約2億5千万年前の海が生み出した鍾乳洞
飛騨大鍾乳洞は1965年に発見され、1968年に観光鍾乳洞として一般公開されました。観光できる部分の全長は約800メートルで、未開発の洞窟部分は約1,000メートルに及びます。
この地域は、約2億5千万年前には海底だったと考えられています。当時のサンゴなどを起源とする石灰石が長い年月をかけて変化し、現在の鍾乳洞が形成されました。洞内からはウミユリやフズリナなどの化石も多数発見されており、太古の海の歴史を今に伝えています。
水滴に含まれる成分が少しずつ堆積することで、鍾乳石や石筍などの独特な形が生まれます。自然が気の遠くなるような時間をかけてつくり上げた造形美は、飛騨大鍾乳洞ならではの見どころです。
洞内の主な見どころ
竜宮の夜景(第1洞)
入洞してすぐの場所にある「竜宮の夜景」では、青く照らされた地下水と、蒼白に輝く鍾乳石が神秘的な景観をつくり出しています。水面に映る光と鍾乳石のコントラストが美しく、洞窟探検の始まりにふさわしい幻想的なスポットです。
夢の宮殿(第1洞)
「夢の宮殿」では、天井から垂れ下がる細長い鍾乳石が数多く見られます。ストロー状の鍾乳石は「鍾乳管」と呼ばれ、繊細で独特な形が特徴です。洞内ならではの自然の造形を間近に観察できます。
愛深スポット(第2洞へ続く地下トンネル)
第1洞と第2洞を結ぶ地下トンネルには、さまざまなLED照明が設置され、幻想的な光の空間が演出されています。カップルで通ると愛が深まるといわれることから、「愛深スポット」として親しまれています。
月の世界(第3洞)
細い道を進んだ先に広がる「月の世界」では、洞穴サンゴによって形づくられた独特の景観を楽しめます。大胆な石の裂け目など、自然が生み出した迫力ある造形が見どころです。洞内のほかのエリアとは異なる表情にも注目してみましょう。
大橋コレクション館で世界の美術品を鑑賞
鍾乳洞に併設された大橋コレクション館では、世界各地の美術品や装飾品をはじめ、銘石、姿石、奇石、化石など、約1,000点のコレクションが展示されています。自然が生み出した鉱物や化石と、世界の美術品をあわせて鑑賞できるのが特徴です。
館内で特に注目されるのが、1989年に鍾乳洞の発見25周年を記念して製作された、2億円相当とされた金塊です。この金塊は2007年に盗難被害に遭い、その後、犯人の逮捕を経て返還されましたが、複数の塊や粉末に分かれた状態になっていました。現在は、元の金塊を模した鉛製のレプリカとともに展示されています。
大橋コレクション館は鍾乳洞の見学とあわせて楽しめる施設です。地下の自然が生み出した造形だけでなく、世界各地の美術品や珍しい収集品にも触れられます。
洞窟の低温環境を活用した貯蔵酒蔵
飛騨大鍾乳洞では、洞内の安定した低温環境を利用して、日本酒、焼酎、ワインなどを貯蔵しています。洞窟ならではの環境を生かし、酒類を低温で長期間保管する取り組みです。
貯蔵されたお酒は、お土産としても人気があります。希望に応じて貯蔵を継続する「貯蔵キープ」も利用でき、鍾乳洞見学とはひと味違った楽しみ方ができます。
夏の避暑にもおすすめの観光スポット
飛騨大鍾乳洞の年間平均気温は約12℃で、暑い季節でも洞内はひんやりとしています。真夏の観光では、涼しい環境の中で自然の造形をじっくり鑑賞できるため、避暑を兼ねたお出かけ先としてもおすすめです。
洞内には足元に注意しながら歩く場所もあるため、歩きやすい靴で訪れると安心です。また、外との気温差が大きい季節には、羽織れる上着を用意しておくと快適に見学できます。
飛騨高山の古い町並みや奥飛騨温泉郷など、周辺の観光地と組み合わせれば、自然・歴史・温泉を満喫する旅行を楽しめます。
大自然の神秘と飛騨の魅力を体感
飛騨大鍾乳洞は、約2億5千万年前の海の記憶を伝える化石や、長い年月をかけて形成された鍾乳石、幻想的なライトアップなど、見どころが豊富な観光スポットです。洞内を歩きながら、自然が生み出した壮大な造形美を間近に体感できます。
大橋コレクション館や洞窟低温貯蔵酒蔵もあわせて見学すれば、鍾乳洞の魅力をさらに深く味わえるでしょう。飛騨高山や奥飛騨温泉郷を訪れる際には、ぜひ立ち寄りたい場所のひとつです。