絵馬の発祥の社
古来より歴代天皇は干ばつの時には黒馬を、
長雨には白馬を奉納して祈願をしていたといい、
後に生きた馬に替えて、
馬形の板に着色した「板立馬」を奉納したと伝えられる。
これが現在の絵馬の原形となったため、
貴船神社が「絵馬発祥の社」といわれる。
さらに木または紙に描かれた馬の絵によって代用されるようになり、
江戸時代に入って個人が小型の絵馬を
神社に奉納する習慣が広く流行するにいたった。
縁結びの神
平安時代の女流歌人・和泉式部が参拝し
復縁祈願が成就したことから縁結びの神様としても知られ、
また近年はパワースポットとしても人気を呼んでいる。
和泉式部が参拝したときの歌が後拾遺和歌集に収録されており、
和泉式部歌碑に刻まれている。
「男(夫の藤原保昌)に忘れられている頃、貴船神社に参拝し、
御手洗川に蛍が飛んでいるのを見て詠んだ短歌」
「ものおもへば 沢の蛍も
わが身より あくがれいづる 魂かとぞみる
(意訳:恋しさに悩んでいたら、沢に飛ぶ蛍も
私の体から抜け出した魂ではないかと見える)」
神水で占うおみくじ
一見真っ白に見える紙の中から一枚を選び、
境内の霊泉に浮かべると吉凶が解る
御神水で運勢を占う「水占みくじ」が人気で、
若い世代の参拝者が多い。
その一方で縁切りの神、呪咀神としても信仰されており、
丑の刻参りでも有名である。
3箇所に分かれる社殿
社殿は本宮・結社(中宮)・奥宮の3箇所に分かれて建っている。
結社(ゆいのやしろ)は、本宮と奥宮の中間、
本宮から上流側300メートルの場所にある。
その立地から中宮(なかみや)とも呼ばれている。
結社は磐長姫命を祭神とし、縁結びの神として信仰される。
以前は、境内の細長い草の葉を結び合わせて縁結びを願っていたが、
現在は植物保護のため本宮で授与される「結び文」に
願文を書いて指定場所に結ぶことになっている。
奥宮は本宮の上流側700メートルの場所にあり、
以前はここが本宮であった。
貴船の川床
貴船川に沿って、当社周辺に料理旅館や飲食店が数十件あり、
夏は貴船川の上に木組みによる川床が設置され、
鮎料理が供されている。
付近は京都でも有名な紅葉の名所のひとつ。
源義経や弁慶の時代を堪能できる観光地として
鞍馬寺とあわせて周遊する旅行者も多い。