別邸「清遠閣」と名勝庭園「鶴舞園」
本間美術館は、1813年(文化10年)に建築され、名勝「鶴舞園」を挟んで本館と新館(1968年竣工)があります。酒田の豪商本間家の別邸として利用されていた本館は「清遠閣」と称され、2階建ての銅板と瓦ぶきの建物です。
清遠閣は藩主酒井侯が領内巡視をする際の休憩所として作られ、藩政時代は庄内藩主や幕府要人を、明治以降は皇族や政府高官、文人墨客を接待する酒田の迎賓館の役割を果たしていました。1925年には昭和天皇のお宿にもなりました。京風の精緻な造りと大正ロマンを偲ばせるモダンな調度が心地よい建築です。
日本の皇族やヘレンケラーも訪れた場所で、北前船の安定を保つために運ばれてきた各国の銘石を配した庭園、本間家が大名から拝領した品、歴史資料として価値の高い文書、当主が好んだ茶道の器物など、多くの見どころがあります。喫茶コーナーもあり、ゆっくりと季節の景観を楽しむことができます。
清遠閣内喫茶室
清遠閣内には喫茶室があり、そこから庭園「鶴舞園」を一望できます。景観を楽しみながらオリジナルのコーヒーや抹茶とお菓子のセットを楽しむことができます。
北前かすてら
創業40年の「たんばや製菓」が誕生させた「北前かすてら」は、北海道産の小麦粉と甜菜から作った砂糖を使用し、庄内産の卵を使った添加物なしの美味しさと体に良いお菓子です。ぜひ庭を眺めながらゆっくりとしたひとときをお過ごしください。
沿革
1813年:本間家4代当主である本間光道が別荘として清遠閣を築造
1925年:清遠閣が皇太子(後の昭和天皇)の行啓を仰ぐ
1947年:別荘と庭園を私設美術館として開放
1965年:本間美術館が財団法人化
1968年:新館が落成
2012年:庭園「鶴舞園」が国の名勝に指定
2013年:本間美術館が公益財団法人化
文化財
重要文化財
伊勢物語(伝民部卿局筆本)
市河文書 147通
藤原定家筆消息(十月八日)
蒔絵二重短刀箱(東京国立博物館に寄託)
名勝
本間氏別邸庭園(鶴舞園)
本間氏別邸庭園(鶴舞園)
鶴舞園の歴史と魅力
本間氏別邸庭園、通称「鶴舞園」は、文化10年(1813年)に本間家四代目の光道が築造した池泉回遊式庭園です。この庭園は、北前船が運んできた佐渡の赤玉石や伊予の青石などを使用し、初夏の白ツツジや秋の紅葉が美しい風情豊かな場所です。池の中島に鶴が舞い降りたことから、藩主酒井侯により「鶴舞園」と名付けられました。庭園の整備は、冬期間に港で働く人々の失業対策事業として実施されました。
鶴舞園の造営と景観
鶴舞園は、鳥海山を借景とした美しい池泉回遊式庭園です。庭園には、北前船で運ばれた諸国の銘石や小豆島の御影石の灯籠が配置されており、四季折々の美しい景観を楽しむことができます。春は白ツツジ、夏は鮮やかな緑、秋は紅葉、冬は雪化粧と、訪れるたびに異なる風情を堪能できます。
名勝指定
鶴舞園は、清遠閣の2階座敷から望む鳥海山を借景とした地形の変化に富んだ池泉庭園です。その意匠・構成は優れており、その芸術上の価値が高く評価されています。現在では国指定の名勝として保護されています。
美術鑑賞と庭園散策
本間美術館は、美術鑑賞と共に、日本の美意識を凝縮した庭園を散策することで心身のゆとりと安らぎを提供する場所です。春夏秋冬、それぞれの季節の美しい景観を楽しむことができ、多くの来館者が訪れています。ぜひ一度、美しい庭園と貴重な文化財を堪能し、心安らぐひとときをお過ごしください。