温暖な沿岸部で育つ甘くジューシーないちご
亘理町や山元町は、比較的温暖な気候に恵まれていることから、いちご栽培に適した地域です。「東北の湘南」とも呼ばれる温暖な沿岸部で、長年培われてきた栽培技術と大型ハウスなどを活用し、良質ないちごが育てられています。
鮮やかな赤色、みずみずしい果汁、甘みと酸味のバランスなどが、仙台いちごの魅力です。品種によって大きさや香り、甘さ、果肉の食感などが異なるため、食べ比べを楽しむのもおすすめです。
旬は2月から6月ごろ
仙台いちごの旬は2月から6月ごろです。冬から春にかけて収穫の最盛期を迎え、春の訪れを感じさせる果物としても親しまれています。旬の時期には、仙台市内をはじめ宮城県内のレストランやカフェ、菓子店などで、新鮮ないちごを使った料理やスイーツに出会えることもあります。
また、産地周辺ではいちご狩りを楽しめる観光農園もあり、摘みたての完熟いちごを味わえるのも魅力です。真っ赤に熟したいちごをその場で頬張れば、芳醇な香りとジューシーな果汁を存分に楽しめます。
宮城県オリジナル品種「もういっこ」
「もういっこ」は、宮城県が約10年をかけて育成したオリジナル品種です。2008年に品種登録され、宮城県を代表する主力品種のひとつとなっています。
果実は比較的大きく、きれいな円錐形をしており、鮮やかな紅色の果皮と淡い赤色の果肉が特徴です。果汁が多く、すっきりとした爽やかな甘さがあり、甘みと酸味のバランスにも優れています。
「もういっこ」という名前には、食べた人が「もう一個」と手を伸ばしたくなるようなおいしさへの思いが込められています。果肉がしっかりして比較的日持ちしやすいことも特徴で、宮城県のいちご栽培を支える主要な品種として広く生産されています。
宮城県オリジナル品種「にこにこベリー」
「にこにこベリー」は、「もういっこ」と「とちおとめ」を交配して誕生した宮城県オリジナル品種です。新しい品種として生産量を伸ばしており、宮城県を代表するいちごのひとつとして注目されています。
特徴は、美しく整った円錐形と、果肉の中心まで鮮やかな赤色です。果皮と果肉には適度な硬さがあり、甘みと酸味のバランスが良いため、そのまま食べるのはもちろん、ケーキやパフェなどのスイーツにも適しています。
「作り手、売り手、そして手に取って食べる人まで、すべての人が笑顔になってほしい」という思いから「にこにこベリー」と名付けられました。見た目の美しさと味わいの良さを兼ね備えた、宮城ならではの品種です。
長年親しまれている「とちおとめ」
「とちおとめ」は栃木県で育成され、1996年に品種登録された、全国的にもよく知られているいちごです。宮城県でも「仙台いちご」を構成する主要品種のひとつとして栽培されています。
果肉がしっかりしている一方で果汁も多く、甘みと酸味のバランスが良いことが特徴です。光沢のある美しい果実は見た目にも華やかで、そのまま味わうだけでなく、ケーキなどのスイーツにもよく利用されています。
震災からの復興を支えた「いちご団地」
宮城県のいちご産地は、2011年の東日本大震災による大津波で甚大な被害を受けました。特に亘理町と山元町では、いちごの栽培施設の9割以上が被災し、地域の農業に大きな影響を及ぼしました。
しかし、いちご農家をはじめ多くの関係者が栽培の再開に取り組み、支援による苗の供給なども受けながら生産を再スタートさせました。その後、地域では大型ハウス群「いちご団地」が整備され、いちご産地の復興を支える重要な施設となりました。
現在は、長年培われてきた栽培技術に加えて、ハウス内の温度や湿度などを管理する環境制御技術も活用され、多品種のいちごが生産されています。震災からの復興を象徴する産地として、亘理町・山元町では現在もいちごづくりが続けられています。
品質を守る出荷基準
仙台いちごの品質を維持するため、全農みやぎでは「仙台いちご出荷指導規格」を設けています。この基準に沿って各JAから出荷されることで、産地として一定の品質を保ちながら、新鮮ないちごを消費者へ届けています。
おいしい仙台いちごの選び方
店頭で仙台いちごを選ぶときは、まず果実全体の色つやを確認するのがおすすめです。鮮やかで光沢があり、表面に大きな色むらや黒ずみがないものを選ぶとよいでしょう。また、ヘタがピンとしていて、みずみずしいものは鮮度の目安になります。
購入後は早めに味わうのがおすすめ
いちごは鮮度が大切な果物なので、購入後はできるだけ早く食べるのがおすすめです。すぐに食べない場合は、洗わずにラップや袋などで乾燥を防ぎ、冷蔵庫の野菜室などで保存します。一般的に長期保存には向かないため、できるだけ早く味わうと、いちご本来の香りやみずみずしさを楽しめます。
食べる直前に洗っておいしく
いちごは食べる直前に水洗いするのが基本です。ヘタを付けたまま洗うことで、水っぽくなりにくく、いちご本来の風味を楽しみやすくなります。冷やしすぎると甘みを感じにくい場合があるため、食べる少し前に冷蔵庫から出しておくのもひとつの方法です。
宮城の春を彩る「仙台いちご」
仙台いちごは、温暖な宮城県沿岸部の気候と、長年受け継がれてきた栽培技術によって育てられている、宮城を代表する農産物です。「もういっこ」「にこにこベリー」「とちおとめ」など、それぞれに異なる魅力を持つ品種が栽培されています。
特に亘理町・山元町では、震災による大きな被害を乗り越えて産地の再生が進められ、現在ではいちご狩りなどを通じて多くの人がその味を楽しめます。旬の時期に宮城を訪れた際には、直売所や観光農園、飲食店などで真っ赤に熟した「仙台いちご」を味わい、宮城の豊かな農業と春の味覚を楽しんでみてはいかがでしょうか。