異人館街の歴史
異人館街は1867年（明治元年）の神戸港開港に伴い、外国人の住宅地として誕生しました。かつては市内には1000棟近くの異人館がありましたが、現在では周辺の北野町に30数棟が残るのみです。
しかし、最近では公開されている建物が増え、20以上の異人館を見学することができるようになりました。
北野町の伝統的建造物群保存地区
北野町および山本通界隈には、明治20年代から大正期にかけて建てられた洋風住宅（異人館）が多く残っており、和風住宅と一体となった調和の取れた街並みが広がっています。
神戸市は文化財保護法や神戸市都市景観条例に基づき、この伝統的な建物群が集中して残る地区を伝統的建造物群保存地区と指定しました。
保存地区は、東西約750メートル、南北約400メートルの範囲で、1980年に「神戸市北野町山本通伝統的建造物群保存地区」として国の重要伝統的建造物群保存地区にも指定されました。この地区では、洋風建築物34棟や和風建築物7棟などが伝統的建造物として認定され、保存活動が行われています。
歴史的背景
江戸幕府は1858年にアメリカとの日米修好通商条約や安政の五か国条約などを締結し、箱館（函館市）、新潟（新潟市）、神奈川（横浜市）、兵庫（神戸市）、長崎（長崎市）の5つの港を開くこととなりました。これらの条約により、外国人居留地の設置が義務づけられ、兵庫では近くの神戸村の海岸沿いが居留地として指定されました。
しかし、この居留地の整備は順調に進まず、周辺地域でも外国人住宅の建設が進められることになりました。北野町山本通は、外国人居留地の北側に位置し、六甲山麓に広がっていました。
神戸の中心部からは少し離れた場所にありましたが、外国人居住区ということで戦前の神戸大空襲の対象にはならず、貴重な優雅な街並みが残っています。この地区は、垂水区のジェームス山などと並んで、かつての神戸の風情を伝える特別な場所となっています。
北野町山本通の概要
北野町および山本通界隈には、明治20年代から大正期（19世紀末～20世紀初）にかけて建設された洋風住宅（いわゆる異人館）が多数残り、それらが和風住宅と混在して調和のとれた街並みを形成しています。
神戸市は文化財保護法及び神戸市都市景観条例に基づき、こうした伝統的建造物群が集中して残る、東西約750メートル、南北約400メートルの地区を伝統的建造物群保存地区に定めました。
当該保存地区は、1980年に「神戸市北野町山本通伝統的建造物群保存地区」の名称で国の重要伝統的建造物群保存地区として選定されました。種別「港町」としては全国初の選定であり、保存地区内では、洋風建築物34棟、和風建築物7棟等が伝統的建造物として特定され、保存措置が講じられています。
神戸北野異人館街の特定伝統的建造物
神戸北野異人館街には、多くの特定伝統的建造物が存在しています。これらの建物は、明治から大正時代にかけて建てられた洋風建築物であり、当時の外国人居留地の名残を色濃く残しています。以下に、代表的な建物をご紹介します。
重要伝統的建造物一覧
ベンの家
築年: 明治時代末期
特徴: 「ベンの家」として知られるこの建物は、明治時代末期に建てられました。独特の洋風建築で、当時の異人館の典型的なスタイルを保っています。
洋館長屋
位置: 北野通り
特徴: 北野通りに位置するこの洋館長屋は、いくつかの住居が連なった形をしており、異人館街の中でも特徴的な存在です。外観は西洋風のデザインが施されています。
旧ディスレッセン邸
位置: 山本通り
特徴: 山本通りに位置する旧ディスレッセン邸は、洋風建築の美しい例です。この建物は、外国人のために建てられた邸宅であり、内部には当時の豪華な家具や装飾が残されています。
英国館
築年: 明治20年代
特徴: 英国館は、明治20年代に建てられた建物で、その名の通り英国風のデザインが特徴です。外観はレンガ造りで、内部には英国風の家具や装飾が施されています。
うろこの家
特徴: 「うろこの家」として知られるこの建物は、外観が魚の鱗のように見えることからその名が付けられました。異人館街の中でも特にユニークな建物の一つです。
風見鶏の館
特徴: この建物は、屋根の上に風見鶏が設置されていることから「風見鶏の館」と呼ばれています。外観も内部も豪華な装飾が施されており、多くの観光客が訪れる名所となっています。
その他の建物
神戸北野異人館街には、他にも数多くの重要伝統的建造物が点在しています。これらの建物は、神戸の歴史と文化を象徴するものであり、訪れる人々に過去の異国情緒を感じさせてくれます。
保存活動
神戸市は、これらの伝統的建造物の保存と修復に力を入れています。建物の老朽化を防ぐためのメンテナンスや、観光客が訪れやすいような環境整備が進められています。また、異人館街全体が重要伝統的建造物群保存地区として指定されており、文化財としての価値が認められています。
観光情報
神戸北野異人館街は、年間を通じて多くの観光客が訪れる人気スポットです。各異人館では、ガイドツアーやイベントが開催されており、訪れる人々に異国情緒を楽しんでもらうための工夫が凝らされています。また、周辺にはカフェやレストランも多く、異人館巡りの合間に休憩できる場所も充実しています。
まとめ
神戸北野異人館街は、歴史と文化が融合した魅力的なエリアです。ここで紹介した特定伝統的建造物は、その一部に過ぎません。異人館街を訪れる際には、ぜひこれらの建物を巡り、神戸の豊かな歴史を感じてください。