安藤忠雄が設計した建築の魅力
建物そのものが芸術作品
兵庫県立美術館の設計を手がけたのは、日本を代表する建築家の安藤忠雄です。コンクリートを基調とした建築に、自然光や水辺の景観を取り入れた設計が特徴です。
館内には回廊や階段、吹き抜けなどが巧みに配置され、歩くたびに異なる表情の空間に出会えます。展示作品だけでなく、建築の構造や素材、光の入り方にも注目すると、美術館での時間をより深く楽しめます。
美術館の前にはなぎさ公園が広がり、海辺の開放的な景色を楽しめます。周辺の景観と建築が調和した空間は、散策や写真撮影にも魅力的な場所です。
Ando Gallery
2019年5月には、安藤忠雄の建築模型やドローイングなどを常設展示する「Ando Gallery」がオープンしました。建築家の発想や設計の過程を、模型や図面を通して知ることができます。
この施設は、安藤忠雄建築研究所が設計・施工費用を負担し、建物を兵庫県に寄贈したものです。美術館の建築を鑑賞するだけでなく、その背景にある設計思想や創作活動について学べる点も大きな魅力です。
兵庫県立近代美術館から受け継がれた歴史
兵庫県立美術館の前身である兵庫県立近代美術館は、1970年に建築家・村野藤吾の設計によって開館しました。その後、阪神・淡路大震災を経て、美術館の活動は現在の兵庫県立美術館へと引き継がれました。
旧兵庫県立近代美術館の建物は、現在「原田の森ギャラリー」や「横尾忠則現代美術館」として活用されています。これらの施設も含め、兵庫県の美術文化を支える重要な拠点となっています。
兵庫県立美術館の建物は2001年に竣工し、2002年に開館しました。2005年には、第46回BCS賞を受賞しています。
7,000点以上を誇る多彩なコレクション
兵庫県立美術館は、国内外の作品を中心に7,000点以上の美術品を所蔵しています。コレクションは、近代彫刻、近代版画、兵庫県ゆかりの美術、現代美術を主な柱として構成されています。
絵画や彫刻、版画など、さまざまな表現形式の作品を通じて、日本と海外の美術の歴史や表現の変化を知ることができます。
洋画
洋画のコレクションには、本多錦吉郎、神中糸子、岸田劉生、小出楢重、岡田三郎助、安井曽太郎、前田寛治、和田三造、菅井汲など、幅広い作家の作品が含まれています。
日本における西洋画の受容や近代洋画の展開をたどりながら、作家ごとの表現や時代による画風の違いを楽しめます。
日本画
日本画では、村上華岳、竹内栖鳳、富岡鉄斎、橋本関雪、東山魁夷、三谷十糸子、水越松南、山下摩起、直原玉青などの作品が収蔵されています。
伝統的な日本画の技法を受け継いだ作品から、近代以降の新しい表現まで、多様な日本画の魅力に触れられます。
彫刻
彫刻のコレクションには、オーギュスト・ロダン、エドガー・ドガ、ポール・ゴーギャン、アリスティド・マイヨール、マリノ・マリーニ、ジョージ・シーガル、オシップ・ザッキン、ジャコメッティなど、海外の著名な作家が名を連ねています。
また、棟方志功、淀井敏夫、佐藤忠良、舟越保武など、日本の彫刻家による作品も所蔵されています。素材や形、空間の使い方に注目すると、彫刻ならではの表現をより深く味わえます。
版画
版画のコレクションには、ゴヤ、エドゥアール・マネ、ジャスパー・ジョーンズ、アンディ・ウォーホル、カンディンスキー、ピカソなど、国内外の多彩な作家の作品が含まれています。
日本の作家では、長谷川潔、池田満寿夫、小林清親、東山魁夷、小林古径、井上安治などの作品も収蔵されています。版画ならではの線や色彩、技法の違いを比較しながら鑑賞できます。
特色あるコレクション
2019年には、新たに「頴川コレクション」と「梅舒適コレクション」が加わりました。
頴川コレクションは、頴川美術館が所蔵していた日本近世絵画や茶道具を中心とするコレクションです。絵画や茶道具を通して、日本の伝統美術や茶の湯の文化に触れられます。
