「燈花」という名前の由来
「燈花」とは、ろうそくの灯心の先にできる、花のような形をしたろうの塊を指します。古くから仏教では縁起の良い兆しとされてきました。この言葉にちなんで「なら燈花会」と名付けられました。
会場一面に広がるろうそくの光は、華やかさだけでなく、心を落ち着かせるような静けさも感じさせます。歴史ある奈良の風景と灯りが調和する、特別な夜のひとときを楽しめます。
成長を続けてきた夏の祭典
初開催時には、1日あたり約1万本のろうそくが使用されました。その後、規模は年々拡大し、2007年には約2万本が灯されるまでに成長しました。
また、奈良市内の自治会や商店街でも自主的に燈花会が開催されるようになり、2007年には市内全体で20か所もの会場が設けられました。来場者も増え、近年では1回の開催で90万人以上が訪れる、奈良を代表する夏のイベントへと発展しています。
なら燈花会の歴史
1999年:なら燈花会が初めて開催されました。
2000年:運営組織「なら燈花会の会」が創設されました。
2004年:特定非営利活動法人(NPO法人)として認証を取得しました。
2007年:正倉院展において特別開催が行われました。
2008年:第10回を記念し、手塚プロダクションとのコラボレーションによって「火の鳥」を表現しました。
2013年:第15回を記念して、新会場「甍」が設けられました。
2014年:アニメ『境界の彼方』とのタイアップ企画が開催されました。
2018年:第20回を迎えました。
2020年:新型コロナウイルス感染症の影響により開催が中止されました。
環境に配慮したろうそくと灯りの工夫
開催当初は、一般的なパラフィン製のフローティングキャンドルが使用されていました。2003年頃からは、自然環境への配慮を目的に、パーム油脂を原料とする天然由来のろうそくへと切り替えられました。
この変更により、奈良公園に生息する鹿が誤ってろうそくを口にした場合にも配慮した設計となり、煤の発生も抑えられるようになりました。その結果、ろうそくを入れるカップの清掃回数も減らせるようになりました。
さらに、2005年からは色付きのカップが導入され、灯りの色彩や会場全体のデザインにも工夫が加えられています。
ボランティアに支えられる祭典
なら燈花会は、NPO法人なら燈花会の会によって運営されています。約250名の会員は全員ボランティアで、赤いTシャツのユニフォームを着用し、年間を通じて準備や運営に携わっています。
開催期間中には、「灯人(ひと)サポーター」と呼ばれるボランティアも募集されます。毎日最大300人が参加し、ろうそくへの点灯や後片付けなどを担当します。
運営全体では、1日あたり約400人、延べ約4,000人のボランティアが活動しています。多くの人々の協力によって、奈良の夏を彩る美しい風景が生み出されています。
主な開催エリア
なら燈花会は、奈良公園とその周辺にある歴史的な名所を中心に開催されます。会場ごとに異なる景観とろうそくの光を楽しめるのが特徴です。
春日野園地:2005年から会場として使用されています。
浮雲園地:1999年の初開催から続く会場です。
浅茅ヶ原:1999年から灯りで彩られている会場です。
浮見堂:1999年から続く会場で、水辺の景観と灯りの調和が魅力です。
猿沢池・五十二段:1999年から開催されている会場です。
奈良春日野国際フォーラム甍:2014年から会場に加わりました。
興福寺:2003年から会場として参加しています。
奈良国立博物館前:2002年から開催会場となっています。
東大寺:2003年から会場として参加しています。
春日大社参道:2003年から灯りで彩られています。
開催期間中の主なイベント
早咲きの日
開催日前日に実施されるプレイベントです。高齢者や障がいのある方を対象に行われます。
火入れ式
ろうそくに火を灯す儀式です。会場を彩る灯りがともされ、なら燈花会の幻想的な夜が始まります。
一客一燈
来場者自身がろうそくに火を灯し、会場に設置できる体験イベントです。参加費は500円で、自分の手で祭典の風景づくりに加われます。
ほのあかりライブ
ろうそくの灯りに包まれた空間で、音楽家による演奏を楽しめるコンサートです。
なら燈花会能
能楽ホールで開催される伝統芸能の公演です。奈良の歴史的な雰囲気とともに、日本の古典芸能に触れられます。
燈花会の彼方
2014年と2015年に開催された、アニメ『境界の彼方』とのコラボレーションイベントです。
同じ時期に楽しめる周辺行事
なら燈花会の開催時期には、奈良市内や周辺の寺社でも、夏の夜を彩る行事が行われます。あわせて訪れることで、奈良ならではの夏の風情をより深く楽しめます。
ライトアッププロムナード・なら:7月中旬から9月下旬にかけて開催されるライトアップイベントです。
春日大社 中元万燈籠:8月14日・15日に行われます。
東大寺 万灯供養会:8月15日に行われます。
奈良大文字送り火:8月15日の20時に行われます。
元興寺 地蔵会万燈供養:8月23日・24日に行われます。
受賞歴
2001年:環境省の「かおり風景100選」に選出されました。
2003年:国土交通省の「国土交通大臣賞」を受賞。また、地域活性化センターの「ふるさとイベント大賞・産業環境部門賞」も受賞しました。
会場へのアクセス
近鉄奈良駅から:東へ徒歩約5~15分です。
JR奈良駅から:三条通りを東へ徒歩約15~30分です。
奈良交通バス:市内循環バスの外回りに乗車し、「氷室神社・国立博物館」または「大仏殿春日大社前」バス停で下車します。
ろうそくの光に包まれる奈良の夏
なら燈花会は、ろうそくのやさしい光を通じて、奈良の歴史や自然の美しさを感じられる夏の祭典です。歴史ある寺社や池、緑豊かな公園が灯りに包まれる光景は、昼間とは異なる奈良の魅力を伝えてくれます。
会場ごとに異なる雰囲気を味わいながら、ゆっくりと夜の奈良を散策してみてはいかがでしょうか。