生態的展示の導入:自然に近い環境での観察
動物たちの生息地の環境を可能な限り再現し、自然の中での姿を観察できる「生態的展示」を積極的に導入しているのが大きな特徴です。これにより、来園者は動物たちの本来の生態をより深く理解することができます。
爬虫類生態館「アイファー」では、オオサンショウウオやヨウスコウワニを間近で観察できるほか、アフリカサバンナゾーンでは、ライオンやキリン、クロサイなどが広大なエリアで暮らす様子を楽しめます。
動物たちの保護と繁殖
希少動物の保護と繁殖にも力を入れており、ニホンコウノトリやナベヅルなどの絶滅危惧種の繁殖を行っています。特にナベヅルについては、国際血統登録を担当し、世界的な種の保存に貢献しています。
北園
北園では、爬虫類や猛禽類、大型ネコ科動物など、多様な動物を展示しています。それぞれの施設で生態を観察できるよう工夫されています。
爬虫類生態館「アイファー」
オオサンショウウオやヨウスコウワニなど、爬虫類、両生類、魚類を生態的に展示しています。
アフリカサバンナゾーン
アフリカのサバンナに生息する動物を、現地の環境を再現して展示しています。
主な展示施設
- カバ舎: カバを水中から観察できる施設で、ナイルティラピアやエジプトガンとの共生展示を行っています。
- サイ舎: クロサイを飼育しています。
- コフラミンゴ舎: コフラミンゴを飼育しています。
猛禽舎
国内で天王寺動物園のみ飼育されているキガシラコンドルなど、猛禽類の鳥類を展示しています。
その他の展示施設
- トラ舎: 以前はアムールトラを飼育していましたが、現在は展示されていません。
- オオカミ舎: チュウゴクオオカミを飼育しています。
- 大型ネコ科動物舎: ジャガーを飼育しています。
- ヤマネコ舎: 現在はホンドタヌキやニホンアナグマを飼育しています。
- レッサーパンダ舎: シセンレッサーパンダを飼育しています。
- ムフロン舎: ムフロンを飼育しています。
- コウノトリ舎: 野生絶滅回避のためにニホンコウノトリの繁殖を行っています。
- ツル舎: ナベヅルやタンチョウなどのツル類を飼育しています。
- 鳥のセカイ: 2023年11月にオープンした施設で、鳥の適応進化と生態を観察できます。
- 仮チンパンジー舎: チンパンジーの一時収容施設です。
南園
南園では、アジア熱帯雨林や夜行性動物、鳥類など、多彩な動物展示が特徴です。
アジア熱帯雨林ゾーン
アジアゾウを飼育していたエリアで、現在は拡張工事中です。
夜行性動物舎
夜行性の動物を展示しています。昼間では見られない生態を観察することができます。
鳥の楽園
国内有数の3200平方メートルのエイビアリーで、多様な鳥類を観察できます。
その他の展示施設
- サルヒヒ舎: ドリルなどの霊長目の動物を飼育しています。
- 旧コアラ館: 現在はエミューなどを飼育しています。
- ホッキョクグマ舎: 戦前から残る歴史ある獣舎でホッキョクグマを飼育しています。
- クマ舎: マレーグマやメガネグマを飼育しています。
- ふれんどしっぷガーデン: ヤギやヒツジ、モルモットなどと触れ合える施設です。2022年4月にオープンしました。
- ペンギンパーク&アシカワーフ: フンボルトペンギンやカリフォルニアアシカを展示しています。造波装置などを使い、海洋環境を再現しています。
その他の施設
天王寺動物園には、動物を展示するだけでなく、教育や娯楽を提供するさまざまな施設が併設されています。
TENNOJI ZOO MUSEUM
- 標本展示コーナー:アジアゾウ「ユリ子」の全身骨格標本や絶滅危惧種の剥製展示を通じて、動物の歴史や重要性を学べます。
- 見せる(魅せる)収蔵庫:動物園所蔵の約280点の剥製標本をガラス越しに展示。定期的な入れ替えで新しい発見が楽しめます。
- だいしんワクワクホール:240名収容の多目的ホールで講演会やスクールイベントを開催。
- その他:子ども向け図書を揃えたキッズライブラリーやワークショップ用の実験室も完備。
FooZoo・GooZoo
- FooZoo:キリン柄を模した「キリンドッグ」や「ホッキョクグマクレープ」など、オリジナルメニューが楽しめるカフェ。
- GooZoo:キーウィのぬいぐるみなど、天王寺動物園限定のグッズが購入可能。
- 授乳室:幼児用ベッドや給湯器を備えた快適なスペースを完備。
イベント
ごはんタイム・おやつタイム
動物たちが食事をする姿を観察できる人気イベント。飼育スタッフの解説もあり、楽しく学べます。
ナイトZOO
夜間限定で動物たちの夜の姿を観察できるイベント。普段見られない生き生きとした様子を体験できます。
季節限定イベント
四季折々の特別イベントが開催され、家族連れや観光客に人気です。
天王寺動物園の歴史
開園当初は「動物を見せる」だけではなく、娯楽施設としての役割も担い、チンパンジー「リタ」の芸や夜間開園などが話題を呼びました。しかし現在は、商業主義を脱却し、動物たちの福祉や生態系保全を重視した運営に切り替わっています。
開園から戦前までの歩み
1915年に開園した天王寺動物園は、日本初のスマトラサイやダチョウの人工孵化など、さまざまな記録を残してきました。また、戦時中には動物の飼料不足や安全管理の課題にも直面しました。
戦後から現在まで
戦後の復興期を経て、天王寺動物園は都市型動物園として進化を続けています。現代においても、多くの人々に動物の魅力を伝え、教育の場としても役割を果たしています。
アクセス
天王寺動物園は、JR・大阪メトロの「天王寺駅」から徒歩数分とアクセス良好。大阪観光の一環としても訪れやすい立地です。
天王寺動物園は、100年以上の歴史を持ちながら、時代に合わせた進化を遂げている動物園です。
都心で自然や動物たちと触れ合える貴重な空間として、訪れる人々を楽しませています。多彩な動物とその生態を学べる施設として、多くの人々に親しまれています。ぜひ訪れて、動物たちの魅力を体感してください。