東京都中央区に位置する浜離宮恩賜庭園は、潮入の池や二つの鴨場を有する都立庭園です。この庭園は、旧浜離宮庭園として特別史跡・特別名勝に指定されており、歴史的にも非常に重要な場所です。
浜離宮恩賜庭園は、東京湾から海水を取り入れ、潮の干満によって景色の変化を楽しむことができる「潮入りの回遊式築山泉水庭」です。都内でも有数の広さを誇り、四季折々の景色が訪れる人々を魅了します。
この庭園は、江戸時代に徳川将軍家の別荘「浜離宮御殿」の庭園として造られました。その後、宮内省管理の離宮を経て、東京都に下賜され都立公園として開放されました。
江戸時代には、将軍家や公卿などが休暇を過ごす場所として愛され、明治時代には皇室の御料庭園として利用されました。
園内には鴨場や潮入の池、茶屋、お花畑やボタン園など、さまざまな見どころがあります。2000年代前半には、西側の旧汐留貨物ターミナルが再開発され、汐留高層ビル群が庭園の背景として対照的な風景を提供しています。
園内には多くの老樹があり、特に東側の梅林は見どころのひとつです。また、隅田川ラインの水上バス船着場が梅林のそばにあり、ここから隅田川めぐりを楽しむことも可能です。
旧浜離宮庭園として、国の特別史跡および特別名勝に指定されている浜離宮恩賜庭園は、多くの観光客や散歩客に親しまれています。季節ごとに異なる風景を楽しむことができ、東京の名所の一つとして広く知られています。
浜離宮恩賜庭園の歴史は、江戸時代にさかのぼります。最初は甲府藩下屋敷の庭園として造成されましたが、その後、徳川将軍家の離れ御殿(御浜御殿)や宮内省管理の離宮(浜離宮)として使用されました。天正18年(1590年)、徳川家康が江戸に入城した際、この地域は広大な芦原で埋め立てが必要な状態でした。家康、秀忠、家光の三代にわたって埋立が行われ、江戸の町が発展していきました。
明暦3年(1657年)には、江戸城周辺の商業地が整備され、海岸防備のために有力大名の邸地が海岸に面して与えられました。特に、三代将軍徳川家光の三男、徳川綱重に賜邸され、ここが後に浜離宮の基盤となる場所でした。その後、敷地は段階的に拡大され、最終的には現在の地形と面積に至りました。
5代将軍徳川綱吉の時代には、浜離宮は将軍家の別邸として大規模な改修が行われました。中島の茶屋、海手茶屋、清水の茶屋などが建設され、浜離宮の風景は一新されました。6代将軍徳川家宣の時代には、御浜御殿の庭にさらなる手が加えられ、盛大な観覧式が行われるなど、庭園は将軍家の重要な社交の場となっていました。
8代将軍徳川吉宗の時代、浜離宮は幕府財政の再建を目指した「享保の改革」の一環として、機能的な活用が進められました。茶屋を建てる代わりに製糖所や薬草園が設けられ、浜離宮は単なる庭園ではなく、実用的な施設としても利用されました。また、オランダから象を取り寄せるなど、国際的な交流の場としても活用されました。
天明7年(1787年)から天保8年(1837年)にかけての11代将軍徳川家斉の時代、浜離宮は最も整備され、数多くの催しが行われました。燕の茶屋、松の茶屋などが新たに建設され、庭園の修治も頻繁に行われました。家斉は在職中に90回以上も浜離宮を訪れ、そのたびに庭園の美しさを楽しみました。
明治維新後、浜離宮は宮内省の管理下に置かれましたが、後に東京都に下賜され、一般に開放されることとなりました。近年では、かつて園内にあった複数の建築物の再建が進められており、復元された茶屋などが訪れる人々を迎えています。
現在、浜離宮恩賜庭園は、歴史的な風景と都市のモダンな景観が調和する場所として、多くの観光客に親しまれています。東京湾から潮の香りが漂う庭園内では、江戸時代から続く歴史とともに、現代の高層ビル群を背景にした美しい景色を楽しむことができます。また、復元された茶屋では、当時の雰囲気を感じながらお茶を楽しむこともできます。
浜離宮恩賜庭園の中心には「潮入の池」があります。この池は海水を引き入れており、潮の満ち引きによって水位が変化する珍しい形式の池です。池の中には中島があり、そこにはお茶室「中島の御茶屋」が建てられています。この茶室では、四季折々の風景を楽しみながら抹茶を味わうことができます。
浜離宮恩賜庭園は、四季折々の花々や植物が楽しめる庭園としても有名です。春には桜や梅、夏にはハナショウブやアジサイ、秋には紅葉、冬にはスイセンやウメと、季節ごとに異なる美しい景観が広がります。特に、春の桜と秋の紅葉は見どころで、多くの訪問者がその美しさを楽しみに訪れます。
庭園内には、歴史的な建物や施設が点在しています。先述の「中島の御茶屋」のほか、「松の御茶屋」や「燕の茶屋」などのお茶室があり、これらは歴史的建造物として保存されています。また、「鷹の茶屋」では、江戸時代の鷹狩文化を紹介する展示が行われています。
庭園内には、広々とした芝生広場やベンチが設置されており、訪れる人々は自由に散策したり、ピクニックを楽しむことができます。また、園内にはカフェや売店もあり、軽食や飲み物を楽しむこともできます。
浜離宮恩賜庭園へのアクセスは非常に便利です。都営大江戸線の汐留駅から徒歩約5分、JR山手線の新橋駅からも徒歩約15分の距離にあります。また、水上バスも運航しており、東京湾や隅田川から庭園を訪れることもできます。公共交通機関を利用することで、環境に優しいアクセスが可能です。
浜離宮恩賜庭園は、歴史的な背景と自然の美しさが調和した庭園であり、訪れる人々に癒しと感動を提供します。潮入の池を中心とした庭園の設計や、四季折々の花々が織りなす景観は、訪問者を魅了してやみません。歴史的建造物や茶室での抹茶体験なども楽しめるため、文化と自然を満喫するには最適なスポットです。ぜひ一度、浜離宮恩賜庭園を訪れて、その魅力を体感してみてください。
9:00~17:00
年末・年始
(12月29日~翌年1月1日まで)
一般 300円
65歳以上 150円
小学生以下 無料
<大手門口>
都営地下鉄大江戸線「築地市場」(E18)「汐留」(E19)・ゆりかもめ「汐留」下車 徒歩7分
JR・東京メトロ銀座線・都営地下鉄浅草線「新橋」(G08・A10)下車 徒歩12分
<中の御門口>
都営地下鉄大江戸線「汐留」下車10出口 徒歩5分
JR「浜松町」下車 徒歩15分