ノ浦から多比に広がる広範囲にわたっています。全体は以下の4つの地区に分類され、計92基の横穴が確認されています。
また、横穴群の東方150メートル、標高100メートルの丘陵上には小円墳群(江浦古墳)が存在し、7世紀末から8世紀前半の遺跡と推定されています。
横穴群と小円墳に埋葬された被葬者の社会的地位の違いや、それを築いた集団の関係性については明確には分かっていません。しかし、横穴群を築いた集団が移住民であり、古墳群を築いた地元住民とは異なるという考え方もあります。
江浦横穴群の存在が広く知られるようになったのは、1947年(昭和22年)に静岡県立沼津東高等学校郷土研究部による踏査がきっかけです。その後、1970年代に沼津市周辺の開発が進む中、横穴群の保存が課題となり、1974年度に分布測量調査が実施されました。
調査は1975年(昭和50年)3月1日から約1ヶ月半にわたり行われ、平板測量を用いて横穴群の位置関係が記録されました。山地の勾配が急であるため、基礎調査として等高線測量も行われています。
正式に静岡県指定史跡とされているのはA地区の74基です。横穴は以下のような特徴を持っています。
A28:全長0.60メートル、標高58.220メートル
A45:全長3.90メートル、標高50.510メートル(奥壁:高さ1.75メートル)
B1:全長2.35メートル、標高49.540メートル
B2:全長1.27メートル、標高41.440メートル
C1:全長0.90メートル、標高37.430メートル
C9:全長2.56メートル、標高48.050メートル
横穴群の上方にある標高100〜120メートルの小円墳は、4基確認されています。一部墳丘の形状は失われていますが、石室の一部が露出している状態です。
江浦横穴群からは、須恵器の一部として以下のような遺物が発見されています。
その他にも鉄刀片や人骨が検出されたとされていますが、詳細は明らかにされていません。
静岡県沼津市江浦大洞・東山
公共交通機関:
沼津駅から伊豆長岡温泉行(伊豆箱根バス)、木負行(東海バス)で23分、「江の浦中央公民館」バス停下車、徒歩20分。
近隣には静岡県指定史跡「井田松江古墳群」もあり、合わせて訪れるのがおすすめです。
江浦横穴群は、古代の埋葬文化や地域の歴史を理解する上で貴重な遺跡です。静岡県沼津市を訪れた際には、ぜひ足を運び、その歴史の一端に触れてみてください。