何万年もの間にまるで塔のように削られた高さ31メートルの奇岩が連なる。
塔の形をした断崖まで吊り橋が架けられ、断崖内部の一部を見学することができる。
へつりとは地元の言葉で断崖のことで、塔の形が立ち並ぶ断崖という意味から「塔のへつり」と名づけられた。その特異な形から国の天然記念物に指定されている。
紅葉の名所になっていて、10月中旬には白い岩肌にはえる紅葉が大川の流れをも染め、深々とえぐられた岩のアーチを巡って紅葉狩りが楽しめる。
塔のへつり(とうのへつり)は、福島県南会津郡下郷町に位置する自然の奇観で、数百万年にわたる川の浸食によって形成された独特の地形です。この景勝地は、浄土ヶ浜、磐梯吾妻スカイラインと並び、福島県の三大名勝の一つとして知られています。「へつり」とは、地元の方言で「断崖」や「急斜面」を意味し、その名の通り断崖絶壁が連なる壮観な景色を楽しむことができます。
塔のへつりは、阿賀川の支流である大川の中流に位置し、川の浸食作用によって形成された高さ50メートル、幅200メートルの断崖絶壁が特徴です。約3000万年前からの地質活動により堆積した凝灰岩や砂岩が、長い年月をかけて浸食され、現在のような独特の地形が生まれました。この地域の岩石は柔らかく、風化や浸食によって多様な形状を作り出しています。
塔のへつりは、その壮大な景観で訪れる人々を魅了します。特に秋には紅葉が美しく、絶壁に映える赤や黄の彩りが見事です。また、冬には雪景色が広がり、白銀の世界が訪れる人々を迎えます。へつり橋という吊り橋がかかっており、これを渡ることで断崖絶壁の間近に迫ることができ、スリル満点の体験を楽しむことができます。
塔のへつり周辺には、歴史的な名所も多く存在します。この地域は古くから信仰の対象とされており、断崖の中腹には小さな仏像や祠が点在しています。これらは、地元の人々が自然の力を畏敬し、祈りを捧げてきた証です。また、近くには大内宿などの歴史的な町並みが残り、江戸時代の風情を感じることができます。
塔のへつりへのアクセスは、公共交通機関と車の両方が利用可能です。最寄りの会津鉄道会津線の「塔のへつり駅」から徒歩約10分の距離にあり、気軽に訪れることができます。車を利用する場合は、東北自動車道の白河ICから約1時間30分、会津若松市からは約1時間のドライブで到着します。駐車場も整備されており、便利です。
塔のへつり周辺には、他にも多くの観光スポットがあります。特に大内宿は、江戸時代の宿場町の雰囲気を今に伝える観光地として人気です。茅葺き屋根の家々が立ち並び、歴史を感じながら散策することができます。また、南会津の美しい自然を楽しむハイキングコースも豊富で、四季折々の風景を楽しむことができます。
塔のへつりを訪れる際には、安全に注意することが重要です。断崖絶壁や吊り橋を歩く際には、足元に注意し、滑りにくい靴を履くことをおすすめします。また、自然保護の観点から、ゴミの持ち帰りや環境を損なわない行動を心がけましょう。特に紅葉や雪景色のシーズンは多くの観光客が訪れるため、混雑を避けるために平日や早朝の訪問がおすすめです。
塔のへつりは、その壮大な自然景観と歴史的な背景で訪れる人々を魅了する場所です。断崖絶壁と紅葉や雪景色が織りなす美しい風景を楽しみながら、自然の力と歴史を感じるひとときを過ごすことができます。ぜひ一度、塔のへつりを訪れて、その魅力を体感してみてください。
見学自由
※冬期間は、つり橋は安全のため通行止め
無料
塔のへつり駅から徒歩で5分