動物園の歴史
王子動物園の前身は、1928年に神戸市内の諏訪山公園内に開園した「諏訪山動物園」です。1946年に閉園されたものの、1951年に開催された日本貿易産業博覧会(神戸博)の跡地を利用して、1951年3月21日に現在の場所に再開園しました。
園内施設の概要
王子動物園は、総面積80,618平方メートルにわたり、138種、778点の動物が飼育・展示されています。特に、ジャイアントパンダやコアラ、アムールトラ、アムールヒョウ、ユキヒョウなどの希少動物が多く飼育されており、その魅力から多くの来園者が訪れています。また、園内には動物科学資料館や遊園地、蒸気機関車の展示など、動物以外にも楽しめる施設が充実しています。
園内施設と展示動物
パンダ館
ジャイアントパンダが飼育されている「パンダ館」は、特に人気のあるスポットです。2024年3月31日に最後のパンダである旦旦が死亡するまで、日本国内で唯一パンダとコアラが同時に見られる動物園でした。
動物とこどもの国
「動物とこどもの国」には、コアラ舎、レッサーパンダ舎、リスと小鳥の森、動物ふれあい広場などがあり、子どもたちが楽しめるエリアが充実しています。
その他の施設
園内には、アシカやホッキョクグマの水中観察ができる施設や、国内で初めてアムールトラの自然保育が成功した「太陽の動物舎」など、多様な動物展示施設が揃っています。また、遊園地には観覧車やレストランがあり、家族で一日中楽しめる場所です。
桜の名所としての王子動物園
王子動物園は、桜の名所としても知られています。公益財団法人神戸市公園緑化協会の支援を受けて、桜の手入れが行われており、春には「夜桜通り抜け」というイベントが開催されます。このイベントでは、無料で園内の桜を夜間に楽しむことができ、多くの人々が訪れます。また、2002年からは、園内のソメイヨシノの数本が神戸の桜の開花や満開の基準となる標本木及び副標本木に選ばれています。
異人館「旧ハンター住宅」
園内には、異人館である「旧ハンター住宅」が移築されています。この建物は国の重要文化財に指定されており、毎年4月、8月、10月に一般公開されています。歴史的価値の高いこの建物は、動物園内のもう一つの見所として、多くの観光客に親しまれています。
都市型動物園への転換計画
2021年、神戸市は王子動物園を都市型動物園へと転換する計画を発表しました。この計画では、動物園の敷地の一部がスポーツ施設に変わる予定ですが、園内のプールなどの施設を廃止し、その敷地を動物園のエリアに充てることで、飼育エリアの広さを維持する方針です。
都市型動物園への転換に伴い、動物の展示方法も刷新される予定です。しかし、この再整備計画には反対の声もあり、関西学院大学の進出意向も絡んで、王子公園全体の再整備が注目されています。
王子動物園の将来
王子動物園は、長い歴史の中で多くの挑戦と成功を経験してきました。例えば、国内初のインドゾウの赤ちゃん誕生や、クロサイの繁殖成功など、数々の重要な成果を上げてきました。これからも動物たちと訪れる人々が安心して過ごせる場であり続けるために、施設の改善や動物の保護活動が進められることでしょう。
また、都市型動物園への転換により、さらに多くの人々に愛される施設となることが期待されます。動物園が都市の中でどのように役割を果たしていくのか、その未来に注目が集まっています。