館内施設
2階(展示フロア)
第1展示室: 美濃和紙の歴史や技術、紙すきに使う道具などの紹介。全国各地の和紙との対比展示も行っています。
第2展示室: 美濃和紙で作った様々な生活用品の紹介。
ハイビジョンホール: 和紙の原料や製作工程、用途などの紹介映像を上映。
図書室: 和紙に関する図書や美術工芸などの専門書を所蔵。
1階(パブリックフロア)
企画展示室: 紙に関する企画展を開催。
レストラン「はなみこし」
地下1階(研究フロア)
ワークショップ: 紙すきの実演や体験ができる。
売店・ショールーム: 美濃和紙や紙製品の展示販売。
創作室
美濃和紙
美濃和紙は、美濃地方(岐阜県南部)で作られる和紙の総称です。美濃紙とも呼ばれ、特に美濃市で作られる和紙を指すこともあります。
本美濃紙
本美濃紙は、美濃和紙の中でも特に伝統的な製法で作られる薄くて丈夫な紙です。以下の指定要件を満たすものが本美濃紙とされています:
原料に楮のみを使用すること。
伝統的な製法と製紙用具によること。
白皮作業を行い、煮熟に草木灰かソーダ灰を使用すること。
薬品漂白を行わず填料を添加しないこと。
叩解は手打ちかこれに準じた方法で行うこと。
抄造は「ねり」にトロロアオイを使用し、「かぎつけ」または「そぎつけ」の竹簀で流し漉きすること。
板干しで乾燥すること。
伝統的な本美濃紙の色沢、地合等の特質を保持すること。
本美濃紙は、美濃和紙全製品のうちの1割ほどで、文化庁により国の重要無形文化財に指定されています。また、ユネスコの無形文化遺産にも登録されています。
美濃手すき和紙
美濃手すき和紙は本美濃紙の技術を基に製造され、多種多様な手すき和紙が生産されています。美濃手すき和紙協同組合があり、岐阜県紙業連合会に加盟しています。
美濃機械すき和紙
美濃機械すき和紙は、手すき和紙の技術を基に機械化して製造された和紙です。絶縁紙や導電紙、不燃紙など特殊な用途の紙も生産されています。
歴史
日本最古の紙は大宝2年(702年)の大宝律令の際に漉かれた戸籍用紙とされています。奈良時代には官設抄紙場があり、美濃国での和紙生産が始まりました。
中世には美濃で六斎市が開かれ、近江商人によって美濃紙が全国へ広まりました。江戸時代には専売制度の下で上質な和紙が大量に生産され、美濃和紙は和紙の代名詞となりました。
近現代
明治から大正時代にかけて、美濃市を中心とした美濃紙の生産戸数は3,700戸に達しました。昭和期には機械すき洋紙の増加により衰退しましたが、2005年には美濃和紙あかりアート館が開館し、2014年にはユネスコの無形文化遺産に登録されました。
美濃和紙と岐阜の伝統工芸
美濃和紙は、岐阜提灯、岐阜和傘、岐阜うちわなど、岐阜の伝統工芸品に欠かせない存在です。江戸時代以降、長良川を利用した運輸により長良川の重要な港町として栄え、美濃和紙の運搬が盛んに行われました。