開館の経緯とコレクションの形成
奈良県立美術館は、1973年(昭和48年)3月に開館しました。そのきっかけとなったのは、風俗史研究家であり日本画家でもあった吉川観方(よしかわ かんぽう)氏から、江戸時代の日本画や浮世絵、美術工芸品などが寄贈されたことです。
開館後も、さまざまなコレクションが加わり、収蔵品は着実に充実してきました。主なものとして、近世日本絵画や浮世絵を中心とする由良哲次氏のコレクション、奈良県出身の著名な陶芸家・富本憲吉氏の近代陶芸作品、そして大橋化学工業株式会社の社長を務め、戦後の現代美術を数多く収集した大橋嘉一氏のコレクションなどが挙げられます。
幅広い時代と分野の収蔵品
2018年時点での収蔵品は約4,150点を超えています。鎌倉時代から現代までの絵画、工芸、彫刻、書跡、風俗資料など、さまざまな分野の作品を所蔵しており、日本美術の歴史と変遷を幅広く紹介しています。
展示・企画内容
美術館では、貴重な収蔵品を活用した展示を積極的に行っています。常設展示に加え、年度ごとにテーマを設定した企画展や特別展も開催され、さまざまな視点から美術に親しめる機会を提供しています。
展示内容を通じて、日本の伝統美術から近代・現代の作品まで、それぞれの時代に育まれた表現や美意識に触れられるのも魅力です。
無料で利用できる館内施設
館内には、観覧券がなくても利用できる無料スペースが設けられています。休憩室や映像コーナーなどがあり、展示鑑賞の合間にひと息ついたり、映像を通じて芸術への理解を深めたりすることができます。
主な収蔵作品
絵画
日本美術史を彩る画家たちの作品が所蔵されています。
・伝・雪舟「秋冬山水図」
・曾我蕭白「美人図」(18世紀)
・竹内栖鳳「保津川」(1888年)
・久米桂一郎「清水秋景図(山径晩暉)」(1893年)
・普門暁「鹿、青春、光り、交叉」(1920年)
・浜田葆光「水辺の鹿」(1932年)
・上村松園「春宵」(1936年)
・須田剋太「新緑の東大寺」(1968年)
・絹谷幸二「チェスキーニ氏の肖像」(1986年)
・平山郁夫「長安の残輝」(1987年)
版画・浮世絵
江戸時代の浮世絵や風俗を描いた作品も、コレクションの重要な一角を占めています。
・東洲斎写楽「松本米三郎のしのぶ」(1794年)
・歌川広重「名所江戸百景・亀戸梅屋舗」(1857年)
・歌川広重「魚づくし・いなだとふぐ」
・西川祐信「美人若衆見立高砂図」(18世紀)
書跡
歴史的な人物にゆかりのある書跡も収蔵されています。
・豊臣秀吉「朱印状 柘植左京亮宛」(1590年)
陶芸
奈良県出身の陶芸家・富本憲吉による作品をはじめ、近代陶芸の魅力を伝える作品が所蔵されています。
・富本憲吉「白磁八角壺」(1932年)
・富本憲吉「磁器色絵円に花模様大角飾筥」(1941年)
・富本憲吉「磁器赤地金銀彩羊歯模様蓋付飾壺」(1953年)
館内の主な施設
館内には、作品の鑑賞だけでなく、学習や休憩にも利用できる施設が整っています。
・展示室1~9
・会議室
・講義室
・図書室
・ブックショップ
・休憩コーナー
建築概要
・設計者:片山光生
・竣工年:1973年
・構造:鉄筋コンクリート造(SRC造)
・階数:地上2階・地下1階
・敷地面積:5,780㎡
・延床面積:5,451㎡
所在地と交通アクセス
所在地:〒630-8213 奈良県奈良市登大路町10-6
電車でのアクセス:近鉄奈良線「近鉄奈良駅」から徒歩約5分です。
バスでのアクセス:奈良市内循環バスに乗車し、「県庁前」で下車するとすぐです。