» 中国 » 山口県 » 萩・長門

俵山温泉

(たわらやまおんせん)

レトロな風情の療養に適した温泉

俵山温泉は、木屋川上流部の山間部にひっそりと佇む温泉街で、古き良き日本の温泉文化が色濃く残っています。ここには小さな日本家屋の旅館が集まり、静かな環境でのんびりとした時間を過ごすことができます。

俵山温泉は、療養目的の温泉地として国民保養温泉地および国民保健温泉地に指定されており、その歴史は千年以上にも及びます。薬師如来の化身がこの地の霊泉を告げたという伝説があり、多くの人々に愛されてきた場所です。

泉質と効能

俵山温泉の泉質はアルカリ性単純温泉で、特に「町の湯泉」と「川の湯泉」の二つの源泉が有名です。これらの温泉は、pH9.9という高いアルカリ性を持ち、神経痛やリウマチといった症状に効果があるとされています。この温泉は、湯治を目的とした利用者に支持されており、その効果は古くから知られています。

温泉街にある旅館の中で内湯を持つのは1軒のみで、多くの地元住民や観光客は共同浴場である「白猿の湯」や「町の湯」を利用しています。これらの浴場は、いずれも加水を行わない源泉掛け流しであり、天然の温泉をそのまま楽しむことができます。

施設と利用情報

俵山温泉の共同浴場は、地域の方々にも観光客にも広く利用されています。代表的な浴場である「町の湯」は、利用料金が480円(2022年時点)で、誰でも気軽に利用できる日帰り温泉施設です。また、「白猿の湯」は850円で利用でき、ファミリー向けの施設としても人気があります。どちらも源泉掛け流しの温泉で、体の芯から温まることができます。

温泉街にある旅館の中で唯一、自家源泉を所有しているのが冨士屋旅館で、この旅館は「日本温泉遺産を守る会」によって温泉遺産(源泉かけ流し風呂)として認定されています。また、松屋旅館は温泉評論家である松田忠徳の「お薦めの宿&共同湯200選」にも選ばれており、歴史と伝統を感じながら温泉を楽しむことができます。

俵山温泉の歴史と伝説

開湯伝説

俵山温泉には、長い歴史があり、その開湯には伝説が残されています。明治37年(1904年)に編纂された『俵山温泉誌』によると、室町時代の応永年間、ある猟師が白猿を射たが、猿は逃げ去りました。後日、その猿が清泉で傷を癒しているのを発見した猟師が近づくと、猿は光を放ち仏像に変わり、その場所が温泉であることが明らかになりました。この伝説から、この地の温泉が弘法大師空海の誓いにより病者のために現れた霊泉であると信じられるようになりました。

他の伝説と歴史

『俵山温泉案内』(1922年)では、熊野神社の縁起に基づき、平安時代の延喜16年(916年)の開湯伝説を紹介しています。また、江戸時代には長州藩や長府藩の藩主がこの地を湯治場として利用していたことも記録されています。近代においては、温泉文学の祖とされる田山花袋が『温泉周遊 西の巻』(1922年)で「私の心を誘ふ温泉」として俵山温泉を紹介し、その魅力を世に伝えています。

俵山温泉は、1955年(昭和30年)に厚生省告示第217号により国民保養温泉地に指定され、さらに国民保健温泉地の指定も受けています。このように、長い歴史と伝統がありながらも、現代においても多くの人々に愛され続けています。

名物と土産

俵山温泉の名物といえば、「見ざる、言わざる、聞かざる」の三猿をかたどった「三猿まんじゅう」が挙げられます。このまんじゅうは、1951年(昭和26年)に発売されて以来、土産菓子として親しまれており、多くの観光客に購入されています。

また、温泉街から北へ1kmの場所には麻羅観音があります。ここでは、陶器製の男根像が売られており、願い事を書いて奉納すると願いが叶うとされています。特に、縁結びや子宝祈願として訪れる人々に人気があり、その独特な風習が続いています。

Information

名称
俵山温泉
(たわらやまおんせん)
Tawarayama Onsen
リンク
公式サイト
住所
山口県長門市俵山
電話番号
0837-29-0001
アクセス

JR美祢線長門湯本駅からバスで30分 *俵山方面行き「俵山温泉」下車

JR山陽本線小月駅からバスで60分 *長門市駅行き「俵山温泉」下車

エリア
山口県の観光地 萩・長門の観光地
カテゴリ
温泉地

Gallery

萩・長門

山口県

カテゴリ

エリア