王子ヶ浜は、和歌山県新宮市に広がる美しい砂礫海岸で、三重県熊野市まで続く七里御浜の一部を構成しています。約4kmにわたって続く海岸線には熊野古道が寄り添うように延びており、世界遺産の巡礼路と雄大な熊野灘の景色を同時に楽しめる人気のスポットです。
王子ヶ浜は、熊野古道「高野坂」の入口としても知られています。高野坂から新宮方面へ歩くと、眼前には熊野灘と王子ヶ浜の美しい景観が広がり、古くから熊野詣を行う人々が歩いた巡礼の道を体感できます。浜の途中には、身を清める場所と伝えられる「御手洗(みたらい)」があり、参詣者はここで海水を浴びて心身を清めてから熊野の聖地へ向かったといわれています。
この海岸は、熊野川から運ばれてきた砂や小石が長い年月をかけて波により堆積して形成された砂礫海岸です。波打ち際には丸みを帯びた小石が広がり、独特の景観を生み出しています。また、毎年アカウミガメが産卵のために訪れる貴重な海岸としても知られ、豊かな自然環境が今も大切に守られています。
王子ヶ浜は、熊野信仰において重要な役割を担ってきた場所でもあります。毎年2月6日に神倉神社で行われる勇壮な火祭り「御燈祭」では、参加者が祭りの前に海へ入り身を清める「潮垢離(しおごり)」が行われる神聖な場所として受け継がれています。また、近くには熊野九十九王子の一つである「浜王子跡」があり、熊野古道を巡る歴史散策の見どころにもなっています。
熊野灘を望む王子ヶ浜は、朝日や夕景の美しさでも知られています。特に初日の出の名所として人気があり、新しい年の始まりには多くの人が雄大な景色を眺めながら新年を祝います。波の音を聞きながら海岸を散策すれば、熊野の豊かな自然と悠久の歴史をゆっくりと感じることができるでしょう。
王子ヶ浜は、美しい海岸風景だけでなく、熊野古道や熊野信仰、豊かな自然が一体となった魅力あふれる観光スポットです。歴史散策や自然観察、写真撮影など、さまざまな楽しみ方ができるため、新宮市を訪れた際にはぜひ足を運びたい名所の一つです。