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赤土山古墳

(あかつちやま こふん)

奈良の歴史を物語る貴重な前方後円墳

赤土山古墳は、奈良県天理市櫟本町(いちのもとちょう)に位置する大型の古墳です。「あかつちやまこふん」のほか、「あかどやまこふん」「あかんどやまこふん」とも呼ばれています。東大寺山古墳群を構成する主要な古墳の一つで、古墳時代の歴史や文化を知るうえで重要な遺跡です。

墳丘の全長は106.5メートル以上とされ、前方部を西に向けています。後円部の東側には突出部があり、一般的な前方後円墳とは異なる特徴的な形状を備えています。また、発掘調査では多様な埴輪や石製品などが出土し、当時の祭祀や埋葬文化を考えるための貴重な資料となっています。

1992年12月15日には国の史跡に指定され、発掘調査や整備事業を経て、2010年から一般公開されています。現在は遊歩道や説明板が整備され、古代の歴史に触れながら散策できる史跡公園となっています。

赤土山古墳の立地と歴史的背景

東大寺山丘陵に築かれた古墳

赤土山古墳は、奈良盆地の東縁に位置する東大寺山丘陵の南端に築かれています。周辺には東大寺山古墳や和爾下神社古墳などの大型古墳が点在し、古代の有力者たちが活動した地域であったことがうかがえます。

この一帯は、古代豪族の和邇氏(わにし)と関係の深い地域と考えられています。赤土山古墳も、周辺の古墳群とともに、当時の権力構造や有力者の勢力範囲を考えるうえで重要な遺跡です。

特徴的な墳丘の構造

全長106.5メートル以上の大型古墳

赤土山古墳は、全長106.5メートル以上の規模を持つ古墳です。前方部を西に向け、前方部と後円部はいずれも2段に築かれています。後円部の直径は約66メートルと推定されています。

後円部の東側には、造出(つくりだし)とみられる突出部があります。このため、墳丘全体は通常の前方後円墳とは異なる、特異な形状を示しています。こうした構造は、古墳の設計や祭祀空間のあり方を考えるうえで興味深い特徴です。

葺石と多様な埴輪

墳丘の表面には葺石が施され、周囲には円筒埴輪や朝顔形埴輪のほか、蓋形・短甲形・盾形などの形象埴輪が並べられていたことが、発掘調査によって明らかになっています。

埴輪は、古墳の外観を整えるだけでなく、葬送儀礼や被葬者の権威を表す役割を担っていたと考えられています。赤土山古墳から出土した多様な埴輪は、当時の造形技術や祭祀の様子を知るための貴重な資料です。

家形埴輪による祭祀遺構

特別な空間を思わせる埴輪の配置

赤土山古墳で特に注目されるのが、後円部東側の突出部南側で確認された家形埴輪祭祀遺構です。ここからは11基の家形埴輪と1基の囲形埴輪が出土しました。

家形埴輪は建物をかたどった埴輪で、当時の建築や社会生活を知る手掛かりとなります。囲形埴輪とともに見つかったことから、この場所が何らかの祭祀に関係する特別な空間だった可能性が考えられています。

これらの埴輪が豪族の居館などを表現していた可能性も指摘されており、赤土山古墳は古墳の構造だけでなく、古代の信仰や社会のあり方を探るうえでも重要な遺跡です。

発掘調査で明らかになったこと

1987年から始まった調査

赤土山古墳では、宅地造成に伴う墳丘の一部の削平をきっかけに、1987年から発掘調査が進められました。初期の調査では前方後方墳と考えられていましたが、その後の調査によって墳丘の形状に関する理解が改められました。

1992年には、赤土山古墳と2号墳を含む範囲が国の史跡に指定されました。その後も継続して調査が行われ、墳丘の構造や埴輪の配置、祭祀に関係するとみられる遺構などが確認されています。

前方後方墳から前方後円墳へ

1998年から2000年にかけて実施された調査では、墳丘の形状について重要な成果が得られました。赤土山古墳は当初、前方後方墳と考えられていましたが、調査によって前方後円墳であることが明らかになりました。

その背景には、築造後から繰り返された地すべりの影響がありました。地すべりによって墳丘の一部が崩れ、元の形状が分かりにくくなっていたのです。地形の変化を詳しく調べることで、古墳本来の姿が徐々に解明されていきました。

史跡整備と一般公開

2007年には、史跡整備に伴う第9次調査が行われました。2006年度から進められた整備事業を経て、2010年には「史跡赤土山古墳」として一般公開が始まりました。

現在は遊歩道や説明板が整備され、墳丘の特徴や発掘調査の成果を現地で確認できます。古代の遺構を身近に感じながら、天理市の歴史を学べる場所となっています。

貴重な副葬品と石製品

滑石製の遺物

後円部南側の堆積土からは、勾玉や玉杖形石製品など、さまざまな副葬品が出土しています。主な滑石製品には、次のようなものがあります。

勾玉:大形2点、小形16点

玉杖形石製品:1点

刀子:3点

剣の身:1点

刀の身:1点

これらの品々は、当時の装身具や儀礼に関係する文化を知るうえで重要な資料です。特に玉杖形石製品は、古代の権威や儀礼との関係を考える手掛かりとなります。

緑色凝灰岩製の石製品

副葬品には、緑色凝灰岩製の石製品も含まれています。主な出土品は次のとおりです。

管玉:26点

筒形石製品:2点

鍬形石:2点

突起形石製品:1点

合子:蓋・身各1点

石釧:1点

石鏃:1点

これらの石製品は、当時の工芸技術や素材の利用、地域間の交流を考えるための貴重な手掛かりです。出土品の種類や素材を比較することで、古墳時代の文化や社会関係について理解を深めることができます。

国の史跡として保存される赤土山古墳

赤土山古墳は、1992年12月15日に国の史跡に指定されました。古墳時代の墳墓として学術的価値が高く、地域の歴史や文化を伝える重要な遺跡として評価されています。

史跡整備によって、現在では墳丘の様子を見ながら散策できるようになりました。地すべりによる変形や発掘調査による復元の過程も、古墳の歴史を理解するうえで興味深いポイントです。

古代の歴史と祭祀文化に触れる場所

赤土山古墳は、古代豪族の勢力や葬送儀礼、埴輪による祭祀のあり方を今に伝える貴重な歴史遺産です。特徴的な墳丘の形状や家形埴輪祭祀遺構、多様な石製品など、見どころは多岐にわたります。

現地を訪れれば、奈良盆地東縁の地形と古墳群の広がりを感じながら、古代の人々が築いた大規模な墓の姿に思いを巡らせることができます。天理市で古代史をたどる際には、ぜひ訪れておきたい史跡の一つです。

Information

名称
赤土山古墳
(あかつちやま こふん)
Akatsuchiyama Kofun Tumulus
エリア
奈良県の観光地 天理・法隆寺の観光地
カテゴリ
史跡・文化財・建造物・世界遺産

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