上山温泉は、山形県上山市にある歴史ある温泉地です。東山温泉、湯野浜温泉とともに、かつて「奥羽三楽郷」の一つに数えられた温泉街として知られています。
上山温泉は温泉地としてだけでなく、江戸時代には上山城を中心とする城下町、そして羽州街道の宿場町としても発展しました。現在も「新湯・湯町・十日町地区」には歴史ある町並みが残り、一方の「葉山・河崎・高松地区」では高台から蔵王連峰を望むことができます。
温泉は無色透明でさらりとした肌触りが特徴で、保温・保湿効果が高いとされ、「美人の湯」とも呼ばれています。温泉旅館やホテルへの宿泊はもちろん、日帰り入浴、共同浴場、足湯など、さまざまなスタイルで温泉を楽しめます。
二つの趣を持つ上山温泉の温泉街
上山温泉は、歴史的な町並みが残るエリアと、蔵王連峰を望む高台のエリアという、異なる魅力を持つ地域から成り立っています。
城下町と宿場町の風情が残るエリア
新湯・湯町・十日町地区には、上山藩の城下町や羽州街道の宿場町として栄えた時代の面影が残されています。温泉街を歩きながら、古くから続く町の歴史や温泉文化を感じることができます。
蔵王連峰を望む高台の温泉地
葉山・河崎・高松地区は、蔵王連峰を一望できる高台に位置しています。温泉で身体を温めた後に、雄大な山々を眺めながらゆっくり過ごせるのが魅力です。
無色透明でさらりとした「美人の湯」
上山温泉の湯は、無色透明でさらりとした肌触りが特徴です。弱アルカリ性の温泉で、比較的やさしい泉質として親しまれています。
泉質はナトリウム・カルシウム塩化物・硫酸塩温泉で、源泉は5本、源泉温度は約63~69℃です。保温・保湿効果が高いとされ、古くから多くの人々に親しまれてきました。
旅館やホテルの温泉だけでなく、共同浴場や日帰り温泉、足湯などもあり、気軽に湯めぐりを楽しめるのも上山温泉の魅力です。
7つの地区からなる温泉郷
上山温泉の温泉地は、湯町、新湯、十日町、河崎、高松、葉山、金瓶の7地区から構成されています。それぞれの地区が個々の温泉として捉えられることもあり、地域ごとに異なる雰囲気を楽しめます。
温泉街には多くの温泉旅館や温泉ホテルが営業しており、宿泊してじっくり温泉を楽しむだけでなく、日帰りで湯めぐりをすることもできます。
昔ながらの共同浴場で楽しむ温泉
上山温泉では、地域の人々に親しまれてきた共同浴場も温泉文化の大切な存在です。かつては7軒の共同浴場があり、地域ごとに身近な温泉として利用されてきました。
上山温泉にあった共同浴場
共同浴場には、下大湯共同浴場、新丁温泉共同浴場、二日町共同浴場、新湯共同浴場、湯町共同浴場、葉山公衆浴場、中湯共同浴場などがあります。一部は閉鎖されていますが、共同浴場を通して地域に根付いた温泉文化を感じることができます。
1458年に始まった上山温泉の歴史
上山温泉の開湯は1458年と伝えられています。その始まりには、旅の僧侶・月秀にまつわる興味深い伝説があります。
傷を癒す鶴から始まった「鶴脛の湯」
月秀がこの地を旅していた際、温泉で傷を癒している鶴を発見したことが、上山温泉の開湯のきっかけになったと伝えられています。
この伝説に由来して、上山温泉には「鶴脛の湯」という別名もあります。温泉地を訪れると、長い歴史の背景にあるこうした物語にも触れることができます。
城下町と羽州街道の宿場町として発展
江戸時代になると、上山には上山城と上山藩が置かれ、温泉地としての発展に加えて城下町としても栄えました。
さらに、羽州街道の宿場町として多くの人々が行き交い、温泉街には旅人を迎える施設などが集まりました。現在の上山温泉には、この時代から続く城下町と宿場町の歴史が重なり合っています。
温泉に入るだけでなく、街を歩いて歴史的な町並みや上山城などを巡ることで、上山がどのように発展してきたのかを感じることができます。
イザベラ・バードも訪れた上山
上山温泉には、明治時代に日本各地を旅したイギリス人女性旅行家イザベラ・バードも訪れています。
1878年、バードは上山を訪れ、その著書『日本奥地紀行』の中で、この地について紹介しました。外国人が容易に訪れることができる場所であれば、健康的な保養地になるだろうという趣旨の記述を残しており、当時から上山の環境が保養地として注目されていたことがうかがえます。
健康づくりを旅に取り入れる「ヘルスツーリズム」
現在の上山温泉では、温泉だけでなく健康づくりを目的としたヘルスツーリズムにも力を入れています。
健康づくりの三大要素とされる「運動・栄養・休息」を旅の中で体験できるのが特徴です。自然の中を歩き、地元の旬の食材を味わい、最後に温泉でゆっくり身体を休めるという、上山ならではの過ごし方を楽しめます。
「クアオルト健康ウォーキング」で自然を歩く
上山温泉には、ドイツのミュンヘン大学が認定したクアオルト健康ウォーキングコースがあり、日本で唯一の認定コースとして、5か所・8コースが整備されています。
「クアオルト」とは、ドイツ語で「健康保養地・療養地」を意味する言葉です。専門ガイドが案内するプログラムも毎日開催されており、ウォーキング初心者でも自然の中で無理なく楽しめるよう工夫されています。
五感で楽しむ自然のウォーキング
コースでは、森や山の中を歩くだけでなく、珍しい鳥の声に耳を澄ませたり、植物を探したり、湧き水で腕を冷やしたりと、自然を身近に感じる体験ができます。
季節ごとに変化する景色を楽しみながら身体を動かすことで、温泉街で過ごす時間とはまた違った上山の魅力を発見できます。
運動・食・温泉で心と身体をリフレッシュ
クアオルト健康ウォーキングを楽しんだ後は、地元で採れた旬の食材を使った料理で栄養を補給し、温泉でゆっくり身体を休めるという過ごし方がおすすめです。
自然の中で身体を動かし、地域の食を味わい、温泉でリラックスする。こうした「運動・栄養・休息」を組み合わせた滞在は、上山温泉ならではの温泉旅行の楽しみ方です。
温泉街を歩いて楽しむ足湯めぐり
上山温泉には、旅館や共同浴場だけでなく足湯もあり、街歩きの途中に気軽に温泉を楽しめます。
観光スポットを巡りながら足湯でひと休みしたり、温泉街の町並みを眺めながらゆっくり過ごしたりと、入浴とは異なるスタイルで温泉を満喫できます。
歴史と自然、健康を楽しめる上山温泉
上山温泉は、1458年の開湯伝説から現在まで長い歴史を持つ温泉郷です。江戸時代には上山城の城下町、羽州街道の宿場町として栄え、現在もその歴史を感じさせる町並みが残されています。
無色透明でさらりとした温泉、昔ながらの共同浴場、旅館や日帰り温泉、足湯など、温泉の楽しみ方も多彩です。さらに、蔵王連峰を望む景色やクアオルト健康ウォーキングなど、自然を生かした健康体験も楽しめます。
歴史ある温泉街を歩き、豊かな自然の中で身体を動かし、地元の料理を味わった後に温泉でゆっくりくつろぐ。心と身体の両方をリフレッシュしながら、上山の歴史と文化に触れられる温泉地です。