東京タワーの設計と建設
東京タワーの創設者は前田久吉で、設計は日本の「塔博士」とも称される内藤多仲らが手掛けました。高さは333メートルで、海抜では351メートルとなっています。塔脚の中心を基準とした間隔は88.0メートルで、総工費は約30億円。建設には1年半(543日間)を要し、延べ21万9,335人の労働者が参加しました。
東京タワーはトラス構造を持つ電波塔で、昼間の障害標識として黄赤色(インターナショナルオレンジ)と白色を交互に配した塗装が施されています。この塔は、テレビやFMラジオのアンテナとして放送電波を送出するほか、JR東日本の防護無線用アンテナや東京都環境局の測定器も設置されています。
日本一高い建造物の歴史
東京タワーは、完成当初は日本一高い建造物でした。この地位は、1968年に小笠原諸島が日本に返還され、南鳥島ロランタワーと硫黄島ロランタワーに抜かれるまでの約9年半続きました。その後、対馬(長崎県)のオメガタワーが解体されてからは、再び日本一の高さを誇る建造物となり、この記録は東京スカイツリーが完成するまでの約11年間続きました。自立式鉄塔に限れば、東京スカイツリーに抜かれるまでの約51年半、日本一の高さを誇っていました。2020年現在、東京タワーは日本で2番目に高い建造物となっています。
観光施設としての東京タワー
東京タワーは観光施設としても非常に重要な役割を果たしており、その収入の5割以上は観光によるものです。東京タワーは、東京近辺を目的地とする修学旅行などの定番の行き先として定着しており、1959年には年間来塔者数が513万人を記録しました。現在も年間300万人が訪れる人気の観光スポットです。
地方や海外からの観光客が多く訪れる一方で、地元の東京都民、特に港区民の中には「東京タワーは『おのぼりさん』が行くところ」として、実際に訪れたことがない人もいます。このため、日本電波塔株式会社では、港区の小学生を招待するなどの地域密着型の施策や、若手デザイナーを起用したイルミネーションの企画などを通じて、来塔者数の増加を図っています。
50周年記念事業
2008年12月23日の開業50周年を記念して、以下の事業が行われました:
- 2007年12月から2008年8月にかけて、フットタウンと大展望台を結ぶエレベーターを順次改修しました。エレベーターにはそれぞれ「光のルービック・キューブ」、「UNIVERSE」、「UFO」というテーマがあり、天井には移動時に色が変わる仕組みが施されています。さらに、運行速度を速め、所要時間を1分から45秒に短縮しました。
- フットタウン1階にあるタワーホールを「東京タワーホール」に改称し、多目的ホールとして改装しました。
- 2008年8月5日より、フットタウン3階の一部を改装して「タワーギャラリー3・3・3」としてオープンしました。ここには展示スペース、ショップ、カフェの3施設が併設されています。
展望台の紹介
メインデッキ(旧称 大展望台)
メインデッキは地上120メートルの高さにあり、2階構造になっています。フットタウン1階からのエレベーターはメインデッキ2階に到着し、ここから展望を楽しむことができます。帰る際はメインデッキ1階からエレベーターに乗り込みます。土曜・休日・祝日には、フットタウンとメインデッキを結ぶ階段(590段)が一般に開放されており、途中には段数の表示や看板が設置されています。階段を昇り切ると、シリアルナンバー入りの「ノッポン公認 昇り階段認定証」が手渡されます。
メインデッキには、ルックダウンウィンドウ、カフェ ラ・トゥール、Club333 特設ステージ、グッズショップ、タワー大神宮など、さまざまな施設が充実しています。メインデッキからは、都内の素晴らしい景色を一望することができ、「ゆったり楽しむ壮大な東京の景色」をコンセプトに設計されています。
トップデッキ(旧称 特別展望台)
トップデッキは地上223.55メートルの高さに位置しており、当初設置されていた作業台がそのまま残されています。ここからは、都心をはじめとする東京都内の景色や、天候が良ければ富士山や神奈川、埼玉、千葉の各県の景色を一望することができます。特別展望台からの景色を楽しむためには、事前の予約が必要です。
トップデッキにはトイレやAEDが設置されていますが、売店や自動販売機は設置されていません。ゴミ入れは設置されていますが、ゴミは基本的に持ち帰る必要があります。特別展望台は2018年3月の大規模修繕時に「トップデッキ」と改称され、リフォーム後はジオメトリックミラーやLED照明が導入され、より現代的で魅力的な空間となりました。
