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西山古墳(ナガリヤマ)

(にしやま こふん)

天理市に残る全国最大級の前方後方墳

西山古墳は、奈良県天理市杣之内町に位置する、古墳時代前期の4世紀頃に築造されたと推定される大型古墳です。天理高等学校の敷地内にあり、「ナガリヤマ(勾山)」という別名でも知られています。

墳丘の全長は約183メートルに及び、日本に現存する前方後方墳としては最大級の規模を誇ります。特に注目されるのは、下段が前方後方形、中段と上段が前方後円形という、全国的にも珍しい三段構造です。その独特な形状から、古墳時代の築造技術や当時の権力者の思想を考えるうえで、非常に重要な遺跡とされています。

1927年(昭和2年)4月8日には国の史跡に指定されました。現在も墳丘の形状を観察しやすい状態で保存されており、天理市の古代史を伝える貴重な文化遺産となっています。

古墳の築造と歴史的背景

杣之内古墳群を代表する古墳

西山古墳は、天理市に広がる杣之内古墳群に属しています。この古墳群は、古墳時代の有力者たちの活動や地域の歴史を知るうえで重要な遺跡群です。西山古墳は、その中でも早い時期に築造された古墳の一つと考えられています。

4世紀頃の奈良盆地では、大規模な古墳が各地に築かれました。西山古墳の規模や複雑な構造は、当時この地域に強い権力を持つ有力者が存在したことをうかがわせます。

石室の変遷と戦時中の利用

墳丘の中心部には、竪穴式石室が設けられていたと考えられています。しかし、石室はすでに盗掘を受けており、内部の詳しい構造については不明な点が残されています。

また、第二次世界大戦中には、旧日本軍が古墳を対空砲陣地として利用したと伝えられています。その際、石室の一部の石材が掘り出されたとされ、古墳の保存や調査の歴史を考えるうえでも、こうした経緯は重要な意味を持っています。

全国的にも珍しい墳丘の構造

全長約183メートルの三段構造

西山古墳の最大の特徴は、全長約183メートルという大きさと、前方後方墳と前方後円墳の形状を組み合わせたような独特の構造です。

墳丘は三段に築かれ、下段は前方後方形、中段と上段は前方後円形となっています。下段の後方部は一辺約90メートルの正方形で、同じ長さの前方部が連結しています。

中段では後円部の直径が約72メートル、前方部の全長が約90メートルとされています。さらに、墳頂部には直径約30メートルの平坦な空間があり、その先には約7メートル低い位置に前方部が続いています。

このように、段ごとに異なる形状を持つ墳丘は非常に珍しく、古墳の設計や築造技術を研究するうえで貴重な事例です。

自然の地形を巧みに利用した設計

西山古墳は、三本の尾根が交差する緩やかな斜面を利用して築かれています。北側と南側の尾根を外堤として活用するなど、周囲の地形を巧みに取り入れた構造が特徴です。

また、古墳の周囲には方形の濠(ほり)が巡らされていたと考えられていますが、現在ではその大部分が埋め立てられています。

墳丘の複雑な形状については、両端が方形となる「双方中方墳」に近い形式ではないかという見方もあり、古墳の形態や築造方法について学術的な関心が寄せられています。

出土品から分かる古代の文化

銅鏡や碧玉製品、鉄製品

西山古墳からは、被葬者の地位や当時の文化を考える手掛かりとなる、さまざまな遺物が確認されています。

後方部からは、銅鏡の破片や碧玉製の鏃(やじり)、管玉(くだたま)、鉄剣・鉄刀の破片などが出土しました。これらの遺物は、古墳時代の武器や装身具、儀礼に関係する文化を知るための重要な資料です。

さらに、前方部南側の濠からは、珍しい碧玉製の車輪石が見つかっています。車輪石は、古墳時代の有力者に関係する石製品の一つであり、当時の装飾文化や社会的な地位を考えるうえで注目されます。

葺石と埴輪が伝える葬送儀礼

墳丘の斜面には葺石が敷かれ、円筒埴輪や鰭(ひれ)付き円筒埴輪、家形埴輪なども出土しています。

葺石は墳丘の表面を覆い、その形を際立たせる役割を果たしていました。また、埴輪は古墳の周囲に配置され、葬送儀礼や被葬者の権威を表現していたと考えられています。

西山古墳から出土した多様な遺物は、当時の人々の信仰や社会構造、工芸技術を知るための貴重な手掛かりとなっています。

現在の保存状況と見どころ

段築の形状を観察できる古墳

西山古墳は、現在も比較的良好な状態で保存されています。墳丘には樹木がほとんど生えていないため、三段に築かれた構造や独特の輪郭を目で確認しやすいことが特徴です。

全長約183メートルという壮大な規模に加え、下段と上段で異なる形状を持つ墳丘は、ほかの古墳ではなかなか見られない見どころです。地形を利用した築造方法や、古墳時代の高度な土木技術を想像しながら眺めると、より興味深く見学できます。

考古学や日本古代史に関心のある方にとって、西山古墳は古墳文化の多様性を実感できる貴重な場所です。

国の史跡「杣之内古墳群」

西山古墳は、1927年(昭和2年)4月8日に国の史跡に指定されました。その後、2018年(平成30年)には、隣接する西乗鞍古墳が追加指定されたことに伴い、史跡の名称が「杣之内古墳群」に変更されました。

天理市には、西山古墳をはじめ、古墳時代の歴史を伝える遺跡が数多く残されています。これらの古墳群は、当時の有力者の活動や地域社会の発展を知るための重要な文化遺産です。

西山古墳へのアクセス

天理駅から徒歩で訪問

西山古墳は、近鉄・JR天理駅から徒歩約20分の場所にあります。天理大学附属の天理参考館から南へ約500メートル、天理中学校のすぐ北側に位置しています。

天理市内の古墳や歴史遺産を巡る際には、周辺の史跡とあわせて訪れるのもおすすめです。なお、天理高等学校の敷地内に位置するため、見学の際は立ち入り可能な範囲や現地の案内に従ってください。

古代の技術と権力を今に伝える歴史遺産

西山古墳は、単なる古代の墓ではなく、当時の人々の信仰や権力、土木技術を今に伝える貴重な文化遺産です。全国でも類例の少ない三段構造の墳丘や、多彩な出土品は、古墳時代の歴史を理解するうえで大きな価値を持っています。

現地では、その壮大な規模と特徴的な形状を通じて、約1600年以上前の人々が築いた古墳の姿に思いを巡らせることができます。天理市を訪れた際には、地域に残る古代の歴史を感じられる場所として、西山古墳にも注目してみてはいかがでしょうか。

Information

名称
西山古墳(ナガリヤマ)
(にしやま こふん)
Nishiyama Kofun (Nagariyama Tumulus)
エリア
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カテゴリ
史跡・文化財・建造物・世界遺産

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