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木賊温泉

(とくさ おんせん)

木賊温泉は、福島県南会津郡南会津町に位置する歴史ある温泉地です。平安時代から続くと伝えられる秘湯で、標高約795〜900メートルの山あいにひっそりと佇み、古くから「会津の隠れ湯」として多くの人々に親しまれてきました。その名は、かつてこの地に群生していた植物「木賊(とくさ)」に由来しています。

自然と調和する秘湯

木賊温泉の最大の魅力は、川床から直接湧き出る露天風呂にあります。清流・西根川のせせらぎを聞きながら、四季折々の自然とともに温泉に浸かることができ、訪れる人の心と体を癒してくれます。特に有名なのが共同浴場「岩風呂」で、大きな岩盤をくり抜いて作られた湯船の底から、こんこんと温泉が自噴しており、源泉かけ流しを楽しめる貴重な温泉です。

岩風呂の魅力

「岩風呂」は男女混浴の共同露天風呂で、自然の地形をそのまま利用した野趣あふれる造りとなっています。湯温はやや高めの約45℃で、足元から直接湧出する温泉は空気に触れることなく浴槽を満たしており、温泉愛好家から「一生に一度は訪れたい秘湯」と称されています。渓流のすぐ脇にあるため、四季の移ろいを間近に感じられ、春の新緑や秋の紅葉、冬の雪景色は特に格別です。

歴史と復興の歩み

木賊温泉の歴史は古く、約1000年前に発見されたと伝えられています。江戸時代後期の『新編会津風土記』にもその存在が記されており、皮膚病などに効能があるとされて多くの人々が訪れていました。

度重なる災害と復興

しかし、その歴史の中で度重なる自然災害にも見舞われています。2017年の台風21号では西根川が氾濫し湯小屋が崩壊しましたが、わずか1か月後に復興。2018年の台風24号、2019年の台風19号でも岩風呂が被害を受け、そのたびに地元の人々や温泉を愛する人々の力によって再建されてきました。湯小屋の壁には、再建のために寄付をした人々の名札が並び、温泉を守ろうとする強い思いが感じられます。

泉質と効能

木賊温泉の泉質は単純硫黄泉・単純温泉で、無色透明ながらも硫黄の香りがほんのり漂います。肌にやさしく、神経痛や冷え性、皮膚病に効果があるといわれ、湯治場としても親しまれてきました。源泉かけ流しの温泉にゆったり浸かれば、心身ともに癒やされるひとときを過ごせます。

温泉街と宿泊施設

奥会津の山深くに位置する温泉地には、現在5軒ほどの旅館や民宿が点在しています。中には自前の浴場を持たず、共同浴場を利用する宿もあり、地域全体で温泉を守り続けているのが特徴です。共同浴場は「岩風呂」と「広瀬の湯」の2つがあり、「広瀬の湯」では内湯を楽しむこともできます。

交通アクセス

自動車利用

東北自動車道・西那須野塩原ICを下車し、国道400号を経由して尾瀬方面へ約90分で到着します。山あいの道を進むため、ドライブそのものも旅の楽しみとなります。

公共交通利用

会津鉄道または野岩鉄道の会津田島駅、もしくは会津高原尾瀬口駅から、予約制の乗合タクシー「んだべぇタクシー(舘岩地区)」を利用できます。自然豊かな山あいを抜け、秘湯を目指す道のりはまさに小旅行です。

まとめ

木賊温泉は、千年の歴史を誇る秘湯でありながら、自然災害のたびに復興を遂げ、今日も人々を迎え入れています。清流の音と豊かな自然に囲まれた露天風呂は、まさに「会津の隠れ湯」にふさわしい存在です。都会の喧騒を離れ、奥会津の大自然と歴史ある温泉に身を委ねるひとときを過ごしてみてはいかがでしょうか。

Information

名称
木賊温泉
(とくさ おんせん)
Tokusa Onsen
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