国の天然記念物「飛水峡の甌穴群」
川の流れが生み出した自然の造形美
飛水峡を含む飛騨川流域の一帯は、飛騨木曽川国定公園の区域内に位置しています。その中でも、JR高山本線の上麻生駅から東へ約600メートルの場所にある上麻生橋から、上流へ約2キロメートルにわたる峡谷部分は、特に貴重な地形が見られるエリアです。
この区間の河床には、大小さまざまな甌穴(おうけつ)が数多く見られます。甌穴とは、岩盤のくぼみに入り込んだ小石などが水流によって回転し、長い時間をかけて岩を削ることでできた穴のことです。
「飛水峡の甌穴群」は、その学術的な価値が認められ、国の天然記念物に指定されています。無数の穴が岩盤に刻まれた景観は、自然が生み出した造形美を間近に感じられる貴重な見どころです。この一帯は「ロックガーデン」とも呼ばれています。
約20億年前の岩石が語る地球の歴史
飛水峡は、渓谷美だけでなく、地質学的にも重要な場所です。この地域の地質は「美濃帯・上麻生ユニット」に属しており、採集されたチャートの礫からは、中生代の三畳紀からジュラ紀にかけての放散虫化石が発見されています。
さらに、河床の礫岩に含まれていた片麻岩は、約20億年前の岩石と推定されています。悠久の時間をかけて形成された地質を観察できることも、飛水峡の大きな特徴です。
目の前に広がる岩盤や渓谷の風景から、地球の長い歴史に思いを巡らせてみるのも、飛水峡ならではの楽しみ方です。
飛水峡ロックガーデンを散策
甌穴群を間近に観察できるスポット
飛水峡ロックガーデンには展望台が設けられており、峡谷の景観を眺めることができます。さらに、駐車場から小さな階段を下りると、河床に点在する大小さまざまな甌穴を間近で観察できます。
長い年月をかけて水流が岩を削り出した穴の形や、複雑な岩肌をじっくり眺めれば、自然の営みが生み出した不思議な造形を実感できるでしょう。
訪問時の服装と注意点
展望台や駐車場周辺は平地ですが、階段を下りた先には岩場があります。足元が不安定な場所もあるため、訪れる際は運動靴などの歩きやすい靴を着用するのがおすすめです。安全に配慮しながら散策し、自然の地形を観察しましょう。
飛水峡で自然と地球の歴史に触れる
飛水峡は、飛騨川の清流と迫力ある岩の景観を楽しめるだけでなく、国の天然記念物である甌穴群や、太古の地球の歴史を伝える岩石など、見どころの多い自然スポットです。
渓谷の雄大な景色を眺めたり、ロックガーデンで岩の造形を観察したりと、さまざまな楽しみ方ができます。初夏のイワツツジが咲く季節にも訪れ、飛水峡ならではの自然美を堪能してみてはいかがでしょうか。