梅舒適コレクションは、中国の近世・近代の書画や篆刻を中心とするコレクションです。書や印章芸術などを通して、中国の文字文化や美術の魅力を知ることができます。
これらのコレクションが加わったことで、兵庫県立美術館では西洋美術や近代・現代美術に加え、日本や中国の伝統美術も楽しめるようになっています。
主な施設
兵庫県立美術館には、展覧会や講演会、創作活動などに利用されるさまざまな施設が設けられています。
- 企画展示室:特別展や企画展などを開催する展示空間です。
- 常設展示室:美術館の所蔵作品を中心に紹介する展示室です。
- 金山平三記念室:洋画家・金山平三に関連する作品や資料を紹介します。
- 小磯良平記念室:神戸ゆかりの洋画家・小磯良平に関する作品を鑑賞できます。
- レクチャールーム:美術に関する講演や解説などに利用されます。
- ミュージアムホール:講演会やイベントなどが開催されるホールです。2024年度から2026年度までは「KOBELCOミュージアムホール」の名称が案内されています。
- 美術情報センター:美術に関する情報や資料に触れられる施設です。
- ギャラリー:作品展示などに利用されます。
- アトリエ:美術に関する創作活動やワークショップなどに利用されます。
- レストラン・カフェ:鑑賞の合間に休憩や食事を楽しめます。
企画展やイベントの内容によって利用できる施設が異なる場合があります。訪問前に開催中の展覧会や館内施設の案内を確認すると、より充実した時間を過ごせます。
建築概要
- 開館:2002年
- 竣工:2001年
- 建築設計:安藤忠雄建築研究所
- 設備設計:森村設計
- 敷地面積:約19,000平方メートル
- 建築面積:約12,807.71平方メートル
- 延床面積:約27,461.41平方メートル
- 所在地:〒651-0073 兵庫県神戸市中央区脇浜海岸通1丁目1番1号
- 受賞歴:第46回BCS賞(2005年)
兵庫県立美術館へのアクセス
兵庫県立美術館は、鉄道やバスを利用してアクセスしやすい場所にあります。
- 阪神本線・岩屋駅から:南へ徒歩約8分。
- JR神戸線・灘駅から:南へ徒歩約10分。
- 阪急神戸本線・王子公園駅から:南西へ徒歩約20分。
- 山陽新幹線・新神戸駅から:タクシーで約10分。
- バスを利用する場合:神戸市バス・阪神バスの「県立美術館前」停留所からすぐ。
鉄道を利用する場合は、岩屋駅または灘駅から徒歩で向かうルートが便利です。展覧会の開催状況や交通機関の運行情報を確認し、余裕を持って訪問しましょう。
周辺の観光スポット
兵庫県立美術館の周辺には、芸術や文化、防災について学べる施設のほか、ショッピングやレジャーを楽しめるスポットがあります。
- 人と防災未来センター:阪神・淡路大震災の経験や教訓を伝え、防災について学べる施設です。
- BBプラザ美術館:絵画や彫刻など、さまざまな美術作品を鑑賞できる美術館です。
- 神戸市立王子動物園:多彩な動物たちに出会える、神戸で親しまれている動物園です。
- ブルメールHAT神戸:買い物や食事などを楽しめる商業施設です。
美術館で芸術鑑賞を楽しんだ後に、周辺の文化施設や公園、商業施設へ足を延ばすのもおすすめです。
海辺の景色とともに芸術を楽しむ
兵庫県立美術館は、国内外の多彩な美術作品と、安藤忠雄が設計した印象的な建築空間を楽しめる神戸の文化スポットです。近代彫刻や版画、日本画、洋画、現代美術など幅広いコレクションを通して、さまざまな時代や地域の芸術に触れられます。
また、館内の展示だけでなく、回廊や吹き抜けなどの建築美、海辺の開放的な景色も見どころです。神戸観光の際には、芸術と建築、自然が調和するこの美術館で、ゆったりとした時間を過ごしてみてはいかがでしょうか。