けいらん（郷土料理）

餡を包んだ餅が入った汁物で、名称はその名前の通り、餅の外見が鶏卵に似ているため。もち米をこねて鶏卵の形に丸め、中に小豆のあんを入れ、それを昆布としいたけのだしでとった汁で食べるもち料理。主に青森県南部の下北地方で食べられている。かつては秋仕舞いのごちそうとして食べられていたが、最近では慶弔時のお膳などによく出される。なお、慶事には紅白に色づけされたもちが、弔事には小振りのもち（うずらの卵大）や、青（緑）に色づけされたもちが使われる。見た目も上品で優雅な白いけいらんは、もち米とあん、だしとの絶妙な味わいが堪能できる郷土料理だ。

11月には、稲刈りが終わり、農作業がひと段落する「秋仕舞い」という風習があります。この時、隣近所や親戚を招いて、無事に米づくりが終わったことを祝い、一年間の農作業を労ってごちそうを振る舞います。

その中でも「けいらん」は人気があります。椀の蓋を開けると、白い卵形の団子が二つ浮かぶ薄味のすまし汁で、団子が鶏の卵のように見えることから「けいらん」と名付けられました。秋仕舞いの夜には、一回り大きな「けいらん」を盛り付けて、賑やかに食べることもあります。もともとは京都の料理が起源で、上方文化とともに旧南部藩に伝わったと言われています。現在では青森県下北地方、岩手県、秋田県の一部で作られ、地域によって作り方や味が異なります。

「けいらん」はかつて秋仕舞いの料理として提供されていましたが、最近では冠婚葬祭などで欠かせない料理としても親しまれています。通常は白い団子ですが、慶事では紅白に色付けされたり、弔事では小さく青や緑に色付けされたりします。甘いあんこと醤油味のだし汁が調和し、上品で優雅な味わいを生み出します。

「けいらん」の作り方は、もち米粉を熱湯で湿らせて水を加え、程よい硬さにこねます。それを餡でくるみ、卵型にしてゆでます。手で水をかけながら形を整え、艶を出します。最後に椀に盛り、出汁を注ぎ、三つ葉などで飾って食べます。

主な伝承地域：下北地方
主な使用食材：もち米粉、こしあん