札幌市のほぼ中央に位置する標高531メートルの藻岩山。山頂からは札幌の街並みや日本海石狩湾、増毛暑寒別岳までの大パノラマを望めます。
アイヌ語では「インカルシベ(いつも上って見張りをするところ)」と言われ、かつてはアイヌの「聖地」でもありました。
夜景サミットにて、長崎、神戸とともに「日本新三大夜景都市」に認定された札幌。山頂展望台は、どこまでも広がる石狩平野に宝石をちりばめたような札幌の街あかりが望める絶景スポットです。
麓から中腹まではロープウェイか藻岩山観光自動車道を利用し、中腹から山頂までは世界初の駆動方式を採用したミニケーブルカー「もーりすカー」に乗車して、森のなかを抜けます。
札幌市民には気軽に登れる山として人気が高く、軽装で登れる5つの登山道(最短コース2.4km、最長コース4.5km)があり、夏場の週末には登山客で賑わいを見せます。
藻岩山(もいわやま)は、北海道札幌市の中心部から南西約5キロメートル(札幌駅の南西6km)に位置する標高531メートル (530.9m〈531.03m〉) の山です。
藻岩山にはロープウェイや自動車道が通り、展望台や冬季はスキー場により、札幌市民や観光客の行楽地となっています。
山頂に登るには、北側から「もいわ山ロープウェイ」と「もーりすカー」(ケーブルカー)を乗り継ぐか、南側から「藻岩山観光自動車道」(冬季休業)で中腹まで至り、「もーりすカー」に乗り換えて行くことができます。ともに有料。また、5つの登山道も整備されています。
山頂展望台からは石狩平野、そして石狩湾までを一望することができ、夜には札幌市街の夜景を楽しめます。夜景は、函館市の函館山、小樽市の天狗山とともに「北海道三大夜景」の1つとされ、日本の「夜景100選」にも認定されています。また、札幌市は2015年(平成27年)より「日本新三大夜景都市」に認定されています。
札幌市南区北部に位置し、中心部から近いという立地もあって、多くの市民や外国人を含む観光客でにぎわっています。2017年(平成29年)度の来訪者は約90万6000人。山頂の南東方向に札幌藻岩山スキー場があります。
小惑星(5146) Moiwaは藻岩山に因んで命名されました。
藻岩山の基盤を構成する地質は、650-300万年前、第三紀の中新世末から鮮新世に浅い海底に溶岩が噴出した際に形成された西野層と称される堆積岩です。角閃石デイサイト質溶岩・貫入岩、ハイアロクラスタイト(水冷破砕岩)、安山岩質軽石凝灰岩、泥岩からなります。その後、280-230万年前にかけて、鮮新世末から第四紀の更新世初頭に起きた三度の噴火により安山岩質溶岩が噴出し、山体を作りました。
現在の藻岩山は、アイヌ民族からアイヌ語で「インカルシペ(インカルシュペ)」(いつも登って見張りをするところ)と呼ばれていました。この山はアイヌにとっての聖地であり、尊い神の山でした。異変があると山腹にカムイシュネ(神の炬火)が灯るさまが眺められたという。山鳴りがするような時は、大吹雪や天然痘(疱瘡)の流行などの兆しとして警戒し、本当に天然痘の流行が始まればこの山に逃げ込み、神の加護を願いました。
藻岩山の原生林は、1915年(大正4年)に北海道庁より原生天然保護林に指定され、その後、1921年(大正10年)3月3日、「円山原始林」とともに北海道で最初の天然記念物に指定されました。指定区域は284.7ヘクタール (284.68ha) の国有林です。
1885年(明治18年)に北海道新西国三十三番観音安置の許可を受けたことより、藻岩観音が建立されました。1901年(明治34年)には、各所に西国三十三所観音霊場を模した33体の観音像が置かれ、山頂に石堂が造られました。現在の藻岩観音奥の院は、1992年(平成4年)に本格的建築として落成しました。
戦後占領期の1946年(昭和21年)に進駐軍専用の札幌スキー場が建設されました。1958年(昭和33年)の第13回国民体育大会における使用を最後に、自然保護のため立ち入りが禁止されました。
北東側の山麓に近い標高178メートルの位置に、白い仏舎利塔が建っています。1959年(昭和34年)に建立され、高さ33メートル、基底幅28メートル。インドのネール首相から贈られた仏舎利が安置されています。
ロープウェイ中腹駅の近隣にある藻岩山神社は、1987年(昭和62年)に建立されました。札幌伏見稲荷神社の境外末社となっています。
積雪は、札幌藻岩山スキー場の最上部では市街地に比べておよそ30センチメートル多いです。また、木々が芽吹く季節である4-5月は平均風速が大きく、それにより山頂や尾根沿いでは偏形樹(風衝樹形)が見られます。
樹木は100種余りが認められます。冷温帯性の落葉広葉樹林が最も多く、伐採の影響が見られない北・東斜面などにはイタヤカエデ(エゾイタヤ)・シナノキ林が広がり、ミズナラやホオノキなどが多様に混生しています。山頂付近にはダケカンバ林が見られます。
藻岩山周辺の大型哺乳類としては、エゾシカのほかヒグマも挙げられます。リス類は、エゾリス、エゾシマリスのほかエゾモモンガが生息します。また、エゾユキウサギも認められますが、キタキツネの増加により減少したといわれます。このほか特定外来生物であるアライグマも定着・拡大しています。
鳥類は藻岩山・円山でほぼ同様に120種余りが認められます。夏鳥を含む繁殖期に種数および個体数が最大になります。特に天然記念物のクマゲラの繁殖例が有名です。
昆虫は藻岩山で数千種が確認されています。チョウ類は藻岩山・円山に約90種が生息します。日本の国蝶であるオオムラサキが一部で観察され、多くのミドリシジミ類をはじめ、ウスバシロチョウ類を含むアゲハチョウのほか、本州では高地に生息するチョウも見られます。
・ロープウェイ
夏期(4月~11月)10時30分~22時
冬期(12月~3月)11時~22時
※上り最終21時30分
※12月31日、1月1日は短縮営業の為、施設にご確認下さい。
※例年4月に整備期間による運休あり。施設にご確認下さい。
・藻岩山観光自動車道
夏期(4月中旬~11月中旬予定)10時30分~22時
※上り最終21時20分
※営業期間は積雪等の状況により変更となります。
・ロープウェイ+もーりすカー(展望台までの往復料金)
大人2,100円 子供1,050円
※幼児は大人1人につき2人まで無料
・藻岩山観光自動車道
乗用車1,200円
マイクロバス2,400円
大型バス3,600円
※観光自動車道路は中腹駅が終点となります。山頂展望台に上る場合は、もーりすカー(ミニケーブルカー)をご利用ください。
・もーりすカー(展望台までの往復料金)
大人700円、子供350円
※幼児は大人1名につき2名まで無料
無料
地下鉄東西線円山公園駅から20分