大きな果実と、とろりとした甘み
原料となる堂上蜂屋は、四角みがあり、先端がやや尖った形が特徴です。果実は大きく、収穫時には250g以上を目指して栽培されています。成熟すると強い甘みを蓄え、干し柿に加工することで、緻密な果肉と濃厚な味わいが引き出されます。
完成した干し柿は、美しい飴色の果肉と、もっちりとした柔らかな食感が魅力です。表面には糖分が結晶化した上品な白い粉が付き、見た目にも気品が感じられます。味わいと品質の高さから、贈答品としても高く評価されています。
手間を惜しまない伝統の製法
堂上蜂屋柿は、原料となる柿の栽培から仕上げまで、手間をかけて作られます。収穫は11月ごろに行われ、干し柿が完成するまでには約40日を要します。
収穫した柿は一つずつ手作業で皮をむき、硫黄燻蒸を行った後、風通しの良い場所での陰干しや天日干しによって乾燥させます。乾燥の途中では、果肉に水分が残りすぎないよう形を整え、手もみを繰り返します。
仕上げには、稲わらで作った「ニオボウキ」と呼ばれるほうきで、柿の表面を優しく掃きます。こうした伝統技術によって、表面に美しい白い粉をまとった堂上蜂屋柿が完成します。
美濃加茂の気候が育む品質
美濃加茂市は比較的温暖で晴天が多く、柿の栽培に適した気候に恵まれています。夜間の冷え込みは柿の呼吸や水分の蒸散を抑え、糖度の高い果実を育てるうえで役立ちます。
冬には乾燥した晴天が続き、朝晩の冷え込みが強まります。こうした気候条件と、乾燥中の手もみやニオボウキによる仕上げの技術が組み合わさることで、堂上蜂屋柿ならではの美しい色合いと食感が生まれます。
国内外で評価される岐阜県の高級特産品
堂上蜂屋柿は、1900年のパリ万国博覧会で銀杯、1904年のセントルイス万国博覧会で金杯を受賞したとされ、国内外で高い評価を得てきました。2015年にはミラノ万博にも出展されました。
1978年には「堂上蜂屋柿振興会」が設立され、生産者の育成や品質向上のための研修、販路の拡大などに取り組んでいます。伝統的な製法と品質を守りながら、地域を代表する特産品として受け継がれています。
干し柿の歴史と旬
干し柿は、渋柿の皮をむき、ひもで吊るして風通しの良い場所で乾燥させる食品です。日本では平安時代中期には、祭礼用の菓子として作られていたとされています。乾燥によって渋みのもととなる可溶性タンニンが不溶性に変化し、渋柿でもおいしく食べられるようになります。
堂上蜂屋柿の旬は12月から1月ごろです。冬の美濃加茂市では、軒先などに柿を干す風景が見られ、地域の冬を彩る風物詩となっています。長い歴史と職人の技が生み出す、上品な甘みの干し柿をぜひ味わってみてください。