「日本新三大夜景都市」札幌を代表する夜景スポット
札幌市は、長崎市、神戸市とともに「日本新三大夜景都市」に認定されています。藻岩山の山頂展望台は、その札幌を代表する夜景スポットの一つです。
藻岩山から眺める夜景は、函館山や小樽市の天狗山とともに「北海道三大夜景」の一つとされ、さらに「日本の夜景100選」にも選ばれています。石狩平野に広がる札幌の街明かりを高所から一望できる、札幌観光ではぜひ訪れたい場所です。
ロープウェイと「もーりすカー」で山頂へ
藻岩山の山頂へは、北側から「もいわ山ロープウェイ」を利用し、中腹駅からミニケーブルカー「もーりすカー」に乗り継いで向かうことができます。
ロープウェイでは、森に囲まれた山の景色を楽しみながら中腹へ移動できます。中腹から山頂までは、世界初の駆動方式を採用した「もーりすカー」が森の中を進みます。
南側からは「藻岩山観光自動車道」を利用して中腹まで車で向かうこともできます。中腹駅から山頂展望台へは「もーりすカー」を利用します。なお、観光自動車道は冬季に休業します。
5つの登山道で自然を満喫
藻岩山には5つの登山道が整備されており、最短約2.4km、最長約4.5kmのコースを歩いて山頂を目指すことができます。
比較的気軽に登れる山として札幌市民にも人気があり、夏の週末には多くの登山客でにぎわいます。ロープウェイなどを利用した観光とは異なり、森林の中を歩きながら藻岩山の自然をじっくり楽しめるのが魅力です。
アイヌ文化と深い関わりを持つ山
藻岩山は、アイヌ語で「インカルシペ(インカルシュペ)」と呼ばれていました。「いつも登って見張りをするところ」という意味を持つとされ、アイヌの人々にとって重要な聖地であり、尊い神の山とされていました。
異変が起きた際には山腹に「カムイシュネ(神の炬火)」が灯ると伝えられ、山鳴りがすると大吹雪や天然痘の流行などの兆しとして警戒したといわれています。天然痘が流行した際には、この山に逃げ込み、神の加護を願ったという伝承も残されています。
藻岩原始林と豊かな自然
藻岩山には豊かな森林が残されており、1915年(大正4年)には北海道庁によって原生天然保護林に指定されました。その後、1921年(大正10年)3月3日には「円山原始林」とともに北海道で最初の天然記念物に指定されています。
指定区域は約284.7haの国有林で、現在も貴重な自然環境が保たれています。
多彩な植物が見られる森林
藻岩山では100種を超える樹木が確認されています。冷温帯性の落葉広葉樹林が多く、北側や東側の斜面には、イタヤカエデやシナノキを中心とした森林が広がっています。
ミズナラやホオノキなども混生しており、山頂付近ではダケカンバの林を見ることができます。春から夏にかけては新緑、秋には美しい紅葉と、季節ごとに異なる森林の表情を楽しめます。
多様な動物たちが暮らす山
藻岩山周辺では、エゾシカやヒグマなどの大型哺乳類が確認されています。エゾリス、エゾシマリス、エゾモモンガなどのリス類や、エゾユキウサギも生息しています。
このほか、特定外来生物に指定されているアライグマも定着・拡大しています。豊かな自然が残されている一方、野生動物との共生や環境保全も重要なテーマとなっています。
多彩な鳥類と昆虫
藻岩山と円山周辺では120種を超える鳥類が確認されています。夏鳥を含む繁殖期には、特に多くの種類や個体を見ることができます。なかでも、天然記念物に指定されているクマゲラの繁殖例が知られています。
昆虫も非常に豊富で、藻岩山では数千種が確認されています。チョウ類は約90種が生息し、日本の国蝶であるオオムラサキをはじめ、ミドリシジミ類やアゲハチョウ類など、さまざまな種類を見ることができます。
藻岩山の歴史と文化
藻岩観音
1885年(明治18年)、北海道新西国三十三番観音安置の許可を受けたことをきっかけに、藻岩観音が建立されました。1901年(明治34年)には、西国三十三所観音霊場にならった33体の観音像が各所に置かれ、山頂には石堂が造られました。
現在の藻岩観音奥の院は、1992年(平成4年)に本格的な建築として完成しています。
旧札幌スキー場
戦後の占領期にあたる1946年(昭和21年)、進駐軍専用の札幌スキー場が建設されました。1958年(昭和33年)の第13回国民体育大会で使用されたのを最後に、自然保護のため立ち入りが禁止されました。
仏舎利塔
藻岩山の北東側、標高約178mの山麓近くには、白く美しい仏舎利塔が建っています。1959年(昭和34年)に建立されたもので、高さ約33m、基底幅約28mの規模を誇ります。インドのネール首相から贈られた仏舎利が安置されています。
藻岩山神社
ロープウェイ中腹駅の近くには藻岩山神社があります。1987年(昭和62年)に建立され、札幌伏見稲荷神社の境外末社となっています。
四季を通じて楽しめる自然
藻岩山は、季節によって異なる自然の表情を見せてくれます。春から初夏にかけては新緑、夏には森林浴や登山、秋には美しい紅葉、冬には雪景色とスキーを楽しむことができます。
山頂や尾根沿いでは、風の影響によって独特の形に成長した偏形樹(風衝樹形)を見ることもできます。特に4月から5月は平均風速が大きく、こうした自然の造形が目立つ季節です。
札幌市街から気軽に訪れられる山
藻岩山は札幌市南区北部に位置し、市街地からのアクセスが良いことも大きな魅力です。山頂までの移動手段が整備されているため、登山をしない人でも気軽に山上の絶景を楽しめます。
2017年度(平成29年度)には約90万6,000人が訪れるなど、多くの観光客や札幌市民に親しまれています。山頂の南東側には札幌藻岩山スキー場もあり、冬のレジャースポットとしても利用されています。
藻岩山にちなんで名付けられた小惑星
藻岩山は、天文学にもその名を残しています。小惑星「(5146) Moiwa」は、藻岩山にちなんで命名されました。
地質から見る藻岩山の成り立ち
藻岩山の基盤を構成する地質は、約650万~300万年前の第三紀中新世末から鮮新世にかけて、浅い海底に溶岩が噴出したことで形成された西野層と呼ばれる堆積岩です。
その後、約280万~230万年前にかけて、鮮新世末から第四紀更新世初頭に起きた3度の噴火によって安山岩質溶岩が噴出し、現在の藻岩山の山体が形成されたとされています。
札幌市街を見下ろす美しい山景は、長い地質時代を経て形づくられた自然の姿でもあります。