旧下関英国領事館は、山口県下関市唐戸町に位置する、日本国内で最も古い領事館用途の建築物です。この煉瓦造の2階建ての建物は、1906年(明治39年)に竣工し、イギリス人の建築技師によって設計されました。その優れた歴史的価値が認められ、1999年(平成11年)5月に国の重要文化財に指定されました。
日清戦争後の政治経済的な背景から、駐日英国公使アーネスト・サトウは、朝鮮半島との関係性を強化するために下関に英国領事館を設立することを提案しました。この提案に基づき、1901年(明治34年)に下関に英国領事館が開設され、初代領事にはフランク・ウィリアム・ウオルター・プレイフェアが就任しました。
旧下関英国領事館の建設において、英国工務局上海事務所の建築技師長であるウィリアム・コーワンが設計を担当しました。工務局のロンドン本局の指示により、クィーン・アン様式の設計が採用され、英国の建築様式が下関に持ち込まれました。1906年(明治39年)12月に竣工し、当時の英国の影響力を象徴する建物として完成しました。
第二次世界大戦後の1954年、旧下関英国領事館は下関市に買収されました。その後、この建物は下関警察署や下関市考古館として利用されました。1987年には下関市指定有形文化財に指定され、1999年には国の重要文化財として登録されました。
2008年から2014年にかけて、旧下関英国領事館は大規模な保存修理工事が行われました。この工事には約8億7,800万円が費やされ、その一部は国庫補助金によって賄われました。工事は2期に分かれ、仮設工事や半解体工事、そして構造補強などが行われました。これにより、建物の原状復帰と安全性の向上が図られました。
2014年7月にリニューアルオープンした旧下関英国領事館は、現在、記念館や市民ギャラリーとして公共の施設として利用されています。建物内部には、歴史的展示スペースやミーティングルーム、さらには喫茶&パブも設置され、訪れる人々に歴史的な建物の魅力を感じながらくつろげる空間を提供しています。
旧下関英国領事館の施設は、本館と附属屋から構成されています。本館は1階が展示スペース、2階にはミーティングルームや喫茶&パブがあり、また屋根裏部屋も特徴的な空間として保存されています。附属屋にはギャラリーが設けられており、さまざまな展示やイベントが行われています。
旧下関英国領事館は、その歴史的価値と美しい建築様式により、多くの人々に親しまれてきました。これからも、地域の文化財として、また観光地としての重要な役割を果たし続けることでしょう。さらに、この建物を通じて、下関の歴史や日英関係の歴史を学ぶ機会が提供されることが期待されています。
このように、旧下関英国領事館はその存在自体が歴史の証人であり、訪れる人々に過去と現代のつながりを感じさせる場所となっています。今後も、その魅力が多くの人々に伝わり続けることを願っています。
本館1階 9:00~17:00
本館1階以外 9:00~22:00
毎週火曜日(休祝日の場合開館)
【下関駅方面より】
JR下関駅から長府方面行きのバス → 唐戸バス停にて下車、徒歩すぐ
【豊浦方面より】
唐戸経由下関駅方面行きのバス → 唐戸バス停にて下車、徒歩すぐ