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手向山八幡宮

(たむけやま はちまんぐう)

紅葉と歴史が彩る、神聖な杜

手向山八幡宮は、奈良県奈良市に鎮座する歴史ある神社です。「手向山神社」とも呼ばれ、奈良市街の東端、東大寺大仏殿のすぐ東側に位置しています。北側には東大寺の法華堂(三月堂)が隣接しており、古都奈良の歴史と文化を感じられる場所です。

神社のある手向山は、古くから紅葉の名所として知られています。秋になると、色鮮やかな紅葉を楽しもうと多くの人々が訪れます。

手向山は、和歌にも詠まれた由緒ある場所です。『古今和歌集』には、学者・政治家として知られる菅原道真が詠んだ「このたびは 幣もとりあへず 手向山 紅葉の錦 神のまにまに」という歌が収められています。紅葉の美しさと神への祈りが重なり合う、自然と信仰の結びつきを感じられる神社です。

手向山八幡宮の歴史

創建と東大寺との関わり

手向山八幡宮の創建は、天平勝宝元年(749年)にさかのぼります。東大寺と大仏の建立に際し、鎮守神として宇佐八幡宮から神霊を迎えたことが始まりとされています。

当初は平城宮の南にあった梨原宮(なしはらぐう)に祀られ、その後、東大寺大仏殿の南側にある鏡池付近へ移されたと伝えられています。

治承4年(1180年)、平重衡による南都焼討によって社殿は焼失しました。しかし、文治4年(1188年)には重源によって仮殿が建てられ、建久8年(1197年)には社殿が再建されました。

さらに、建長2年(1250年)には北条時頼の指示によって、現在地である東大寺千手院跡へ遷座しました。こうした変遷を経ながら、東大寺と深い関わりを持つ神社として歴史を重ねてきました。

江戸時代から近代への変遷

現在の本殿は、江戸時代の元禄4年(1691年)に再建されたものです。明治維新後の神仏分離政策によって東大寺から独立し、県社に列格されました。

また、かつて東大寺の塔頭である東南院(現在の本坊)にあった東照宮の社殿と祭神も、手向山八幡宮へ移されました。長い歴史の中で、神社と寺院の関係、そして奈良の信仰文化の変遷を今に伝えています。

ご祭神と境内の見どころ

主なご祭神

手向山八幡宮では、次の神々を主にお祀りしています。

歴史を伝える社殿と建造物

境内には、江戸時代や鎌倉時代の建築をはじめ、歴史的価値の高い建造物が残されています。参拝の際には、社殿の造りや細部の意匠にも注目してみてください。

本殿

元禄4年(1691年)に再建された建物で、奈良県指定有形文化財です。手向山八幡宮の中心となる社殿です。

神門(楼門)

奈良県指定有形文化財に指定されています。境内の歴史的な景観を形づくる重要な建造物の一つです。

南御廊・北御廊

いずれも奈良県指定有形文化財です。社殿を囲む廊として、境内の伝統的な構成を今に伝えています。

神楽所

奈良県指定有形文化財に指定されている建物です。神社の祭祀や伝統行事に関わる施設として知られています。

宝庫

重要文化財に指定されている、奈良時代の校倉造の建築です。古代の建築技術を伝える貴重な遺構の一つです。

境内社と関連する社殿

住吉社

鎌倉時代の建築とされる重要文化財です。住吉三神をお祀りしています。

若宮神社

仁徳天皇をお祀りする摂社で、奈良県指定有形文化財に指定されています。

武内神社

武内宿禰をお祀りする神社です。

若殿神社

菟道稚郎子(うじのわきいらつこ)をお祀りしています。

四社合殿

明武神社、劔神社、八子神社、松童神社の四社を祀る社殿です。

東照宮

徳川家康をお祀りする社殿です。東大寺本坊にある「天皇殿」は、もともと東照宮の建物であったとされています。

手向山八幡宮の文化財と宝物

国宝に指定された唐鞍

手向山八幡宮には、国宝に指定された唐鞍(からくら)一具が伝わっています。黒漆螺鈿鞍をはじめ、鞍褥(くらしき)、障泥(あおり)、面繋(おもがい)、鐙(あぶみ)など、さまざまな馬具で構成されています。工芸技術や装飾文化を知るうえでも貴重な宝物です。

重要文化財の数々

境内には、神社の歴史や祭礼文化を伝える美術工芸品など、多くの重要文化財が所蔵・保存されています。主なものは次のとおりです。

奈良県・奈良市指定の文化財

国指定の文化財に加え、地域の歴史や信仰を伝える文化財も数多く残されています。

奈良県指定有形文化財:本殿、若宮本殿、能楽装束など。

奈良市指定有形文化財:手向山神社文書、後宇多上皇院宣など。

また、田植えの所作を通じて豊作を祈願する「御田植(オンダ)」の神事は、奈良市指定無形民俗文化財となっています。古くから受け継がれてきた地域の信仰と祭礼文化を今に伝える行事です。

手向山八幡宮の祭礼と年中行事

お田植祭

お田植祭は、2月の節分に行われる伝統行事です。稲作にまつわる所作を通して、その年の豊作を祈願します。農耕文化と神社の信仰との結びつきを感じられる祭礼です。

転害会(てがいえ)

転害会は、毎年10月5日に行われる祭礼です。手向山八幡宮と東大寺を結ぶ歴史的な信仰を伝える行事の一つです。

手向山八幡宮へのアクセス

電車・バスでのアクセス

JR奈良駅から:奈良交通の市内循環バスに乗車し、「大仏殿春日大社前」バス停で下車します。バス停から徒歩約15分です。

近鉄奈良駅から:徒歩約30分です。奈良公園や東大寺周辺の散策とあわせて訪れるのもおすすめです。

歴史と自然が調和する古社を訪ねて

手向山八幡宮は、東大寺の歴史と深く結びつき、数々の文化財や伝統行事を受け継いできた神社です。国宝の唐鞍や重要文化財の建造物など、歴史的な見どころが豊富にあります。

また、秋には手向山の紅葉が境内や周辺を彩り、古都奈良ならではの美しい景観を楽しめます。東大寺や法華堂(三月堂)を訪れる際には、ぜひ手向山八幡宮にも足を延ばし、歴史と自然、そして神聖な空気に触れてみてはいかがでしょうか。

Information

名称
手向山八幡宮
(たむけやま はちまんぐう)
Tamukeyama Hachimangu Shrine
エリア
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