只見川を縫うように走るJR只見線は、紅葉の美しいローカル線として知られています。中でも、第一只見川橋梁は只見線を代表する景観の一つです。雄大な只見川の渓谷美と周囲の山々が織りなす四季折々の風景は、訪れる人を魅了してやみません。近年は、国内だけでなく台湾やタイをはじめとする多くの海外旅行者も訪れています。
赤、黄、橙と色づく山並みとゆったりと流れる只見川が織りなす絶景の中を、JR只見線が走り抜けます。中でも人気が高いのが、アーチ型鉄橋の「第一只見川橋梁」です。この橋梁は「紅葉の美しい鉄道路線ベストテン」第1位や、「雪景色のきれいなローカル線ベストテン」第3位にも選ばれ、国内外で高い評価を得ています。
「道の駅尾瀬街道みしま宿」の側に整備された展望台からは、奥会津の景観を眺めることができます。季節や時間によってダイナミックに変化するこの景観は、いつ訪れても見応えがあります。また、車で約10分ほどのビューポイントからは第二只見川橋梁を、更にその先のポイントからは第三只見川橋梁を望むことができます。列車通過時刻や観光シーズンを外して、ゆっくりと楽しむのもおすすめです。
第一只見川橋梁は、福島県大沼郡三島町の只見川に架かる東日本旅客鉄道(JR東日本)只見線の鉄道橋で、越後三山只見国定公園に属します。この橋梁は国鉄会津線(現・只見線)の会津柳津駅 - 会津宮下駅間の延伸工事に伴い、1938年(昭和13年)に完成し、1941年(昭和16年)に供用開始された全長176 mの鉄道橋です。
この橋梁は、只見川に架かる只見線の鉄道橋の中で唯一のトラス構造アーチ橋です。三島町特産の桐の花と同じ薄紫色に塗装されており、その姿は只見川の水面に映り込み、幻想的な景観を作り出します。
2021年(令和3年)には、「只見線鉄道施設群」の一つとして土木学会選奨土木遺産に認定されました。この橋梁は、特に美しい風景や歴史的な価値が評価されています。
第一只見川橋梁の架橋は、鉄道省東京第二工事事務所による直轄工事として行われました。この地域では足場を組み立てることが困難であったため、ケーブル・エレクション工法を用いて施工が進められました。狭隘な土地であったため資材置き場は会津柳津駅に設けられ、建築列車が資材を運搬しました。工事は豪雨期と豪雪期を避けるため、1938年の8月から12月にかけて集中的に行われ、全44342本のリベットの鉸鋲作業が完了しました。
第一只見川橋梁は、単線上路式2ヒンジスパンドレルブレーストバランストアーチの形式であり、汽車製造製です。開腹式上路アーチ橋、2ヒンジアーチ、ブレースドリブアーチ、バランスドアーチ橋の特徴を持ち、支間長は32m + 112m + 32mです。この形式の橋梁は全国的に有名であり、鉄道ファンやカメラマンにとって人気の撮影ポイントとなっています。
第一只見川橋梁は、紅葉の時期や雪景色の時期に観光パンフレットや旅行会社の案内に多く取り上げられています。2012年(平成24年)からは、観光客や撮影者のために「只見川ビューポイント遊歩道」が整備され、道の駅には案内板が設置されています。この遊歩道を含め、越後三山只見国定公園に指定されています。
訪れる人々は、この壮大な自然景観と歴史的な橋梁の調和を楽しむことができます。第一只見川橋梁は、いつ訪れても新しい魅力を発見できる場所です。