歴史を今に伝える境内
東王子神社は、延暦2年(783年)に創建されたと伝えられています。この由緒は『名西郡誌』にも記されており、長い年月にわたって地域の信仰を支えてきたことがうかがえます。
大正元年(1912年)には、八幡神社や荒大山祇三社を合併したとされ、地域の神社として信仰を受け継いできました。また、『寛保改神社帳』には「石井村東王子十二社大権現別当同村徳蔵寺」と記されており、当時の神仏習合の信仰や、神社と寺院の関わりを知る手掛かりとなっています。
祭神・伊弉冉尊を祀る神社
東王子神社の祭神は、伊弉冉尊(いざなみのみこと)です。日本神話に登場する伊弉冉尊は、伊弉諾命とともに国土や多くの神々を生み出した女神として知られています。古くから受け継がれてきた神話に思いを馳せながら参拝すれば、日本の神道文化への理解も深まるでしょう。
春を彩る「天堂のシダレザクラ」
東王子神社を訪れるなら、春の花景色にも注目したいところです。神社の南側にある森本院に隣接する「天堂のシダレザクラ」は、春になると美しい花を咲かせ、周囲を華やかに彩ります。
枝垂れる枝いっぱいに咲く桜は、気延山麓の落ち着いた風景によく映えます。歴史ある神社への参拝とあわせて、春ならではの自然の美しさを味わってみてはいかがでしょうか。
五穀豊穣を願う「粥占祭」
東王子神社では、旧暦の正月14日の夜半に「粥占祭(かゆうらさい)」が行われます。粥を用いて神意を伺い、農作物の実りなどを占う伝統的な神事です。地域の暮らしと結び付いた祭事を通じて、古くから受け継がれてきた信仰や農耕文化に触れることができます。
あわせて訪ねたい中王子神社
石井町には、東王子神社とともに地域の信仰を伝える中王子神社(なかおうじじんじゃ)も鎮座しています。創建は養老7年(723年)と伝えられ、旧村社として地域の人々に大切にされてきた神社です。
中王子神社の祭神は伊弉諾命(いざなぎのみこと)。境内には、養老7年に刻まれたと伝えられる「阿波国造墓碑」が祀られています。この墓碑は平成2年(1990年)に徳島県指定有形文化財となった歴史的な遺産で、全長は28.8cmです。
『寛保神社帳』には、中王子神社について「石井村 中王子十二社大権現 別当石井村地福寺 神主同村吉兵衛」と記されています。東王子神社とあわせて訪ねることで、石井町に息づく古い信仰や地域の歴史を、より深く感じられるでしょう。
東王子神社へのアクセス
東王子神社の最寄り駅はJR徳島線の石井駅で、駅から徒歩約15分です。車の場合は、徳島自動車道の藍住インターチェンジから約35分が目安となります。中王子神社へは、石井駅から徒歩約20分とされています。
気延山麓の自然を感じながら、東王子神社や中王子神社を巡ってみるのもおすすめです。古社への参拝や春のシダレザクラを楽しみながら、石井町に受け継がれてきた歴史と文化に触れてみてください。