1964年に新たに建てられた斬新なデザインの教会。
独特のカーブを描いたコンクリートの建物が交差し、空から見ると十字架を形作っている。
地上からは銀色の白鳥が羽根を震わせているかのようで、下から見上げると、頭頂部の十字架状のトップライトまで緩やかに這い昇ってゆき、視線はそのまま天上に至るかのような上昇感覚を生み出していている。
ステンレス・スチール張りの外装で、地上1階(中2階・中3階)、地下1階の4階層。
高さ39メートル、長さ56メートル、幅41メートル。鐘塔は62メートルある。
西洋の教会に典型的に見られるような街路から直接入堂する形式の建築計画ではなく、いったん敷地の奥の方「ルルドの洞窟」に向かって進み、それから転回するようにして階段を上り聖堂に至るという動線は、まず鳥居や山門をくぐって参道を歩みながら徐々に気持ちを整え、それから「本尊」に相対するといった日本の伝統的な手法であり、建物本体の記念碑性だけでなく「場」の力によって聖性を生み出すことが目指されていた。
「世界のタンゲ」とも呼ばれた建築家・丹下健三の設計。
1970年、ローマ法王庁は丹下に対してサン・グレゴリオ・マンニャ勲章を授与した。
内観は、コンクリートで打ち出されたままの内壁で、静謐な印象。最頂部で40メートル近くに達する内部空間は伝統的なゴシック教会建築の上昇感覚を表象するとともに、キリスト教の前身である旧約の古代ユダヤ教会の幕屋をも同時に偲ばせる造形になっている。
奥の祭壇部分は、ステンドグラスの代わりに大理石を薄くスライスしたものが嵌められていて、イエスの受難を象徴する巨大な十字架の後ろから、光背として品格のある重く荘厳な黄金色の光を内部空間に放っている。
残響は7秒(空席時)に達し、典型的な中世ヨーロッパの大聖堂よりも長い。ヨーロッパの典型的な大聖堂のそれに似た音響特性を持つ大空間は日本では珍しいとされ、時おり開催されるパイプオルガンやオラトリオ・グレゴリオ聖歌などの演奏会では、現代的なコンサートホールでは味わうことができない教会特有の響きを味わうことができる。
目白駅からバスで4分
東京メトロ江戸川橋駅から徒歩で15分