フットタウンとその施設
2023年時点では、フットタウンには国内最大規模のe-sportパーク「RED° TOKYO TOWER」などがあり、3階から5階のRED° TOKYO TOWERエリアには入場チケットが必要です。以下は各階の主な施設です。
屋上
メインデッキへの直通階段やチケット売り場が設置されており、晴天時にはメインデッキから降りてきたエレベーターは屋上で客を降ろします。
5階
RED° TOKYO TOWER - ULTIMATE ZONE
4階
RED° TOKYO TOWER - ATTRACTION ZONE
3階
- TOWER GALLERY
- TOKYO TOWER OFFICIAL SHOP GALAXY(直営売店)
- マザー牧場カフェ
- RED° TOKYO TOWER - INSPIRATION ZONE
2階
駐車場直通の出入り口と、モスバーガー側に西出入口があります。
- 東京おみやげタウン
- 飲食店
- 雑貨店
- コンビニエンスストア(ローソン)
1階
- 正面入り口
- チケットカウンター
- 展望台直通エレベーター乗り場
- 東京タワーホール2
- 飲食店
地下
東京タワーホール - 400平方メートル、200人(立食時)収容のイベントスペースです。
東京タワーのライトアップ
イルミネーションの歴史
東京タワーのイルミネーションは、1958年12月21日に実験的に点灯され、開業から20日間毎晩点灯されました。その後、日曜や祝日の前夜に点灯され、1964年の東京オリンピック中は連夜点灯が行われ、好評を博しました。1965年のクリスマスイブからは毎晩の点灯が恒例となり、現在のイルミネーションは様々なデザインやテーマで行われています。
ランドマークライト
ランドマークライトは、タワーに直接光を当てて塔体を浮かび上がらせるライトアップ方式で、1989年元日より実施されています。照明デザイナーの石井幹子のデザインにより、エッフェル塔の半分の電気容量を目指して設計され、時間は日没から深夜0時まで点灯しています。季節によってライトの色も変化し、春・秋・冬は暖光色の高圧ナトリウムランプ、夏は白色のメタルハライドランプが使用されています。
ダイヤモンドヴェール
ダイヤモンドヴェールは、2008年12月1日から開始された新たなライトアップで、50周年プロジェクトの一環として導入されました。このライトアップはランドマークライトと同様に石井幹子のデザインによるもので、17段の光の階層が7色に発色するLEDを使用しています。各色にはメッセージが込められており、20時から22時までの2時間限定で点灯されます。
その他、東京タワーでは「乳がん撲滅キャンペーン(ピンクリボンデー)」でのピンク色や映画『マトリックス・リローデッド』のプロモーション時の緑色、地上デジタル放送のプロモーション時の青色など、様々なイベントやキャンペーンに合わせて特別なライトアップが行われてきました。また、スポーツ大会での日本応援や金メダル獲得時などには、特別なライトアップが施されることもあります。
その他のライトアップイベント
2011年には、東日本大震災で落ち込んだ日本を応援するべく、「GANBARO NIPPON」の文字装飾が行われました。また、2013年には「藤子・F・不二雄展」に合わせたドラえもんカラーのライトアップや、ドラえもんの顔がタワーに映し出されるイベントが開催されました。
さらに、2014年には小型LED電球が大展望台の南面に取り付けられ、翌年の元日にカウントダウンとして「2015」と点灯する演出が行われました。現在も、大晦日から新年の瞬間にはカウントダウンのライトアップが恒例となっています。
東京タワーの象徴的な役割
東京タワーは、日本の高度成長期の象徴として建設され、その独特の形状と鮮やかな色彩で国内外の観光客を魅了しています。東京タワーは、訪れる人々にとって単なる展望台以上の存在であり、過去と現在を繋ぐ重要な文化的ランドマークでもあります。東京タワーの存在は、東京という都市の歴史や発展、さらには日本の近代化を象徴するものとして、多くの人々に親しまれ続けています。
これからも、東京タワーはその魅力を維持しながら、新たな歴史を刻んでいくことでしょう。歴史を重ねるごとに、その価値はさらに高まっていくことでしょう。東京タワーは、東京の未来を見つめる窓口であり、その象徴的な役割を果たし続けることでしょう。