諏訪大社 下社 秋宮は、全国に約25,000社ある諏訪神社の総本社として、日本各地に広がる信仰の中心となっています。旧称は「諏訪神社」とされ、「お諏訪さま」や「諏訪大明神」とも呼ばれるこの神社は、日本最古の神社の一つとしての歴史を誇り、信濃国の一宮として古くからその名を知られています。この神社は、その長い歴史の中で、多くの人々に崇拝され、地域の信仰や文化の中核を成してきました。
諏訪大社 下社 秋宮の社殿は、その独特な構造と配置で知られています。社殿の四隅には「御柱」と呼ばれる4本のモミの木柱が立てられており、この配置は神社の神聖さを強く象徴しています。また、社殿は華美な装飾や塗装が施されておらず、全てが素木造りで、自然の風合いがそのまま生かされています。この質素でありながら力強い建築様式は、古代から続く日本の伝統を感じさせるものであり、多くの社殿が国の重要文化財に指定されています。
諏訪大社は、諏訪湖を挟んで南岸に上社、北岸に下社が存在し、それぞれが異なる役割を担っています。上社には本宮と前宮、下社には秋宮と春宮が鎮座しており、これらの社には社格の序列がなく、互いに平等な位置付けがされています。下社は、秋宮と春宮から構成されており、古くから両宮は同格の地位を保ってきました。特に、下社が位置する地域は、南側が開けており、古くから農耕が盛んな地であったため、農耕民族的な性格を持っています。
秋宮は、下諏訪の町の東端に位置しており、東方には承知川が流れています。この地に秋宮が鎮座しているのは、毎年8月から翌1月にかけて祭神が祀られるためであり、これが「秋宮」と呼ばれる所以です。秋宮の境内には、国の重要文化財に指定されている社殿が4棟あり、その壮麗な建築様式は、古くからの日本の建築技術の粋を集めたものとなっています。さらに、周辺は温泉地としても知られ、境内には御神湯が湧き出ており、参拝者に癒しの場を提供しています。
秋宮の境内には、多くの見どころがあり、それぞれが歴史と文化を伝える重要な遺産となっています。
幣拝殿は、江戸時代の安永10年(1781年)に完成した建物で、幣殿と拝殿が一体となった二重楼門造りです。この建物は、左右に片拝殿(重要文化財)が並び、立川和四郎による精巧な彫刻が施されています。
神楽殿は、江戸時代の天保6年(1835年)に造営されたもので、ここでは様々な神楽や祭事が行われます。神楽殿には、彫刻家清水多嘉示による狛犬が設置されており、その美しい彫刻が訪れる人々の目を楽しませます。
境内正面に立つ「根入りの杉」は、非常に神聖な木として崇拝されており、古くから多くの参拝者がその木の力にあやかろうと訪れます。この杉は、地域の自然の象徴とも言える存在です。
千尋池は、かつて「賣神祝印」と呼ばれる重要文化財が発見された場所であり、池の周辺は神秘的な雰囲気に包まれています。この池もまた、秋宮の歴史と深く関わりを持っています。
秋宮の周辺地域は、中山道と甲州街道が交わる場所に位置しており、古くから宿場町として栄えてきました。この地域は、かつてのにぎやかな街道域の面影を残しつつ、現在でも多くの観光客が訪れる賑わいを見せています。表参道の大通りには、土産物店、飲食店、旅館などが軒を連ねており、訪れる人々に多彩な楽しみを提供しています。また、この地域は温泉地としても知られており、参拝と合わせて温泉を楽しむことができるのも魅力の一つです。
JR中央本線下諏訪駅から徒歩10分
岡谷ICから車で15分[4km]
諏訪ICから車で25分[10km]