今宮戎神社の歴史:聖徳太子の創建から現代まで
今宮戎神社の創建は、推古天皇8年(600年)に聖徳太子が四天王寺を建立した際、その西方の鎮護神として建立されたと伝えられています。長い歴史の中で、様々な変遷を経てきました。
創建と市場の守護神:聖徳太子との関わり
聖徳太子が四天王寺を建立するにあたり、西方の守護神として祀られたのが始まりとされています。古くはこの辺りが海岸沿いで、海・里・野の諸産物が物々交換される「市」が開かれており、その市の守護神としても戎様が祀られていたそうです。
中世・近世の発展:豊臣家や江戸幕府の庇護
豊臣秀頼の時代には、片桐且元を奉行に迎え社殿が造営され、18石の社領を寄進されました。江戸時代中期には十日戎の祭礼が始まり、元禄年間(1688年~1704年)には現在の形式が定着しました。
近代以降:戦災からの復興と別表神社への加列
1945年の大阪大空襲で社殿が焼失しましたが、1956年に再建されました。さらに1963年には、初詣の賽銭に1万円札が使われたことが話題となり、高度経済成長の象徴となりました。戦後には、別表神社に加列され、十日戎は大阪の経済繁栄を象徴する行事として今も続いています。
今宮戎神社の祭神:五柱の神々
今宮戎神社の主祭神は、以下の五柱の神々です。
- 天照皇大神(あまてらすすめおおみかみ): 皇室の祖神であり、太陽の神として広く信仰されています。
- 事代主命(ことしろぬしのみこと): 大国主命の子で、商売繁盛、漁業の神として信仰されています。特に「えびす様」として親しまれています。
- 素盞嗚尊(すさのおのみこと): 勇猛な神として知られ、厄除けの神として信仰されています。
- 月読尊(つきよみのみこと): 月の神として知られています。
- 稚日女尊(わかひめのみこと): 天照大神の妹神とされています。
境内
今宮戎神社の境内には、本殿、拝殿をはじめ、様々な社や施設があります。
- 本殿・拝殿: 1956年に再建されたもので、落ち着いた雰囲気の中で参拝できます。
- 大国社: 大国主命を祀る社で、縁結びや福徳のご利益があるとされています。
- 稲荷社: 宇賀御魂神を祀る社で、五穀豊穣や商売繁盛のご利益があるとされています。
- 神楽殿: 神楽などが奉納される場所です。
- 三ツ鳥居: 南側入口にある珍しい鳥居です。
文化財
今宮戎神社には、以下の文化財が指定されています。
- 大阪府指定無形民俗文化財: 十日戎の神事
- 大阪市指定有形文化財: 木造男神坐像、木造男神半跏像
十日戎:大阪の冬の風物詩
今宮戎神社の十日戎は、毎年1月9日から11日にかけて行われる例祭で、商売繁盛を祈る多くの参拝者で賑わいます。特に10日の本戎は最も賑わいを見せます。
福笹と吉兆:商売繁盛の縁起物
参拝者は福笹を授かり、銭袋や小判などの縁起物「吉兆」を自由に選んで飾り付けます。福笹の葉が落ちない特徴から、家運隆昌の象徴とされています。
福むすめ:十日戎を彩る華
十日戎では、「福むすめ」と呼ばれる女性たちが奉仕します。厳しい審査を通過した福むすめたちは、参拝者に福笹を手渡したり、吉兆を飾り付けたりします。福むすめの中からアナウンサーとして活躍する人も多く、注目を集めています。
アクセス
今宮戎神社は、各方面からアクセスしやすい場所にあります。
最寄り駅
- 南海高野線 今宮戎駅 東30メートル
- Osaka Metro 堺筋線 恵美須町駅 西300メートル
- Osaka Metro 御堂筋線・四つ橋線 大国町駅 東450メートル
今宮戎神社は、大阪の商売繁盛を象徴する神社として、長い歴史とともに地域に根付いています。特に十日戎は、多くの参拝者を集め、神社と地域経済のつながりを示す重要な行事です。大阪を訪れた際には、ぜひ今宮戎神社に足を運び、大阪の活気を感じてみてください。