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日咩坂鐘乳穴

(ひめさか かなちあな)

日咩坂鐘乳穴は、岡山県新見市豊永赤馬に位置する鍾乳洞で、1957年に「阿哲台」として岡山県指定天然記念物に指定されました。この鍾乳洞は、日咩坂鐘乳穴神社の御神体として古くから信仰されており、その神秘的な存在感は地域の霊地として広く知られています。

霊地としての歴史

日咩坂鐘乳穴は、古くより「大洞穴(おおほらあな)」と呼ばれ、神が宿る霊地として信仰されてきました。伝承によれば、802年(大同2年)に弘法大師(空海)がこの地を訪れ、伊弉諾尊・伊弉冉尊を勧請して三尾寺の鎮守として祀ったことが、日咩坂鐘乳穴神社の創建の起源とされています。神社はこの鍾乳洞を御神体として崇め、現在も信仰の対象となっています。

薬石としての「石鍾乳」

859年(貞観元年)には、『日本三代実録』によると、都から派遣された典薬頭出雲朝臣峰嗣が、この洞窟から「石鍾乳」という神聖な薬石を採取したと記録されています。この薬石は、当時の上流社会で高貴な薬として珍重されていたと考えられています。

鍾乳洞としての特性

洞窟の規模と構造

日咩坂鐘乳穴は、総延長2,128.5メートル以上、高低差184メートルの巨大な裂罅型鍾乳洞です。この鍾乳洞は、日本有数の大洞窟として知られ、内部には地底湖や竪穴が存在し、様々な二次生成物が見られます。洞内の気温は年間を通じて12℃から14℃程度で一定しており、自然の冷涼な空間が広がっています。

神秘的な「神の池」

かつて、日咩坂鐘乳穴の最奥部は「神の池」と呼ばれる場所であると考えられていましたが、1971年に柴田晃氏率いる調査隊が、渇水期にこの池を通り抜け、更に700メートル続く未知の洞穴を発見しました。この発見により、日咩坂鐘乳穴は探検家たちの興味を引き、奥深くへと挑む冒険の地として知られるようになりました。

内部構造の詳細

洞口と進入路

日咩坂鐘乳穴には三つの洞口があります。第一洞口は高さ20メートルほどで、日咩坂鐘乳穴神社の南西方向に位置しています。残りの二つの洞口、星穴と大穴は竪穴であり、星穴は現在、投棄物により通行が困難となっています。

神の池から最奥部への道

第一洞口から500メートル進むと、第三洞口である大穴が確認でき、その先に「神の池」があります。この池は通常、水没しているため渇水期以外は進入が困難です。神の池より先に進むと、洞窟の方向が南に変わり、3カ所のラダーポイントを経て最奥部へと続きます。最奥部には地底湖が広がり、その神秘的な景観が訪れる者を魅了します。

地底湖の謎

洞窟の最奥部に位置する地底湖は、幅30メートル、奥行25メートル、水深35メートルにも達しますが、水の透明度が非常に低く、視界は1メートル以下です。この湖の水流は非常に緩やかであり、どこへ流れ出しているのかは明確には分かっていません。このため、地底湖は神秘的な存在感を持ち続けています。

観光と安全管理

観光と探検の魅力

日咩坂鐘乳穴は、その神秘的な景観と探検的な要素から、多くの洞穴探検愛好家や観光客に人気のスポットとなっています。しかし、探検には危険が伴い、特に神の池より先のエリアは、安全な装備と十分な注意が必要です。また、過去には重大な事故も発生しており、現在では安全管理のために入洞が制限されています。

安全対策と入洞禁止措置

2008年には最奥部の地底湖で事故が発生し、以降、安全対策が強化されました。現在、新見市内の鍾乳洞の中で日咩坂鐘乳穴は、重大事故が多発しているとして、入洞禁止措置が取られています。観光客や探検家は、この洞窟の魅力を楽しむとともに、十分な安全対策を講じることが求められます。

Information

名称
日咩坂鐘乳穴
(ひめさか かなちあな)
Himesaka Kanachiana Cave
エリア
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