一度は途絶えた、庄内の伝統品種
伝九郎柿は、かつて庄内地方の各地で栽培されていました。しかし、種があることや、樹高が高くなりやすく収穫に手間がかかることなどから、次第に生産量が減少し、一時は栽培が途絶えてしまいました。
その後、独特のおいしさと希少性が注目され、さまざまなメディアで紹介されたことをきっかけに、再び人気が高まりました。現在では、生産量が限られていることもあり、入手が難しい貴重な柿として知られています。
昔ながらの「湯ざわし」から焼酎を使った脱渋へ
伝九郎柿は渋柿のため、食べる前に渋みを取り除く「脱渋」が必要です。昔は「湯ざわし」と呼ばれる方法が用いられ、お湯に一昼夜ほど浸して渋みを抜いていました。
しかし、湯ざわしはお湯の温度管理が難しいうえ、脱渋後の日持ちが短く傷みやすいという課題がありました。そのため現在では、より扱いやすい焼酎を使った脱渋が行われています。
庄内の秋を詠んだ、伝統の歌にも登場
伝九郎柿は、地域の人々に親しまれてきた秋の味覚でもあります。鶴岡市藤島の長沼地区には、古くから口ずさまれてきた歌があり、その一節には「春孟宗、夏すもも、秋伝九郎柿…」と、季節ごとの特産品が歌われています。
この歌からも、伝九郎柿が地域の暮らしの中で、秋を代表する味覚として大切にされてきたことがうかがえます。
秋にしか味わえない希少な庄内の味
濃厚な甘みと、とろけるような独特の食感が魅力の伝九郎柿。生産量が限られているため、出会えたときにはぜひ味わってみたい、庄内地方ならではの伝統的な秋の果実です。
旬
9月・10月・11月